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藤君の思い

2023年04月05日 22時47分12秒 | music

備忘録

BUMP OF CHICKENのシングル「SOUVENIR」、およびライブ映像作品「BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe」が4月5日にリリースされた。

「SOUVENIR」はシングルCDとしては「なないろ」以来約1年3カ月ぶりとなる作品。テレビアニメ「SPY×FAMILY」第2クールオープニングテーマに採用された表題曲や、先日NHK総合にて放送された「BUMP OF CHICKEN 18祭(フェス)」のテーマソング「窓の中から」、映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の主題歌として提供された「クロノスタシス」という多種多様な3曲を収録している。

音楽ナタリーでは本作のリリースを記念し、藤原基央(Vo, G)にメールインタビューを実施。それぞれの楽曲の背景やライブ活動を経ての思いを語った藤原の言葉を、作品レビューと合わせて掲載する。

取材・文 / 柴那典

 

藤原基央メールインタビュー

どんなスタンスだろうと目の前のこの人に会えたことがうれしい

──まずは昨年以降のライブについて聞かせてください。2022年7月には「BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe 02/10-11」の振替公演が幕張メッセで開催されました。約2年8カ月ぶりの有観客ライブでしたが、ひさしぶりにステージに立った心境はいかがでしたか?

まずは言い尽くせない、どう表現したらいいのかすらわからない感謝と、それから「ようやく会えた」という思いでいっぱいでした。
声出し禁止だからやりにくかったんじゃないか、と周りからけっこう聞かれましたが、そんなことはまったくなかったです。

──コロナ禍でライブができなかった時期を経て、自分たちの音楽が届く先としてのリスナーの存在が、藤原さんにとってより大きなものになった感覚はありますか? そのことはどんなインスピレーションになりましたか?

存在が大きくなるというよりは、自分のそこに対する意識が強まったという感覚です。聴いてくれる人がいる、という事実に対する意識は以前までも相当強かったのですが、このコロナ禍を経てさらに急激に強まりました。
もともとあったものが強まっただけなので、このことが何か今までにないような新しいインスピレーションになったというような実感は今のところありませんが、これまで自分が音楽をやってきたうえでの行動原理やモチベーションのようなものがより切実になり、現在回っているツアーにおいて

よくも悪くも影響しているんじゃないかと思います。

藤原基央(Vo, G)

──昨年10月から12月にかけてはライブハウスツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee」が開催され、そして現在はアリーナツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there」の真っ最中です。特に今年に入ってからは観客の声出しが解禁となり、シンガロングやコール&レスポンスありのライブが戻ってきました。どんな実感がありますか?

自分の作った音楽、歌った声、鳴らした音を見つけて受け止めてくれた人に会い、その人の声を聴くことで実感できる、言葉にしきれない何かがあります。
その何かが自分にはとても大切なもので、自分は自分で思っていた以上にこれが聴きたかったんだな、と回を追うごとに思い知ります。
ライブ中、毎回そうやって思うたびに、そもそも声を出さないスタンス、心の中で歌うだけの人だっているよな、ということを考えます。
そして最終的には、どんなスタンスだろうとただただ目の前のこの人に会えたことがうれしい、というところに行き着きます。
そういう気持ちとともに、聴こえる声も聴こえない声も合わさったレスポンスを全身全霊で受け止めています。
そして不思議なことに、大勢の合唱だったり掛け声だったりに、この上なく1人ひとりとの1対1を感じます。

──ここ最近の曲でも「アカシア」などは曲中のコール&レスポンスの掛け合いが大きなポイントになっています。そういう曲は特にライブの場で集まった1人ひとりのリスナーと一緒にひとつの場を作り上げるようなものになっていると思いますが、曲を作るときにもそういった光景のイメージはありますか?

「アカシア」の掛け合いは曲作りの時点で明確にそういうイメージがありました。今回のツアーで声出しが解禁されたことによって、ライブにおける「アカシア」に必要なパーツがそろったような、ようやくこの曲のライブでの本来の姿に会えたというような感覚がありました。
コロナ禍越しの夢が叶ったようなものなので、感無量です。

 

聴いてくれた人の日常において機能するものしか作る意味がない

──「SOUVENIR」はアニメ「SPY×FAMILY」オープニング主題歌として提供された1曲です。リズミカルな曲調と軽やかな高揚感が印象的ですが、どんな取っかかりから作り始めたんでしょうか?

