回転率 -立ち食いそば屋が潰れない秘密
プレジデントオンライン
2014年8月16日 18時15分
(2014年8月17日 19時40分 更新)
[拡大写真]
「100円マック」の大ヒットなどで
デフレの“勝ち組”と見られてきたマクドナルド。
しかし、昨年度に110店、
そして今年度も74店もの閉鎖をすることを明らかにし、
飲食業界の厳しさを改めて教えてくれた。
しかし、そうしたなかにあって、
いつも不思議に思っていたのが
立ち食いそば屋の存在なのだ。
主要な駅や繁華街に必ずある立ち食いそば屋だが、
なかにはわずか10メートルくらいしか離れていないところに、
ライバル店が軒を連ねているようなところもある。
当然、競争が厳しいように思えるのだが、
閉店したところを見た経験があまりない。
確かに立ち食いそば屋は
ワンコインでお釣りがくるくらいリーズナブルであるし、
ぱっと食事を済ませられ、
毎日忙しいビジネスマンにとっては強い味方である。
しかし、どうして厳しい世間の荒波を
かいくぐることができるのだろう。
まず考えられるのは、「回転率」のよさだ。
これは一定の時間にどれだけのお客が来店するかを表す数字で、
お客1人が平均で6分在店したとすると、
1時間当たりの回転率は「60÷6」で10回転となる。
もし15人入れるお店なら、
「10×15」で1時間当たりの総客数は150人と弾き出される。
「60÷6」という計算式を見ておわかりのように、
回転率は客の在店時間によって大きく異なる。
券売機で食券を買って、カウンターでそばを受け取り、
素早くかきこむ。立ち食いそば屋とはそういうものだが、
定食屋だとそうはいかない。
定食が出てくるまで多少の待ち時間があるし、
食べるのにもそれなりの時間がかかる。
どんなに急いでも20分くらいはかかる。
すると回転率は「60÷20」で3回転。
同じ15人のキャパシティのお店なら、
1時間当たりの総客数は「3×15」で45人にすぎない。
「そもそも立ち食いそば屋と定食屋では客単価が違うだろう」
と思う人がいるかもしれない。では、
立ち食いそば屋が400円、定食屋が800円だったとする。
おのおの1時間当たりの売上高を計算して比較すると、
「150×400=6万円」「45×800=3万6000円」となり、
立ち食いそば屋に軍配があがる。
この勝因はひとえに回転率のよさにある。
ついでに、このケースをもとに月商を計算してみよう。
朝8時から夜8時までの12時間お店を開けて、
ウイークデーのみの営業だったとする。
暇な時間もあるので、
時間当たり売り上げは6万円の半分としても
「3万×12×5×4=720万円」。…
この通りいけば、よい商売だ。
そして、もう一つ立ち食いそば屋の強みがあると私は見ている。
それは食材のロス率の低さだ。
実は私は公認会計士として独立する際、
商売を学びたいと考えてタイ焼き屋を開いたことがある。
そこでわかったのは、原材料となる食材を無駄にすることが
ほとんどなかったことによるメリットだった。
餡子は冷凍しておけば日持ちがするし、
玉子もそうそう腐るものではない。
それに湿気さえ気を付けておけば、
小麦粉がダメになるということもない。
だからせっかく仕入れたものを無駄にすることがなく、
あとは客足に応じてタイ焼きを焼いていくだけで済んだ。
立ち食いそば屋の食材というと、
そばにうどん、てんぷらのネタに使うエビや野菜、
それとワカメにネギといったところだろう。
生ものを扱う定食屋と違って、
どれも日持ちがして、仕入れた食材を無駄にすることが少ないはずだ。
1杯300円、400円という小さな商いのように思える立ち食いそば屋だが、
実はその裏側ではきちんと“儲けのシステム”が確立されているのだ。
こう見ていくと商売って本当に面白いものだと思う。
公認会計士・税理士 柴山政行
構成=高橋晴美 図版作成=ライヴ・アート
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20140816/President_13150.html
写真は、わたしの大好きだった「立ち食い蕎麦」
写真は、以下のブログよりお借りしました。
http://blog.goo.ne.jp/signofthetimes/e/10dd7708dd0daf89be1978eced0c3c08
『さおだけ屋は、なぜ潰れないのか』という本がありまあすが、
実態は、「筆者の言う、単価は高く、費用はなるべく低くの理にかなっており、
“潰れない”というわけだ。本の内容は
具体例を誇張した会計学入門書の域を出ず、
私が期待していた『さおだけ屋』マジックは
残念ながら存在しなかった。」
http://www.dir.co.jp/library/column/061214.htmlより
上記事例も、この話とにたところがあります。
