猫が夜空にパンチしている。
繰り返し繰り返し。
見上げれば満天の星空。
星をつかもうとでも言うのか。
猫はこちらに一瞥をくれて去っていく。
『悪いか?』とでも言いたそうだ。
猫は屋根に上り、空に手を伸ばす。
あっちがダメならこっち。
こっちがダメならそっち。
そんな具合に。
誰がそれを無駄だと言い切れるのだろう。
今はわからない。
彼にも僕にも誰にもわからない。
だから、疲れるまで、飽きるまで続ければいい。
つかめないとわかって、八つ当たり目的で空にパンチするやつよりよっぽどいいだろう。
星をつかみたい。
その心意気は褒めてやろう。
その気持ちは僕も同じだよ。
だから手を貸してやろう。
僕は屋根に上り、猫を抱えて天高く掲げた。
どうだい。少しは近づいただろ。
猫越しに見た空は昔と変わらない。
星はずっとずっと遠くにある。
降ってこない限りは触れることができそうもない。
そう思った少年期の僕は、空を揺さぶれば星が落ちてくるんじゃないか、なんて空想していた。
あの頃は真剣だった。
この猫のように輝く眼差しで星を見据えていた。
そりゃ、つかみたくもなるだろう。
こんなにきれいなのだから。
よし、最終手段を行使しようよ。
僕は猫に許可を求める。
『投げていい?君、着地得意でしょ』
繰り返し繰り返し。
見上げれば満天の星空。
星をつかもうとでも言うのか。
猫はこちらに一瞥をくれて去っていく。
『悪いか?』とでも言いたそうだ。
猫は屋根に上り、空に手を伸ばす。
あっちがダメならこっち。
こっちがダメならそっち。
そんな具合に。
誰がそれを無駄だと言い切れるのだろう。
今はわからない。
彼にも僕にも誰にもわからない。
だから、疲れるまで、飽きるまで続ければいい。
つかめないとわかって、八つ当たり目的で空にパンチするやつよりよっぽどいいだろう。
星をつかみたい。
その心意気は褒めてやろう。
その気持ちは僕も同じだよ。
だから手を貸してやろう。
僕は屋根に上り、猫を抱えて天高く掲げた。
どうだい。少しは近づいただろ。
猫越しに見た空は昔と変わらない。
星はずっとずっと遠くにある。
降ってこない限りは触れることができそうもない。
そう思った少年期の僕は、空を揺さぶれば星が落ちてくるんじゃないか、なんて空想していた。
あの頃は真剣だった。
この猫のように輝く眼差しで星を見据えていた。
そりゃ、つかみたくもなるだろう。
こんなにきれいなのだから。
よし、最終手段を行使しようよ。
僕は猫に許可を求める。
『投げていい?君、着地得意でしょ』