以前からよく言っていることなのですが、主題歌などを任せていただいたときは、先方の表現しているフィールドと、自分たちが表現してきたフィールドとの重なる部分、そこから音も言葉も探していく、というやり方で作っています。
フィールドの重なる部分の云々以外は普段の曲作りと変わらないので、基本的にはとても感覚的な作業です。
ストーリーと関連性の高い単語を意識的に歌詞に入れたり、ということにはなりません。
むしろ、聴いてくれた人の日常において機能するものしか作る意味がないので、その機能をしっかりと持ち合わせつつ、主題歌としても機能するものを作る必要があります。
こういう思考や精神がそれにふさわしい言葉を見つけてきて、それにふさわしいメロディがほぼ同時に思い浮かび、それをギターで弾き語りながら仕上げていきます。

その工程にどれだけの時間を費やすのか、これは曲によって全然違うのですが、「SOUVENIR」のときはどうだったか……そういう苦労をしたか、しなかったかという記憶はどちらにせよあまり面白いものではないので、トラウマレベルでもない限りはわりとすぐ曖昧になってしまいます、申し訳ないです。
ただ、そうやって仕上げていく過程の中でああいうサウンドのイメージも自然と固まっていったんじゃないかな、と思います。
つまりは言葉とメロディが引っ張ってきたサウンドアレンジなのかな、と。
このへんも記憶が曖昧で申し訳ないです。
全然、サウンドが先だったりしたかもしれません。

藤原基央(Vo, G)

藤原基央(Vo, G)

増川弘明(G)

──「SPY×FAMILY」の物語やキャラクターの魅力についてはどんなふうに感じましたか?

セリフなどの文字にされていないところ、いわゆる行間にたくさんの情報や感情が詰まっている作品だと思いました。
そういう部分に笑わされたり泣かされたり、感動をたくさんもらいました。

──「歩いて歩いて」「走って走って」という部分の歌詞やメロディなど、この曲は大切なもの、楽しみや喜びに向かうときのみずみずしいエモーションが封じ込まれているような感じがします。作っていくうえでそういうものを大事にする意識はありましたか?

帰り道について歌うことによって、前述の「行間に詰まっている言葉にされていない部分」を言葉にしないままさらに感じやすくできるんじゃないかと思いました。
たとえ同じ目的地を何度目指そうとも、そこに着くまでに目にするものが自分にとってどんな価値を持つのかは、状況によって変わるものです。
自分の音楽を受け取ってくれた人にライブで会いにいくときの気持ちになぞらえています。

自分はなんて素敵な世界に生きているんだろう

──「クロノスタシス」は劇場版「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の主題歌として提供された曲です。イントロから曲全体にアルペジオのフレーズが印象的な曲調ですが、どんなところから着想しましたか?

これはまさしくそのアルペジオから取りかかりました。
それ自体がテーマフレーズにもなり、その中でコード進行も表現されていて、その上に歌メロが乗っても邪魔をしない、というアルペジオを作りたいな、と。
それを繰り返し弾いているうちに言葉とメロが徐々に付いてきたような感じだと思います。
着想……全然覚えていないんですけど、多分、言葉も音もアレンジも完成系はきっとこんな感じ、っていうざっくりの雰囲気は最初からある程度見えていて、それに合いそうなアルペジオを作るところから始めてみた、というところじゃないかと思います。

──「窓の中から」はNHKの特番「BUMP OF CHICKEN 18祭(フェス)」をきっかけに書き下ろされた曲です。先日収録されたばかりということですが、振り返って、どんなことが印象的でしたか?

