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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.62(休業手当)その2

2011年04月03日 | 会社の法律ミニレッスン
 会社の法律ミニレッスン企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
 「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

 第62回は、「休業手当」その2です。

 労働基準法第26条(休業手当)
『使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。』

■休業手当の趣旨
 民法では?
 債権者(=会社)の責めに帰すべき事由によって、債務者(=労働者)が債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。つまり、賃金の全額を請求できるとしています(民法第536条第2項)。

 民法では6割でなく、賃金の全額となっていますから、民法の方がいいのではと思いますよね。
 ところが、この民法の規定は、当事者間の特約で排除できますし、当事者間に争いがある場合、労働者は、最終的には訴訟を提起しなければ、賃金の全額を受け取ることができません。
 (訴訟を起こすとなると…、大変ですよね)

 そこで、強行法規である労働基準法において、少なくとも平均賃金の6割について使用者に支払いを義務づけることにより、労働者の保護を図っていることになります。

■新規学卒採用内定者の自宅待機
 4月入社の予定でしたが、諸般の事情により就労の時期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとる場合はどうなるのでしょうか?
 企業が採用内定通知を出し、学生から入社誓約書等を受け取ると、一般には企業の例年の入社時期を就労の始期として、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとされます。ということは、4月以降の繰り下げられた期間は26条による休業手当を支払わなければならないとされています。