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先日、姉と電話した。「お互い、自分を表現してないね。」と嘆き合った。と、いうことで始めたブログです。

『ゴールデンスランバー』

2010-01-30 19:30:42 | 文学
本日、2008年本屋大賞、第21回山本周五郎賞受賞した伊坂幸太郎さん原作の『ゴールデンスランバー』が公開されます。

公式サイトの『ゴールデンスランバー』で確認すると…

キャストは堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之、柄本明、濱田岳、渋川清彦、ベンガル、大森南朋、貫地谷しほり、相武紗季、伊東四朗などなど…

どの人も映画の主演を張れる役者さんばっかりじゃないですか!!

何がすごいって、主役が堺雅人さんっていうのが素晴らしいですよね。

『ジェネラルルージュの凱旋』の演技を見てすっかりファンになってしまいました!!

もちろん、竹内結子さんも大好きです!!



物語のあらすじや見どころなんかは公式サイト『ゴールデンスランバー』を確認していただければいいとして…

僕が初めてこの小説を読んだときのことをお話いたします。

もともと伊坂幸太郎さんの作品は大好きで『アヒルと鴨のコインロッカー』とか『砂漠』も紹介したことがあるのですが、この『ゴールデンスランバー』を読んだときの興奮は大変なものでした。

最初、「これなんなの?」と思ったのですが、どんどん読んでいくうちに物語に引き込まれてしまい、続きを読みたくてご飯を食べる時間をもどかしいと感じたり、翌日出勤なのに、読み終わる夜三時まで眠ることができなかったり…

ただただ夢中になりました。

おかげさまで生活がちょっと五里霧中でした。

それぐらい引き込まれてしまったのです。

同じく伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』を読んだ担当編集者が、

「なんだ、小説まだまだいけるじゃん!」

と快哉を叫んでしまったそうですが、まったく同じ感想をこの『ゴールデンスランバー』を読んだときに僕も感じました。

「この小説おもしろいなぁ」ではなく「小説まだまだいけるじゃん!」です。

「小説(人間の創造力)は無限だ!!」と感じさせてくれる作品なのです。

まだ読まれていない方は是非とも読んでください…

きっと、夢中になってしまいますよ。



さて、絶対スクリーンで『ゴールデンスランバー』観るぞ~!!

そして、その後、小説を読み返します!!



もし、映画や小説をご覧になられた方がおられましたら、是非感想を教えてくださいな~

ではでは、皆さん良い夜を…


『道草』

2007-10-16 11:42:55 | 文学

『道草』  夏目漱石著



『道草』(みちくさ)は、夏目漱石の長編小説。「朝日新聞」に、1915(大正4)年6月3日から9月14日まで掲載された。

「吾輩は猫である」執筆時の生活をもとにした漱石自身の自伝であるとされる。主人公健三は漱石、金をせびりに来る島田は漱石の養父である塩原昌之助であるという。

私小説風のため、小宮豊隆らからはあまり勧められないなどと書かれ、不評であった。しかし、これまで漱石のことを余裕派と呼び、その作風・作品に批判的であった、いわゆる自然主義と呼ばれる作家達からは高く評価された。


【あらすじ】
留学から帰った健三は大学教師になり、忙しい毎日を送っている。だがその妻お住は、夫を世間渡りの下手な偏屈者と見ている。

そんな折、かつて健三夫婦と縁を切ったはずの養父島田が現れ金を無心する。さらに妹や妻の父までが現れ、金銭等を要求する。健三はなんとか工面して区切りをつけるが、最後に「世の中に片付くなんてものは殆どない」と吐き出す。



「なんでまた漱石?」と思われた方もおられるかもしれませんね…

まぁ、ちょっとした『道草』を…


『夜は短し歩けよ乙女』

2007-08-03 23:28:39 | 文学

『夜は短し歩けよ乙女』  森見 登美彦著



本屋さんで大々的に宣伝しているのでずっと前から気にかかっていた作品です。

なにしろ本屋大賞2位!!

さらにカバー絵がASIAN KUNG-FU GENERATIONのジャケットでお馴染みの中村佑介さんの手によるものであるのも大きな要因です。



で、読んでみたところ…

いや~、オモチロイ!!

