ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

半月盆(改)の製作

2018年09月17日 | 木工
仕事をしていると、ことん、とクルミの実が落ちる音がします。

クルミの木に囲まれているので、工房の屋根や、材木に載せてあるトタン板にクルミが落ちるのです。





見上げると実が成っていて、






地面にはこのように実が落ちています。


拾おか、やめよか。

食べないのなら放っておいて自然に任せるのがいいかな。








今年はまだ池にオタマジャクシがいます。

こんな時期までいたことはないかも。変だねえ。









新規開店のためにつづいた波状攻撃的納品の、ほぼ最後のお仕事は半月盆です。


前にもお作りしましたが、その時は轆轤で挽いてから丸いものを作り、それ切って弦を付ける作り方をしました。

今後は完全に刳りもの仕事で作ってみます。







まず板を作ります。長さは40cm、幅は36cm、厚さは3cm。材はセン。

36cm幅の板は今はそうそうないので剥いで作ります。








輪郭の墨、中の刳る墨をします。









これは中を皿状に刳るための倣い、治具です。









皿状に刳る部分をボール盤に付けたフォスナービットで荒どりします。

これだけでもほぼ丸一日の作業量。








こんなハチの巣状になります。








治具の内側に、二ミリほどの厚さの木をぐるりと貼ります。



ルーターという機械で刳るのですが、この機械の刃は加工を重ねると切れが悪くなり肌が荒れてきます。

そのため、荒どりの後、刃を交換して切れる刃で仕上げをします。

この二ミリのスペーサーを付けて荒どりし、仕上げの時にはそれをとって加工をしようという試みです。









加工物が大きめなのでそれに合わせた定盤を作りました。

底を全て平らにするのには刃物をまんべんなく動かさなくてはなりませんが、この加工方法は材を伏せて加工するので、加工しているところが目視できません。

そこで定盤に線を書いてそれを見ながら加工物を動かします。









荒どりが終わるとこんな感じ。

二ミリの分が残してあるのわかります。








内壁の木口のとこがなにしろきれいに切れない。

ここの仕上げが最大の難関です。







注文は30枚ですが、すこし余剰を作ったり失敗したりして、40枚近く加工しました。

荒加工の最後の方で、とうとう一組目の刃物のベアリングが破損。

説明書には「ベアリングは消耗品です」とある。なるほど。

機械も大変だったが、この作業をずっとやる私も辛かった。



この加工のために二組の刃物を用意しましたが、この数こなすには四本くらいはあった方がよかったような感触です。

仕上げの最後は切れ止んでしまいました。








内刳りがすんだらサンドペーパーでよく磨き仕上げます。

そして外を切ります。








外を面取りします。

その後は外も磨きます。








木地が出来ました。

やってみてわかりましたが、これはなかなか大変な仕事でした。










それを今度は漆塗り。

漆は残酷な塗料で、仕上がりが悪いともろ出てしまう。

100点とはとても言えない。でも頑張ったのだよ、許してください。







漆は室(むろ)に入れて乾かします。








これが塗り終わり、春から長く長く続いた何軒かの開店ラッシュの仕事も一段落。

ほっとします。

考えたら一月以上休んでないや。






やっと雑事ができる余裕が出来たので、





春先に風で飛んでしまった薪置き場の屋根を掛け、







庭の草刈りが出来ました。









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