miu-srブログ

MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

6カ月以上前の過重労働で労災 東京地裁が認定

2011年04月23日 | 社会保険労務士
【6カ月以上前の過重労働で労災 東京地裁が認定】
  《日経Web 2011/4/20 11:42 》より

 埼玉県吉川市の男性(当時27)が2000年9月にくも膜下出血で死亡したのは、約半年前に退社した会社での過重労働が原因として、両親が国の遺族補償給付の不支給処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁(青野洋士裁判長)は20日までに、請求通り処分を取り消し労災と認めた。判決は18日付。

 原告側弁護士は「死亡の6カ月以上前の過重労働による労災を認める判決は初」としている。現在の労災認定基準によると、過労による脳や心疾患の労災認定は、発症前6カ月間に過重労働したことなどが要件となる。

 裁判では6カ月より前の勤務状況が労災認定の対象となるかどうかが争われ、判決は「タイムカードなど明確な資料がある場合は評価の対象となる」とした。(以下略)

   ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

  脳・心臓疾患を労災認定する上で基本的な考え方、対象疾病、認定要件を示したものが「脳・心臓疾患の認定基準」です。(社労士受験生には労災の復習となります。大切な所ですね。)

 業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、業務上の疾病として取り扱われます。認定要件は3つに分かれています。

□認定要件1「異常な出来事」
 発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと

□認定要件2「短期間の過重業務」
 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと

□認定要件3「長期間の過重業務」
 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

 長期間の過重業務の評価期間は、発症前おおむねに6ヶ月間とされていました。
 記事にあるように6ヶ月より前が認定対象になるかどうかが争われたわけです。評価対象になるとの判断が出されました。原告側弁護士は「初」と言われたのはまさしくその通りです。

 記事の続きです『判決などによると男性は1998年8月、都内の会社に入社。00年3月まで同社運営の複数のレンタルビデオ店で勤務し、同年9月に死亡した。月平均時間外労働時間は約60時間だった。不支給処分をした足立労働基準監督署(東京)は「判決を検討して判断する」としている。』
 さて、このあと、どうするのでしょうか?(争うのかどうか…?)

 「長期間の過重業務」については、「労働時間の評価の目安」があります。
(1)発症前1~6ヶ月間平均で月45時間以内の時間外労働は、発症との関連性は弱いいと評価できる。
(2)月45時間を超えて長くなるほど、関連性は強まるいと評価できる。
(3)発症前1ヶ月間に100時間又は2~6ヶ月間平均で月80時間を超える時間外労働は、発症との関連性が強いと評価できる。
 以上を踏まえて判断するとされています。 

 なによりも過労死という不幸なことが起こらないことが一番です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。