プレジデントオンライン
2014年8月16日 18時15分
(2014年8月17日 19時40分 更新)
[拡大写真]
「100円マック」の大ヒットなどで
デフレの“勝ち組”と見られてきたマクドナルド。
しかし、昨年度に110店、
そして今年度も74店もの閉鎖をすることを明らかにし、
飲食業界の厳しさを改めて教えてくれた。
しかし、そうしたなかにあって、
いつも不思議に思っていたのが
立ち食いそば屋の存在なのだ。
主要な駅や繁華街に必ずある立ち食いそば屋だが、
なかにはわずか10メートルくらいしか離れていないところに、
ライバル店が軒を連ねているようなところもある。
当然、競争が厳しいように思えるのだが、
閉店したところを見た経験があまりない。
確かに立ち食いそば屋は
ワンコインでお釣りがくるくらいリーズナブルであるし、
ぱっと食事を済ませられ、
毎日忙しいビジネスマンにとっては強い味方である。
しかし、どうして厳しい世間の荒波を
かいくぐることができるのだろう。
まず考えられるのは、「回転率」のよさだ。
これは一定の時間にどれだけのお客が来店するかを表す数字で、
お客1人が平均で6分在店したとすると、
1時間当たりの回転率は「60÷6」で10回転となる。
もし15人入れるお店なら、
「10×15」で1時間当たりの総客数は150人と弾き出される。
「60÷6」という計算式を見ておわかりのように、
回転率は客の在店時間によって大きく異なる。
券売機で食券を買って、カウンターでそばを受け取り、
素早くかきこむ。立ち食いそば屋とはそういうものだが、
定食屋だとそうはいかない。
定食が出てくるまで多少の待ち時間があるし、
食べるのにもそれなりの時間がかかる。
どんなに急いでも20分くらいはかかる。
すると回転率は「60÷20」で3回転。
同じ15人のキャパシティのお店なら、
1時間当たりの総客数は「3×15」で45人にすぎない。
「そもそも立ち食いそば屋と定食屋では客単価が違うだろう」
と思う人がいるかもしれない。では、
立ち食いそば屋が400円、定食屋が800円だったとする。
おのおの1時間当たりの売上高を計算して比較すると、
「150×400=6万円」「45×800=3万6000円」となり、
立ち食いそば屋に軍配があがる。
この勝因はひとえに回転率のよさにある。
ついでに、このケースをもとに月商を計算してみよう。
朝8時から夜8時までの12時間お店を開けて、
ウイークデーのみの営業だったとする。
暇な時間もあるので、
時間当たり売り上げは6万円の半分としても
「3万×12×5×4=720万円」。…
この通りいけば、よい商売だ。
そして、もう一つ立ち食いそば屋の強みがあると私は見ている。
それは食材のロス率の低さだ。
実は私は公認会計士として独立する際、
商売を学びたいと考えてタイ焼き屋を開いたことがある。
そこでわかったのは、原材料となる食材を無駄にすることが
ほとんどなかったことによるメリットだった。
餡子は冷凍しておけば日持ちがするし、
玉子もそうそう腐るものではない。
それに湿気さえ気を付けておけば、
小麦粉がダメになるということもない。
だからせっかく仕入れたものを無駄にすることがなく、
あとは客足に応じてタイ焼きを焼いていくだけで済んだ。
立ち食いそば屋の食材というと、
そばにうどん、てんぷらのネタに使うエビや野菜、
それとワカメにネギといったところだろう。
生ものを扱う定食屋と違って、
どれも日持ちがして、仕入れた食材を無駄にすることが少ないはずだ。
1杯300円、400円という小さな商いのように思える立ち食いそば屋だが、
実はその裏側ではきちんと“儲けのシステム”が確立されているのだ。
こう見ていくと商売って本当に面白いものだと思う。
公認会計士・税理士 柴山政行
構成=高橋晴美 図版作成=ライヴ・アート
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20140816/President_13150.html
写真は、わたしの大好きだった「立ち食い蕎麦」
写真は、以下のブログよりお借りしました。
http://blog.goo.ne.jp/signofthetimes/e/10dd7708dd0daf89be1978eced0c3c08
『さおだけ屋は、なぜ潰れないのか』という本がありまあすが、
実態は、「筆者の言う、単価は高く、費用はなるべく低くの理にかなっており、
“潰れない”というわけだ。本の内容は
具体例を誇張した会計学入門書の域を出ず、
私が期待していた『さおだけ屋』マジックは
残念ながら存在しなかった。」
http://www.dir.co.jp/library/column/061214.htmlより
上記事例も、この話とにたところがあります。