昨年自分がコロナに罹患したことでもともと予定されていた収録が数カ月も先に延期になってしまい、とても悔しくもどかしい思いをしました。本当に申し訳なかったです。

やっと迎えられた本番の日、夢にまで見た3/21でした。
この日を目指して作った楽曲を一緒に歌う約束をした相手と初めてようやく会えた瞬間、完成系を想像しながら自分の声だけで多重録音しながら作ったコーラスアレンジがついに聴きたかった形で聴けた瞬間、自分の声と自分のじゃない声がハーモニーを作った瞬間、そういう瞬間瞬間に出会うたびにいちいち体中、全細胞が「これだ」と叫んでいるような感じで、自分はこれを心の底からとことん待ち望んでいたんだなということがわかりすぎるくらいにわかりました。
泣いている顔を1つひとつ、たくさん見つけました。
歌うのが難しい部分もあったと思うのですが、皆本当に練習してきてくれたんだな、まだタイトルも知らなかったこの曲をこの瞬間のために大切にしてくれていたんだな、というのがよくわかりました。
もしかしたら忙しかったり体調崩したりで存分に練習ができず後悔とともに歌っている人もいたかもしれません。
そういう痛みがあったのならそれだって愛おしいと思います。
裸の心が1つひとつ立って歌っているところを見たし、その中に自分もいました。
今この瞬間、自分はなんて素敵な世界に生きているんだろうと思いました。

こういう気持ちのすべてが音楽になって、カメラの向こうに向けて集束されていきました。
カメラの向こうのあなたの耳にまっすぐ届け、さあ受け止めてくれ、とひたすらに願いました。
すべての音楽は聴いてもらったときに完成するもの、ということは常日頃思っていることですが、今回はいつも以上にその意味合いを強く感じました。
現時点ではまだ放送されていないので、今はその瞬間を迎えるのが直近の最も大きな夢です。
待ち遠しいです。(※編集部注:取材は3月下旬に実施)

直井由文(B)

直井由文(B)

升秀夫(Dr)

升秀夫(Dr)

──楽曲制作にあたって、「自分のこと」というテーマを表現したメッセージやパフォーマンスを全国の18歳世代から動画で募集されていました。寄せられた動画を観てどんな思いが湧きましたか?

あまりに広くて具体性のない、どのようにも解釈できるようなテーマを設定しました。
どう表現すればいいか迷いながらも一生懸命考えて答えを探し出したのか、あるいはあっさりといけたのか、そこは人それぞれだと思うけど、いずれにせよこの自由すぎるテーマに対して「これが自分です」と伝えられる勇気とエネルギーに圧倒されました。
動画を観れば観るほど1人ひとりがまったく違う個性を持っていましたが、一緒に歌いたいという同じ方向の気持ちだけはそろっている。その時点で不思議な感動がありました。
同時に、この中の全員と一緒に歌えるわけじゃないということ、それから応募したいと思ってくれてもできなかった人の存在も感じました。
そういう全部が音符や言葉になって曲が生まれました。
見つけてくれたすべての人、1人ひとりと1対1で向き合うための歌です。

柴那典による「SOUVENIR」レビュー

たくさんの人たちが、それぞれの思いを持って、ひとつの場所に集まる。声を重ねて歌う。以前は当たり前に思っていたそんな機会が、コロナ禍で制限されてきた約3年間を経て改めて実現すると、それだけでとてもプレシャスなことに感じられる。

先日NHK総合にて放送された「BUMP OF CHICKEN 18祭(フェス)」を観たときに、まず感じたのはそういうことだった。アーティストと18歳世代(17~20歳)が一度限りの共演をするというコンセプトで2016年にスタートしたこの企画。参加を希望する18歳世代が応募動画を送り、それを観たアーティストが動画に込められた思いを踏まえて新曲を制作する特別番組だ。

コロナ禍のここ数年は企画自体が中止になったり、リモートでの収録になったりしたこともあった。また、前述のインタビューでも触れられているように、今回は藤原基央の新型コロナウイルス感染により、予定していた収録が11月から3月に延期になった。そうした経緯を経て、ようやく集まることのできた1000人がBUMP OF CHICKENと1つの曲をともに歌い、演奏し、形にした光景は、とても感動的なものだった。

「窓の中から」は、バンドが投げかけた「自分のこと」というテーマに応えて18歳世代から送られた応募動画にインスパイアされて作られた1曲。「すごく小さな窓の中から 世界を見て生きてきた」という歌詞がとても印象的だ。「カーテンの内側限定のため息 愛読書みたいに並んでしまった独り言」と歌われるように、「窓の中」というのは、誰しもの胸の内にある、たった1人だけの領域を象徴する言葉なのだろう。

BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKEN

豊かなハーモニーも聴きどころだ。曲が後半に差しかかるにつれて声が分厚くなっていき、スピーディな掛け合いも含む技巧的で難易度の高いコーラスアレンジがなされている。「同じように一人で歌う誰かと ほんの一瞬だけだろうと 今 重ねた声」というフレーズから後半は、管楽器が加わったり、アカペラになったりと、どんどん熱量が高くなっていく。曲のテンションがクライマックスに達したあとに「これからの世界は全部 ここからの続きだから 一人で多分大丈夫」と歌うアウトロのパートも、とてもエモーショナルだ。

特筆すべきは、同世代の1000人が集まって歌うという「18祭」のコンセプトに応じて書き下ろされた楽曲でありつつ、歌詞には「僕ら」とか「仲間」のような言葉は一切なく、その代わりに繰り返し「一人」という言葉が出てくるということ。そこにはBUMP OF CHICKENがこれまで歌ってきた楽曲と一貫するメッセージが息づいている。

そして、「たくさんの人たちが、それぞれの思いを持ってひとつの場所に集まる」ということや「ひとつの曲に声や思いを重ねて歌う」ということがいかにプレシャスなことであるかについては、きっと、ここ最近の彼らのライブに訪れた人たちも強く実感しているはずだ。

昨年7月に幕張メッセで開催された「BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe 02/10-11」はバンドにとって約2年8カ月ぶりの有観客ライブとなった。本来なら結成25周年を迎える2月10、11日に開催されるはずだったライブの延期公演だ。「ようやく会えた」という実感が、ステージの上の4人と集まった3万人の間に広がった場所だった。

BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKEN

昨年10月から12月にかけては、全国6都市12公演を回るライブハウスツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee」が開催された。シングルの表題曲「SOUVENIR」はそのツアーで披露された1曲。テレビアニメ「SPY×FAMILY」第2クールのオープニング主題歌として提供された楽曲で、軽やかな曲調に乗せて心躍るようなメロディを聴かせてくれる、ここ最近のBUMP OF CHICKENの楽曲の中でもとりわけキュートなポップチューンだ。

「この目が選んだ景色に ひとつずつリボンかけて お土産みたいに集めながら続くよ 帰り道」とサビでも歌われている通り、この曲がモチーフにしているのは“帰り道”。歌詞にも歌声もみずみずしい喜びのエモーションが刻み込まれている。リズミカルなバンドアンサンブルもポイントで、特に中盤は爽快なギターカッティングとハンドクラップが絶妙に絡み合う。ライブの場ではオーディエンスが手拍子に参加してステージとの一体感が生まれていた。

「クロノスタシス」も「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee」で披露された1曲。キラキラとしたシンセのアルペジオと浮遊感を漂わせるビートが印象的な、ミドルテンポのエレクトロポップだ。「飾られた古い絵画のように 秒針の止まった記憶の中」という歌詞からは、時計の秒針が止まっているように見える現象を意味するタイトルの「クロノスタシス」という言葉にかけつつ、かけがえのない存在を失った切ない感情が感じ取れる。映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の主題歌として提供された1曲だ。

そして現在、BUMP OF CHICKENは2月11日の東京・有明アリーナ公演を皮切りに全国11か所20公演を回る全国ライブツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there」の真っ最中だ。オーディエンスのシンガロングやコール&レスポンスがひさびさに復活したライブは、ステージの4人にとっても、とても特別な思いを持って感じられるものになっているのではないだろうか。そして、その体感は、この先にバンドが生み出す楽曲にもなんらかの刺激として影響をもたらしそうな気がする。

ライブ情報

BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there(※終了分は割愛)

  • 2023年4月8日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2023年4月9日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2023年4月20日(木)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
  • 2023年5月2日(火)広島県 広島サンプラザホール
  • 2023年5月3日(水・祝)広島県 広島サンプラザホール
  • 2023年5月13日(土)和歌山県 和歌山ビッグホエール
  • 2023年5月14日(日)和歌山県 和歌山ビッグホエール
  • 2023年5月27日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2023年5月28日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ

≪BUMP OF CHICKEN≫

 


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