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米ブルーボトルコーヒーの強烈な潜在力

2014年06月07日 10時38分59秒 | 学習支援・研究
スタバ震撼?「コーヒー界のアップル」日本へ
米ブルーボトルコーヒーの強烈な潜在力
Ayako Jacobsson :ジャーナリスト
2014年05月28日
東洋経済オンライン

オークランドにあるブルーボトルコーヒーの本社(写真)



そのコーヒー店にはいくつかの呼び名がある。
「サードウェーブ(第3の波)コーヒー」
「コーヒー界のアップル」
「フェラーリ並みのコーヒー」……。
アメリカ西海岸発祥のブルーボトルコーヒーのことだ。

2002年に元クラリネット奏者のジェームス・フリーマンが設立し、
名だたるベンチャー・キャピタリスト(VC)や
投資家から計4,570万ドルの資金を集めている。
コーヒー作りに時間をかけ、おいしさを追求する一方、
2,000ドル以上の高額なエスプレッソマシンを
バリスタの90分の無料トレーニング付きで販売するなど、
何かと話題を提供中だ。
4月には、コーヒー体験をオンラインで提供する
トンクスやハンサム・コーヒー・ロースターズを買収した。

フリーマンは、有名な楽団から声がかからないとクラリネット演奏をあきらめ、
貯金を使ってサンフランシスコの東に位置するオークランドのアパートで
コーヒーの焙煎を始めた。
そして、バークレーのファーマーズ・マーケットで
コーヒーを売り出した。その後、
友人が持つサンフランシスコにあるガレージを借りて、
常設のコーヒーのキオスクを始めた。

2010年にはニューヨークに進出を果たし、
現在は東海岸に7店、西海岸に6店と、計13店を展開している。
スタンフォード大学のそばにあるパロアルト駅の前にも
開設間近で、ロサンゼルスでも店舗を新設中だ。
IT関連の事業でもないのに、グーグル・ベンチャーズ、
インデックス・ベンチャーズ、インスタグラム、
ツイッターの設立者や、元グーグルのエグゼクティブたちが、
この新しいコーヒー会社に相次いで投資している。
彼らを魅了する理由は何だろうか。

個性的で地域に合った店舗展開

ブルーボトルコーヒーは、大手コーヒーチェーン店と違い、
各店舗が画一化されていない。
所在する地域に溶け込むべく、それぞれの店に特徴がある。

たとえば、オークランド本社に併設するカフェは海側の倉庫街にあり、
簡素で気取りがない。日曜と火曜の週2回、
14時から始まるコーヒーの試飲会は予約が不要で、
誰でも参加できる 。世界各地のコーヒー豆に対する顧客の反応を
製品開発につなげる役割を担っている。
チャイナタウンが近いため、
中国系の客やブラジルからの観光客も訪れていた。

同じオークランドの高級住宅地オークランド・ヒルズのふもとにある
ブロードウェイ店は、かつてはトラックのショールームで、
20年以上借り手がなかった場所だ。
店内の天井は高く、ゆったりしている。
いつも生花が生けてある丸い木のテーブルに、
地元の常連客がくつろぐ。
住民たちの持つエスプレッソマシンを修理する場所も、
カフェ内にある。150ドルを払えば
バリスタにコーヒーの本格的な入れ方を学べる。
まるで、アップルストア内で行われている
マックブックの講習会のようだ。

オフィスやマンションの多いサンフランシスコ・南サウスマーケットにある
ブルーボトルコーヒー店では、
オフィスワーカーや住民のためにエッグベネディクトやスープ、
サラダなど、食べ物のメニューを充実させている。
平日は11時まで朝食、ランチは12時から14時30分まで、
週末は14時までブランチを提供する。

サンフランシスコ・ミッション地区の広大なセラミック工場内にある店舗は、
オープンスペースが多く、セラミックの売店があったり、
セラミックの製造過程が見られたりする。
人通りの多いエンバカデロ沿いの船着場でもある
フェリータワービル内の店舗は、
アーケードの真ん中と北側の2カ所にコーヒーバーを常設。
時には、ビルの外にコーヒーのカートも出す。
周りにはトレンディなレストランや、
オーガニックの野菜やチーズ、
オリーブオイルを販売する店がある。
アーティステックで流行のトレンドになっている都会の各所に、
個性豊かな店舗を展開している。

