トヨタ自動車と日産自動車を分析する
なぜ日産は、「独り負け」しているのか
小宮 一慶 :経営コンサルタント
小宮一慶の会計でわかる日本経済の論点 -
東洋経済オンライン
2014年01月08日
写真:豪腕ゴーンCEOの「コミットメント経営」が裏目に出ている?(撮影:大澤 誠)
自動車メーカーの中間決算を見渡しますと、
円安や北米などでの売上増を受けて、総じて好調です。
トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーは
大幅な増収増益となり、特に富士重工やマツダなど4社では、
過去最高の営業利益を更新しました。
ところが、そういった中で唯一、日産自動車が減益となっています。
なぜ、同社だけが苦戦しているのでしょうか。
今回は、好業績が続くトヨタ自動車(以下、トヨタ)と、
残念ながら“独り負け”している日産自動車
(以下、日産)の決算内容を分析していきます。
「円安・北米好調・コストカット」で好業績続くトヨタ
まずは、引き続き好業績を維持しているトヨタの
2013年4~9月期の決算内容を見ていきます。
損益計算書(9ページ参照)を開きますと、
「売上高合計」は前年同期の10兆9,083億円から12兆5,374億円まで約15%増となっています。
「営業利益」も6,937億円から1兆2,554億円まで、約81%という
大幅な伸びを見せています。
さらに最終的な利益である「当期純利益」も5,482億円から1兆0006億円まで、
ほぼ倍増しています。それによりトヨタは増配をしました。
参考までにキャッシュ・フロー計算書(同13ページ)にも目を通しますと、
営業活動から得られる現金の収支を示した
「営業キャッシュ・フロー」の「営業活動から得た現金<純額>」も、
1兆2,395億円から1兆9,670億円まで約59%も伸びています。
さらに、売上高がどれだけ効率的にキャッシュ・フローを稼いでいるのかを示す
「キャッシュフローマージン(営業キャッシュ・フロー÷売上高)」を計算しますと
15.7%となり、キャッシュフローから見ても、
非常に収益性が高いことがわかります。
なぜ、これほどまでに業績が大幅に改善しているのでしょうか。
もう少し詳しく分析するために、
地域別の生産実績(2013年4~9月)を見てみましょう。
生産台数が大幅に増えているのは、北米と欧州です。
北米は、前年同期より約5万台の増加。
欧州は、約6万台増加しています。一方、
日本は6万台近く減少しているのです。
これと併せて、地域別の収益を見てみます。
最も売上高が伸びているのが北米です。
「売上高合計」は前年同期より1兆円近く増えており、
その内訳によると、特に伸びているのは
北米内での売り上げを示す「外部顧客への売上高」です。
絶大な円安効果
ただし、北米は「営業費用」も1兆1,000億円ほど増えてしまっていることから、
「営業利益」は約2000億円減となりました。
その一方で、驚異的な増益となっているのが日本です。
まず「売上高合計」を見ますと、前年同期より5,000億円以上伸びています。
その中でも特に伸びているのが、日本から海外への
輸出による売上高を示す「所在地間の内部売上高」です。
そして「営業費用」はほぼ変わらないわけですから、
そのまま「営業利益」に反映して、5,800億円の増加となりました。
前年同期より3倍以上伸びています。(同15~16ページ参照)
先ほど生産実績を見ましたが、日本の生産台数は減少していましたね。
それにもかかわらず、大幅な増収増益となっているのです。
さらにその内訳を見ると、輸出での売り上げが伸びていることを考えますと、
この大幅な業績の伸びは円安の影響が大きいと言えます。
ここ1年間のドル/円相場を振り返りますと、
昨年の9月は1ドル=79円前後で推移していました。
そして2013年の9月時点では、1ドル=99円前後ですから、
前年より約25%も円安が進んだことになります。
