永々翁酒場修行（日曜更新）

はじめまして、永々翁(えいえいおう)と申します。酒場には愛があり、酒場には夢があり、そして酒場には盃を傾ける人それぞれの生き様がある。これまで古今東西の先生方から酒場で授かった教えを、拙生の記憶にもとづいて書き残すことにいたしました。
さて、突然現れた貴様は一体何者ぞとお思いでしょう。まずは拙生の話をさせていただきます。人生百年時代の折り返しを過ぎた頃、ひとつの想いが心に浮かぶようになりました。いつの日か山里に庵を結び、風が運ぶ木々の香りに囲まれ、水のせせらぎに耳を傾け、陽の温もりに感謝し、夜の月を愛で、少しばかりの酒をしみじみ楽しむ。そんな清々たる隠居暮らしがしてみたいと。しかしながら垢のようにこの身にこびりついた煩悩や欲は容易には拭いきれず、まだまだ修行中の身。言うなれば隠居見習いでございます。
巷の酒場で諸先生方から貴重な教えを乞うのが、永々翁の酒場修行でございます。