ソムリエと話すようにバリスタと語る

実際に店舗を訪れた客に感想を聞いてみた。
「スターバックスの濃い味と違って、
コーヒー豆を焙煎し過ぎていない。だから、苦くなく、
甘味のあるマイルドな味」と常連のダイアン。
ヨット乗りのダニエルは
「焙煎してから10日経ったコーヒーを出すコーヒーチェーン店が多いと聞いたけど、
ブルーボトルは目の前で豆を挽いて出してくれる。
店員も感じがいい」と答えてくれた。

「朝はカプチーノ、昼はアイスコーヒーの
ニューオリンズ・スタイル・コールド・ブルゥ。
もうほかでは飲めない」と語るのはマイク。
マニアックな常連のジムは
「ドリップコーヒーが好き。1カップずつ丁寧に入れてくれるのがうれしい。
雰囲気が最高」と言う。ミルクで作った絵のある大きなカップで
出てくるモカの1杯が、税込みで5ドル以上と高いのだが、
アーティスト、エンジニア、銀行員、旅人らが列を作り、
コーヒーが出てくるのを待つ間に会話する 。
成功の秘密は、アメリカでは欠落していることの多い、
徹底したカスタマーサービスとこだわりの味だ。

ブルーボトルのコーヒー豆は、CEOのフリーマン自らが買い付けている。
小さな生産者から仕入れたフレッシュなオーガニックの豆を、
軽く焙煎する。味は大手コーヒー店のダークで油っぽい味とは対照的で、
柔らかく甘みがある。スターバックスと違って、
無料WiFiサービスはない。

目指しているのは、コーヒーのレストラン。
パソコンを打ちながらコーヒーを飲むのではなく、
コーヒーを出すバリスタとコーヒー談義をする。
つまり、コーヒー主体で、客がソムリエとワインの話をするように過ごすことを狙う。
店を構える場所も都会のトレンディで面白い所を選び、
最高においしいコーヒーを出す。

フリーマンは「おいしいものに敬意を払っている。
われわれはエクセレンス(卓越)を追い求めている」 と、
5月6~7日に オークランドで
開催されたスタートアップ会議(ヴェーター・スプラッシュ・コンフェレンス)で述べている。
また、同店でコーヒーを煎じて出すバリスタは、
バリスタ陪審員の前での試験に合格した者に限られている。

写真:ブロードウェイ店のモカ

「第3の波」は東京江東区にも到達


写真:ブロードウェイ店の正面

真空パックの開発によって世界中で幅広くコーヒーが飲まれるようになったのが、
コーヒーの第1の波。深煎りで苦みを楽しみ、
味を重視しながらマニュアル化したのが第2の波。
スターバックス、タリーズ、ピートコーヒーなどが
これに該当する。そして、最高のコーヒーを顧客に提供するという
こだわりの味が第3の波だ。ブルーボトルコーヒー、
シカゴのインテリジェンシアコーヒー、
ノースカロライナのカウンターカルチャーコーヒーなどが当てはまる。

一般的なコーヒーの販売は伸び悩んでいるが、
マイクロ・ブリュー・コーヒーの売り上げは約10 %伸びている 。
ブルーボトルに投資したVCは「大都市で産地を厳選したフレッシュなコーヒーが流行っており、
これから必ず大きく伸びる」と語る。
今までブルーボトルの店舗がなかった南カリフォルニアでは、
西ロサンゼルス郡のカルバーシティの
元日産ショールームに店舗を開設する予定だ。

ブルーボトルは店舗展開だけでなく、
コーヒー豆、物品販売、小売り事業も進めている。
同店内ではエチオピア、エルサルバドル、
ブラジル、スマトラのコーヒー豆が売られ、ネットでも販売中だ。
人気のニューオリンズ・スタイル・コールド・ブルゥは315ミリリットルのカートンで、
値段は約4ドル。ホールフーズマーケットなどで
今年初旬から売り出されている。

フリーマンの視線は米国内だけにとどまらない。
実は、彼が19才の時に東京を訪れている。
おカネがないのでコーヒーをよく飲んだというフリーマンは、
アメリカでは見かけないサイフォン式やドリップ式のコーヒーに出合い、
大きな影響を受けた。日本進出はフリーマンの長年の夢だったのだ。

2014年にはブルーボトルコーヒー・ジャパンを設立し、
江東区の清澄白河に初出店する予定。
米メディアは、同社が東京での事業に500万ドルを投じると報じている。
第3の波の本場の味を日本でも味わえる日が近づいている。

これが「ブルーボトルコーヒー」だ(写真)


高級食料品店ホールフーズでも売られている



トレードマークは青いビンだ

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