写真を拡大
つまり、北米に向けた輸出による売上高や利益の円換算額が増えているのです。
トヨタの発表によると、為替変動の影響による営業利益の押し上げ額は5,400億円ということです。
決して日本での生産台数・販売台数が増えたわけではない、
という認識が必要です。
もうひとつ、業績の押し上げ要因として、
米国の自動車市場が回復してきているという点もあります。
米国の「自動車販売台数」の推移を見ますと、
2012年8月は年換算で1442万台、9月は同1,471万台という水準でしたが、
2013年8月は1603万台まで回復していました。
こちらも、北米での販売が伸びた要因になっているのです。
そのほか、トヨタの発表によりますと、
営業利益が伸びた理由として、コストカットによる原価の改善が
1,400億円、営業面の努力による影響が400億円あったということです。
円安や北米の自動車市場の回復という環境要因に加え、
トヨタが得意とするコストカットなどの自社努力も業績に貢献したのです。
ヒット車種をつくれなかった日産自動車
次に、日産自動車の2013年4~9月期の決算内容を分析していきます。
冒頭でも触れましたが、大手自動車メーカーが軒並み増収増益となっている中で、
なぜ日産だけが業績を落としているのでしょうか。
まず、損益計算書(6ページ参照)から見てみましょう。
「売上高」は4兆6,36億円から4兆7562億円まで増えています。
「売上原価」は微増していますが、
「売上総利益」は6,968億円から8,330億円まで伸びています。
ただし、「販売費及び一般管理費」が4,690億円から6,111億円まで大幅に増えてしまったため、
「営業利益」は2,277億円から2,219億円まで減少してしまいました。
為替変動の好影響はあったものの、リコール費用や
メキシコ工場の償却負担が営業利益を押し下げてしまったということです。
業績自体は悪い水準ではありませんが、
前期より落としてしまっていることは間違いありません。
その結果、日産は今期の業績予想を2期連続で下方修正しました。
先にも述べたように、ほかの日本の自動車メーカーが
軒並み好決算を出している中では、かなり異例だとも言えます。
もう少し詳しく分析してみましょう。
所在地別の業績をまとめたセグメント情報
(2012年4~9月と2013年4~9月、17~18ページ参照)を見てください。
「売上高合計」を見ますと、日本は2兆2,560億円から2兆3,108億円まで少し伸びています。
前半で分析したトヨタほどの伸びはありません。
「営業利益」は、878億円から1,742億円という、まずまずの伸びです。
では、どこで利益が落ち込んでいるのかといいますと、
「北米」「欧州」「アジア」、中近東や中南米を含む「その他」の地域です。
日本を除くすべての地域で、売上高は増えているものの、
営業利益が減少しているのです。
この理由は、なぜでしょうか。ひとつめのポイントは、
好調であるはずの北米市場での営業利益が減少しているという点です。
北米市場というのは、高級車や高性能車が売れる最大の高収益市場です。
ここで利益が稼げないということは、
米国市場に対しての魅力的な車がそれほど出ていないと言えるのではないでしょうか。
これは、北米市場だけでなく、日本市場でも言えることです。
確かに日本のメーカーを見渡しても、高級車が売れているメーカーは
レクサスを持つトヨタくらいしかありません。
そこで、ホンダは軽自動車「N BOX」で成功しました。
スズキやダイハツなども軽自動車に力を入れていますし、
マツダや富士重工業は高性能車のラインナップを充実させるなど、
各社で目玉商品やヒット車種を作り上げています。
一方、日産は現在、目玉と言える商品がそれほどありません。
ハイブリッド車も北米市場で売れるようなハイテクの高級車も、
人気のある車種がほとんどないのです。
ゴーン氏のコミットメント経営が裏目に出ている!?