こんな何にも考えず楽しめる作品は久しぶりです。



ストーリーはといいますと…

“私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ!先輩、奇遇ですねえ!」…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都”

というもの…

要するに“私”が“黒髪の乙女”と自分の距離を縮めようと必死こいて頑張る姿とその最中に起こるとんでもない事件の数々を描いたものなのです!!

“黒髪の乙女”が京都の街を所狭しと駈けずり廻ります。

それに翻弄されつつも、必死こいて彼女の気を引こうとする“私”の努力はバカらしくも微笑ましいもので好感がもてるのです。



読んでいて、自分の高校生三年生の頃を思い出しました。

同じ部活の後輩の女の子に恋して、用もないのにめったやたら部室の前に行ったり、その後輩の掃除場所をウロウロしたり…

で、会ったら「いや、やることなくてさ…」とか言ってみたり…

受験生なんだから勉強すればいいものを…

いや~、淡く青いなぁ…



それにしても、この物語は脇役が個性的です。

全くもって謎の人物である樋口氏…(空が飛べます!!)

うわばみの羽貫さん…(スゴイ美人!!)

謎の老人である李白…(偽電気ブラン飲んでみたい!!)



僕がもっとも気に入ったのはパンツ総番長!!

彼は、“一年前の学園祭に出会った彼女に会うために一念発起して、吉田神社に願掛け 彼女に再び出逢えるその日まで、二度とパンツは脱がないと誓った”というツワモノです。

完全におかしな人ですね。

羽貫さんはパンツ総番長の話を聞き、

「人間として力の要れどころを激しく間違っているよね」

と、評価し、

“私”は「志は素晴らしいが、目的地から真逆の方角へ全力で走っている印象が濃い。」という感想を抱き、「彼の力一杯の逆走ぶりをたたえ」、握手を求めます。

僕はこの『目的地から真逆の方角へ全力で走っている』感じが大好きです!!

きっと、こんな風に『力一杯逆走している』人を見かけたら「友達になりたい!!」と思うでしょう。

まぁ、パンツを履き替えないのは考えものですが…



まぁ、そんなこんなでこの作品は本当にオモチロイのです!!

是非是非、皆様も読んでみてくださいな!!


『アヒルと鴨のコインロッカー』

2007-06-13 15:19:34 | 文学

『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎 著



僕が初めて読んだ伊坂幸太郎さんの作品です。

最初、「何なんだ?この突拍子もない始まりは?」と感じたのを覚えています。

しかし、読み進めていくうちに夢中になっていくのを感じました。

そして…

最後の仕掛けが明かされた時には、「嘘!!マジで!?」と声を上げてしまいました。

すごい作品です!!



ストーリーといいますと…

“引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!” 

というもの…


まぁ、これは「何なんだ?この突拍子もない始まりは?」と、僕が感じた冒頭の部分のみのあらすじです。

その後、どうしてこのようなことをしなくてはならなくなったのかが明らかにされるのです。



この作品は読後に爽快感と切なさを感じさせる名作です…

そして、「文学はまだまだ死んでない!!」と思わせるものでした。

読んでいない方は是非とも読んで欲しい作品です。



ところで、この作品、映画化されて、もうすぐ公開されるとのこと!!

信じられん…

どう考えても映画化不可能な作品だと思っていたのですが…

その仕掛けを知るのが楽しみで楽しみで仕方がありません!!



キャストもなかなかのもの…

濱田岳、瑛太、関めぐみ、松田龍平などなど…

特に関めぐみは、山崎まさよしと共演した『8月のクリスマス』で大好きになってしまいました!!

う~ん、楽しみだ…



『アヒルと鴨のコインロッカー』映画公式ウェブサイトに、

『人生を変えるほどの切なさが、ここにある。』

と、記してあります。

このキャッチコピーは、決して大袈裟なものではないのかもしれません…

十代の多感な時期にこの作品に触れたならば、

本当に“人生を変えるほどの切なさ”を感じるかもしれません…



作中でボブディランの声を“神の声”と称しています。

僕にとっての“神の声”はマニックスのジェイムズ?甲本ヒロト?宮沢和史?

いつかその歌声を閉じ込めなくてはならないような事態に陥るかな?


