ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

とんかつ屋さんの椅子の制作 その1

2015年04月12日 | 木工
当地はちょうどソメイヨシノが満開です。





工房横の川縁に植えてあるサクラは見物客もなく私がほぼ独占~。







お知らせを一つ。


群馬の森クラフトフェアに出展します。

HP

4月18日、19日です。
スタッフの末席としてのお手伝いと出展です。
新しく作ったものなどは出す予定がありません、すいません。
家具が中心で小物がちらほらです。

よろしかったらおいでください。
森の中で雰囲気の良いイベントです。
人出も多いです。







とんかつ屋さんの椅子を作ります。



前橋市の有名店からのご注文です。カウンター用の椅子。

納品予定は少し先ですが、とりあえず木取りをしておきます。





図面です。


ケヤキを使い、漆を塗ります。
重いですが立派な椅子になるはずです。






庭に積んである板を降ろし、並べて検分します。

厚さ6cm、長さ2m、幅が50~60cmのケヤキの板はびっくりするほど重いです。
地面にくっついているのかと思っちゃった。

持ち上がりません。
ずり降ろして、地面を歩かせ、引きずっていじります。
疲れました。体痛い。



今年の春は雨が多くて、なかなか外での作業ができませんでした。
今日は日曜ながら貴重な晴れ間。
日没の時間も気にしながら、作業します。
明日も雨らしいので、今日中に終わらせたいもんです。


作業をしていたら、猿の群れが山中を歩いていくのが見えました。







木取りとは、材料である板を選別して家具の部材を切りだす作業のことです。

板は裏面もよく見て割れ、節、染み、虫食いなどを避けます。
シラタという、木の外側にある部分も基本的に使いません。
木は天然の素材なので、いろいろな欠点が隠れています。
それを読みながらなるべく無駄の出ないように、なるべく丈夫できれいなものができるように腐心します。






ペンで示した線は裏面にある傷です。これを避けながらどう部材を切り出すかを思案します。







一枚の板をどのように切り刻んだのかをわかって頂くため、切った後、元のように並べてみました。

歩留まり優先で、切り出し易さは二の次ですが、多少は鋸の入れやすさも考慮します。
このくらい複雑ですと、どこからどう鋸を入れるかよく考えないとしくじります。







使う材をのけてみました。残ったものは端材です。

後ろ脚4本、肘かけ、背もたれなどが数本です。

右下の大きな部分はもったいないようですが、
そこには「入り皮」という欠点があって使いようがありませんでした。
「入り皮」とは皮が大きく幹の中に陥入していることを言います。

使う部材もそのあとさらに削ったり切り揃えたりするので、
最終的に品物になるのは、元の材の3割くらいになってしまうのではないでしょうか。






節や割れが板の中でどのようになっているか、最終的には切ってみないとわかりませんが、
経験的に大分読めるようにはなってきます。

上の写真では、皮一枚で節が止まってくれて、使用可能と相成った部材の状況がわかります。







10枚あった板のうち5枚を使い、半日かけて、5脚分の部材を揃えることができました。
使わなかった板はまたえっちらおっちら積み上げてしまいます。



しかし座面などの部材の木取りが明日にもち越しです。