2つめのポイントは、日産は新興国市場に懸けていた部分があったのですが、
頼みの新興国経済が減速傾向にあるということです。
日産は、それほどの付加価値を要求しない新興国市場、
特に中国などで売り上げを伸ばしたいと考えていました。
ところが、今年6月あたりから米国のQE3(量的緩和第3弾)縮小予測が広がってきたことで、
新興国への投資資金が引き揚げられ、
成長率が鈍化してきているのです。
さらに、日産のパートナーであるルノーの本拠地、
欧州の経済も、財政縮小の影響で景気が低迷しており、
デフレ傾向が進みつつあります。このように、
注力しているアジアや欧州の経済成長が停滞していることが、
日産の戦略に合わなくなってきていることも、
業績悪化の原因となっているのです。
その裏側にあるのは、カルロス・ゴーン社長の
コミットメント(必達目標)経営にあるのではないか、という話もあります。
1999年にゴーン氏が社長に就任する前、日産の経営は極めて厳しい状況に陥っていました。
そこでルノーから派遣されたゴーン氏はコミットメント経営を行い、
日産を見事に立て直したのです。
ところが、こうした数値目標の達成がだんだん「目的化」してきてしまったことで、
会社の中で自由度が失われてしまったり、
必要な投資ができなくなってきてしまったのではないかと私は感じています。
その結果、魅力的な高性能車や高級車、
はたまた今、日本で人気のある小型車の開発が遅れてしまったのではないかと思われます。
何が何でも数値目標を達成するという、
ゴーン氏のコミットメント経営が、徐々に裏目に出てきたと言えます。
さらに、欧州債務危機の影響でルノーの業績が低迷していることで、
余計にルノーが日産の収益に頼ってきているという点も、
日産を苦しめる原因のひとつとなっています。
しかし、いずれにしても、日産はお客様にとって
魅力のある車を作らない限り、業績を改善させることは難しいでしょう。
私の師匠の藤本幸邦先生は、いつも
「おカネを追うな、仕事を追え」とおっしゃっていました。
確かに日産を立て直した当時は、コミットメント経営という手法は正解でしたが、
今は景気が回復してきたわけですから、状況が変わっているのです。
それでもなお、数字を追いかけてばかりで、
お客様が欲しい商品をつくらなければ、結局、
うまくいくことはありません。
今後、日産の経営方針がどのように変わっていくのか。
お客様にとって魅力ある車を開発していくのか。
それらの点が、業績回復のカギを握るのではないかと思います。
http://toyokeizai.net/articles/-/27834?page=5
なぜ日産は、「独り負け」しているのか
小宮 一慶 :経営コンサルタント
小宮一慶の会計でわかる日本経済の論点 -
東洋経済オンライン
2014年01月08日
写真:豪腕ゴーンCEOの「コミットメント経営」が裏目に出ている?(撮影:大澤 誠)
自動車メーカーの中間決算を見渡しますと、
円安や北米などでの売上増を受けて、総じて好調です。
トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーは
大幅な増収増益となり、特に富士重工やマツダなど4社では、
過去最高の営業利益を更新しました。
ところが、そういった中で唯一、日産自動車が減益となっています。
なぜ、同社だけが苦戦しているのでしょうか。
今回は、好業績が続くトヨタ自動車(以下、トヨタ)と、
残念ながら“独り負け”している日産自動車
(以下、日産)の決算内容を分析していきます。
「円安・北米好調・コストカット」で好業績続くトヨタ
まずは、引き続き好業績を維持しているトヨタの
2013年4~9月期の決算内容を見ていきます。
損益計算書(9ページ参照)を開きますと、
「売上高合計」は前年同期の10兆9,083億円から12兆5,374億円まで約15%増となっています。
「営業利益」も6,937億円から1兆2,554億円まで、約81%という
大幅な伸びを見せています。
さらに最終的な利益である「当期純利益」も5,482億円から1兆0006億円まで、
ほぼ倍増しています。それによりトヨタは増配をしました。
参考までにキャッシュ・フロー計算書(同13ページ)にも目を通しますと、
営業活動から得られる現金の収支を示した
「営業キャッシュ・フロー」の「営業活動から得た現金<純額>」も、
