ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

愛妻物語

2008-10-15 | 映画 あ行
今年で14回を重ねるしんゆり映画祭。今回は新藤兼人監督を特集しています。監督初作品であり、音羽信子(ほとんどの作品に出演し、生涯の伴侶となる)との出会いにもなる記念的な一作です。とても古い映画ですが、いまだに見るべきものがあるような・・・

1951年 日本 ヒューマンドラマ、ラブロマンス
2008年10月15日 しんゆり映画祭(川崎アートセンター)
監督・脚本 新藤兼人
出演 宇野重吉、音羽信子
(出演作品などは私が観たものに限る)

昭和17年。映画界は縮小を余儀なくされていた。脚本家の卵・沼崎(宇野重吉)は生活力がまだない。そんな彼は下宿先の娘・石川孝子(音羽信子)と相思相愛になり、結婚を望むが孝子の父親に反対される。京都で脚本家として一人前になろうとする彼についてくる孝子。しかし、尊敬する坂口監督から才能試験と言われて書き下ろした脚本は・・・

新藤監督の自伝的な要素の強い監督第一作。戦争中に亡くした妻・孝子をしのんで作ったと言うが、これが音羽信子との運命的な出会いになるのだから不思議なもの。上映前に新藤監督ご本人のビデオが流されましたが、その中でも「この作品を作らないと先に進めなかった。これを作って終わりにしようと思った。でも、作ってみたら足りないところがあって・・・。もっと作りたくなった。」という意味のことを言っていました。
計算してみたら、宇野重吉は封切り当時37歳です。万年青年みたいな雰囲気ですが、かなりトウのたった書生ですね。戦争が盛んになっていくこの時期に、召集もされずに2階の仕事部屋にこもって脚本を書いていられるのはよい身分とも言えるかもしれません。これができたのも、妻の支えがあってこそ。
そのけなげな妻を演じたのが、音羽信子。えくぼがやたら可愛いですが、こちらも実は27歳。童顔だから若く見えますね。顔は丸顔ですが華奢でゆかたもタイトスカートもよく似合います。水着はいただけなかったけど・・・。あれは一種のサービスかな?
物語の展開はいたって平凡ですが、破綻がなく、骨太とも言えるかもしれません。新藤監督自身の体験が語られているところに、リアリティがあるのでしょう。
小津作品を見ていてもそう思うのですが、昔の日本映画はどうして言葉遣いが綺麗なのでしょう。気持ちよいとも言えますが、不自然とも言えるのでは?中流家庭では、家庭内で本当にこんな言葉遣いだったのでしょうか?
古い作品なので、演出などに古めかしさがあるのは当然。当時としては、新しい手法もあったかもしれません。(回想シーンなど)何より97分という短い一作だけに、無駄がありません。


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