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女性目線で車づくり

2014年09月05日 00時18分55秒 | 学習支援・研究
“乙女心”くすぐるクルマ作り 
自分だけの一台、おしゃれな店…知恵絞る

SankeiBiz
8月30日(土)8時15分配信


女性が自分に購入の決定権があると考える割合(写真:フジサンケイビジネスアイ)

男性目線が強かった自動車業界で、
女性客の心をつかむための取り組みが加速している。
ダイハツ工業は一部改良した軽自動車「ミラココア」で、
女性社員のプロジェクトチームが
“乙女心”をくすぐる自分だけの一台を提案し、
日産自動車も女性に優しい店舗の展開を進める。
消費税増税の影響で国内の新車需要が冷え込むなか、
家庭の財布を握る女性客の首を縦に振らせようと知恵を絞っている。

「『私にぴったり』を選びたい女性の本音に着目し、
外装デザイン、ボディー色、
内装色と選べる楽しさをお届けします」。
東京都内で26日開かれた新型ミラココアの発表会で、
ダイハツデザイン部の山尾有佳さんが開発の狙いをアピールした。

ダイハツは新型モデルの開発にあたり、
女性社員によるプロジェクトチーム「ココかわプロジェクト」を結成。
内外装のデザインや用品開発、
販売促進策の検討など、
開発から販売まで女性目線で提案した。
山尾さんはそのチームのリーダーだ。

もともとミラココアのユーザーは9割を女性が占める。
ただ、今回はユーザーの声を自宅訪問などで拾い集め、
女性目線の開発を特に徹底した。
「愛されピンク」「大人ブラウン」など
色やデザインで選べるバリエーションは計160通り。
ルームランプは宝石箱をテーマにした専用デザインで
「きらめく空間」(山尾さん)を表現した。

トヨタ自動車も4月に発売した小型車「パッソ」の一部改良で、
新たに紫外線や赤外線を大幅にカットする
ガラスを採用するなど女性に優しい装備を充実させた。
特に女性を意識したモデル
「パッソ +Hana(ハナ)」ではオプションで
白い屋根の2トーンボディーカラーを用意して
「フレンチネイルのようなおしゃれ感」を演出。
製品企画本部の鈴木敏夫主査は
「キュートな印象を強め、より多くのお客さまの嗜好(しこう)に
合わせられるようになった」と説明する。

自動車各社が女性客を強く意識するのは、
「新車の購入は女性が大きな決定権を持つ」
(日産自動車のカルロス・ゴーン社長)ことを知っているからだ。
既婚世帯の主導権が妻と夫
どちらにあるかを三菱総合研究所が調べたところ、
電子レンジや洗濯乾燥機など家事で使う商品だけでなく、
自動車のように夫婦で使う商品でも
自分に意思決定権があると考える女性が過半数を占めていた。

新車を売り込むには女性客に気持ちよく過ごしてもらう環境が
必要なのではないか。そんな問題意識から、
日産は店長や営業、整備スタッフに女性を起用した
レディー・ファースト店舗の認定を開始。
2015年までに300店舗、
将来的には全国約2,100店舗の3分の1まで
拡大する目標を掲げている。

6月に全面改装した初のモデル店
「日産プリンス西東京販売府中西原店」(東京都府中市)の店内は、
白を基調にし、まるでおしゃれなカフェに来たような雰囲気だ。
光が差し込むガラスの壁際には、
車のカラーバリエーションをネイルカラーに見立てたサンプルを展示。
来店客にハンドマッサージのサービスなども提供し、
女性がぶらりと訪れたくなる店作りを目指す。

消費税増税前の駆け込み需要の反動減で、
自動車各社は新規受注の減少に直面している。
自動車大手8社の7月の国内販売の合計は、
前年同月比2.6%減の42万8015台にとどまった。
年度当初の見込みより回復のスピードはやや遅れており、
府中西原店の丸山雅世店長も「環境は厳しい」と認める。

ただ、同店は改装後、女性客が
他社のユーザーを含め約1割増えたという。
丸山店長は「女性は好きな店、
好きな店員がいる店で買い物をしたいもの。
心をつかめば販売につながるはず」と手応えを感じている。

ユーザーの趣味が多様化し、
昔のように大ヒットを飛ばすのが難しい時代ともいわれる。
女性へのアピールがどこまで拡販に結びつくかはまだ手探りだが、
厳しい環境は新しい販売手法を試す絶好の機会でもある。
ダイハツ幹部は「開発期間を短縮して
市場のニーズに敏感に反応し、
さまざまな手段を試さなければヒットは生まれない。
女性へのアピールはそのうちの一つだ」と説明する。
安倍政権が女性の活用を成長戦略に掲げるなか、
男性社会といわれてきた自動車業界でも
トヨタ自動車が現在約100人いる女性管理職の数を20年に3倍、
30年には5倍を目指す目標を掲げるなど登用が進んでいる。
作り手側でも女性の発言力が強まることで、
女性目線のクルマ作りは今後ますます進みそうだ。
(田辺裕晶)

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