1兆2,395億円から1兆9,670億円まで約59%も伸びています。
さらに、売上高がどれだけ効率的にキャッシュ・フローを稼いでいるのかを示す
「キャッシュフローマージン(営業キャッシュ・フロー÷売上高)」を計算しますと
15.7%となり、キャッシュフローから見ても、
非常に収益性が高いことがわかります。
なぜ、これほどまでに業績が大幅に改善しているのでしょうか。
もう少し詳しく分析するために、
地域別の生産実績(2013年4~9月)を見てみましょう。
生産台数が大幅に増えているのは、北米と欧州です。
北米は、前年同期より約5万台の増加。
欧州は、約6万台増加しています。一方、
日本は6万台近く減少しているのです。
これと併せて、地域別の収益を見てみます。
最も売上高が伸びているのが北米です。
「売上高合計」は前年同期より1兆円近く増えており、
その内訳によると、特に伸びているのは
北米内での売り上げを示す「外部顧客への売上高」です。
絶大な円安効果
ただし、北米は「営業費用」も1兆1,000億円ほど増えてしまっていることから、
「営業利益」は約2000億円減となりました。
その一方で、驚異的な増益となっているのが日本です。
まず「売上高合計」を見ますと、前年同期より5,000億円以上伸びています。
その中でも特に伸びているのが、日本から海外への
輸出による売上高を示す「所在地間の内部売上高」です。
そして「営業費用」はほぼ変わらないわけですから、
そのまま「営業利益」に反映して、5,800億円の増加となりました。
前年同期より3倍以上伸びています。(同15~16ページ参照)
先ほど生産実績を見ましたが、日本の生産台数は減少していましたね。
それにもかかわらず、大幅な増収増益となっているのです。
さらにその内訳を見ると、輸出での売り上げが伸びていることを考えますと、
この大幅な業績の伸びは円安の影響が大きいと言えます。
ここ1年間のドル/円相場を振り返りますと、
昨年の9月は1ドル=79円前後で推移していました。
そして2013年の9月時点では、1ドル=99円前後ですから、
前年より約25%も円安が進んだことになります。
写真を拡大
つまり、北米に向けた輸出による売上高や利益の円換算額が増えているのです。
トヨタの発表によると、為替変動の影響による営業利益の押し上げ額は5,400億円ということです。
決して日本での生産台数・販売台数が増えたわけではない、
という認識が必要です。
もうひとつ、業績の押し上げ要因として、
米国の自動車市場が回復してきているという点もあります。
米国の「自動車販売台数」の推移を見ますと、
2012年8月は年換算で1442万台、9月は同1,471万台という水準でしたが、
2013年8月は1603万台まで回復していました。
こちらも、北米での販売が伸びた要因になっているのです。
そのほか、トヨタの発表によりますと、
営業利益が伸びた理由として、コストカットによる原価の改善が
1,400億円、営業面の努力による影響が400億円あったということです。
円安や北米の自動車市場の回復という環境要因に加え、
トヨタが得意とするコストカットなどの自社努力も業績に貢献したのです。
ヒット車種をつくれなかった日産自動車
次に、日産自動車の2013年4~9月期の決算内容を分析していきます。
冒頭でも触れましたが、大手自動車メーカーが軒並み増収増益となっている中で、
なぜ日産だけが業績を落としているのでしょうか。
まず、損益計算書(6ページ参照)から見てみましょう。
「売上高」は4兆6,36億円から4兆7562億円まで増えています。
「売上原価」は微増していますが、
「売上総利益」は6,968億円から8,330億円まで伸びています。
ただし、「販売費及び一般管理費」が4,690億円から6,111億円まで大幅に増えてしまったため、
「営業利益」は2,277億円から2,219億円まで減少してしまいました。
為替変動の好影響はあったものの、リコール費用や
メキシコ工場の償却負担が営業利益を押し下げてしまったということです。
業績自体は悪い水準ではありませんが、
前期より落としてしまっていることは間違いありません。
その結果、日産は今期の業績予想を2期連続で下方修正しました。
先にも述べたように、ほかの日本の自動車メーカーが
軒並み好決算を出している中では、かなり異例だとも言えます。
もう少し詳しく分析してみましょう。
所在地別の業績をまとめたセグメント情報
(2012年4~9月と2013年4~9月、17~18ページ参照)を見てください。
「売上高合計」を見ますと、日本は2兆2,560億円から2兆3,108億円まで少し伸びています。
前半で分析したトヨタほどの伸びはありません。
「営業利益」は、878億円から1,742億円という、まずまずの伸びです。
では、どこで利益が落ち込んでいるのかといいますと、
「北米」「欧州」「アジア」、中近東や中南米を含む「その他」の地域です。
日本を除くすべての地域で、売上高は増えているものの、
営業利益が減少しているのです。
この理由は、なぜでしょうか。ひとつめのポイントは、
好調であるはずの北米市場での営業利益が減少しているという点です。
北米市場というのは、高級車や高性能車が売れる最大の高収益市場です。
ここで利益が稼げないということは、
米国市場に対しての魅力的な車がそれほど出ていないと言えるのではないでしょうか。
これは、北米市場だけでなく、日本市場でも言えることです。
確かに日本のメーカーを見渡しても、高級車が売れているメーカーは
レクサスを持つトヨタくらいしかありません。
そこで、ホンダは軽自動車「N BOX」で成功しました。
スズキやダイハツなども軽自動車に力を入れていますし、
マツダや富士重工業は高性能車のラインナップを充実させるなど、
各社で目玉商品やヒット車種を作り上げています。
一方、日産は現在、目玉と言える商品がそれほどありません。
ハイブリッド車も北米市場で売れるようなハイテクの高級車も、
人気のある車種がほとんどないのです。
ゴーン氏のコミットメント経営が裏目に出ている!?
2つめのポイントは、日産は新興国市場に懸けていた部分があったのですが、
頼みの新興国経済が減速傾向にあるということです。
日産は、それほどの付加価値を要求しない新興国市場、
特に中国などで売り上げを伸ばしたいと考えていました。
ところが、今年6月あたりから米国のQE3(量的緩和第3弾)縮小予測が広がってきたことで、
新興国への投資資金が引き揚げられ、
成長率が鈍化してきているのです。
さらに、日産のパートナーであるルノーの本拠地、
欧州の経済も、財政縮小の影響で景気が低迷しており、
デフレ傾向が進みつつあります。このように、
注力しているアジアや欧州の経済成長が停滞していることが、
日産の戦略に合わなくなってきていることも、
業績悪化の原因となっているのです。
その裏側にあるのは、カルロス・ゴーン社長の
コミットメント(必達目標)経営にあるのではないか、という話もあります。
1999年にゴーン氏が社長に就任する前、日産の経営は極めて厳しい状況に陥っていました。
そこでルノーから派遣されたゴーン氏はコミットメント経営を行い、
日産を見事に立て直したのです。
ところが、こうした数値目標の達成がだんだん「目的化」してきてしまったことで、
会社の中で自由度が失われてしまったり、
必要な投資ができなくなってきてしまったのではないかと私は感じています。
その結果、魅力的な高性能車や高級車、
はたまた今、日本で人気のある小型車の開発が遅れてしまったのではないかと思われます。
何が何でも数値目標を達成するという、
ゴーン氏のコミットメント経営が、徐々に裏目に出てきたと言えます。
さらに、欧州債務危機の影響でルノーの業績が低迷していることで、
余計にルノーが日産の収益に頼ってきているという点も、
日産を苦しめる原因のひとつとなっています。
しかし、いずれにしても、日産はお客様にとって
魅力のある車を作らない限り、業績を改善させることは難しいでしょう。
私の師匠の藤本幸邦先生は、いつも
「おカネを追うな、仕事を追え」とおっしゃっていました。
確かに日産を立て直した当時は、コミットメント経営という手法は正解でしたが、
今は景気が回復してきたわけですから、状況が変わっているのです。
それでもなお、数字を追いかけてばかりで、
お客様が欲しい商品をつくらなければ、結局、
うまくいくことはありません。
今後、日産の経営方針がどのように変わっていくのか。
お客様にとって魅力ある車を開発していくのか。
それらの点が、業績回復のカギを握るのではないかと思います。
http://toyokeizai.net/articles/-/27834?page=5