そのときは、神様…


大人しく、閉じ込められていてくださいね…


『砂漠』

2007-05-28 22:59:19 | 文学

『砂漠』 伊坂幸太郎



最近、本をよく読みます。

ブログの更新が滞りがちなのもそのせいです…



仕事をする…

飲みに行く…

本を読む…



そしたら、他は何にもできなくなる。

読書に無我夢中で生活は五里霧中です。



「それはそれでいいかな?」と思っています。

時間が経てば、本を読むのに飽きて、走ったり、音楽を聴いたり、旅行に行ったり、美術館に行ったりするのに夢中になるでしょうから…



さて、現在、夢中である読書ですが、特に伊坂幸太郎さんの作品がお気に入りです…

この1月ほどの間で、『アヒルと鴨のコインロッカー』、『重力ピエロ』、『ラッシュライフ』、『死神の精度』、『チルドレン』、『週末のフール』、『陽気なギャングが地球を回す』、『魔王』、 『砂漠』、『オーデュボンの祈り』、『終末のフール』を読みました。

まだ、読んでいない作品を読むのが楽しみで仕方がありません。



で、今日は、『砂漠』を紹介いたします。

ストーリーですが、出版社 / 著者からの内容紹介をそのまま載せますと…

“麻雀、合コン、バイトetc……普通のキャンパスライフを送りながら、「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え、もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者群像を活写。日本全国の伊坂ファン待望、1年半ぶりの書き下ろし長編青春小説! ”

というもの…

まぁ、世間一般でいう青春ものですね。

しかし、単なる青春もので終わっていないのは、きっと“西嶋”という登場人物の存在のおかげだと思われます。

彼は彼なりの理論で自分が正しいと感じることを実行していきます。

その様子は“スマート”とか“クール”という言葉からはかけ離れており、むしろ、“泥臭い”とか“合理的ではない”という言葉に近いものです。


こんなエピソードがあります…(うろ覚えなので、多少怪しいのですが…)


主人公である、北村がネット上で保健所のような飼い主不明の動物を預かる施設において、預かり期間が終わり、明日殺されてしまうドーベルマンの存在を知ります。

彼はやり切れない思いに、苛まれます。

しかし、そのドーベルマンを助けたとしても、次に預かり期間が終わった犬はどうなるのか?全ての犬を助けることはできない…

そのような思いを抱えつつ、彼は何の行動も起こしません。

翌日、西嶋に会うことになった北村は驚きの事実を目の当たりにします。

西嶋も北村と同じ施設のサイトを見、朝一番でドーベルマンを引き取りに行っていたのです!!

北村は、自分の思いをぶつけます。「次に預かり期間が切れた動物も引き取る気なのか?」と…

それに対して、西嶋は「あぁ、あのサイトはもう見ないから大丈夫です。」と平気な顔して、のたまいます。

北村はそんな西嶋に絶句し、「そんな…、“もう見ないからいい”なんて矛盾している。」と訴えます。

西嶋は「矛盾してたら、ダメっていう法律があるんですか?」と、逆に問いかけるのです。



僕はこのやりとりにこの上ない面白味を感じます。



僕らは、世間一般の常識や道理や理論の整合性を以って、これから行うこと、行うべきことを考えます。

それは素晴らしいことです…

しかし、あまりのそれらにがんじがらめになっているがために、無条件に正しいことを行う際にも、ごちゃごちゃといろんなことを考えてしまい、結局、実行しないことも多々あるのです…

正しいと感じたならば、理屈をこねず、実行してみても良いのではないのでしょうか?

そんなことを考えさせられました…



僕も、西嶋のように、自分が正しいと感じることを実行できる人物になりたい…

実際にはなれなくても、そうなりたいと願っている人になることは可能です。

95%は可愛い女の子やお酒や楽しいことに夢中だとしても…

たった5%でもいい…

僕のベクトルが、この先、その方向を向いていますように…


『わが身世にふる、じじわかし』

2007-02-20 23:27:46 | 文学

『わが身世にふる、じじわかし』 芦原すなお


長かった…

そもそも、『わが身世にふる、じじわかし』を文庫で読んだ際に、すぐにこのブログで取り上げたかったのですが、

「いやいや、待てよ…。『ミミズクとオリーブ』と『嫁洗い池』を紹介していないのに、『わが身世にふる、じじわかし』を紹介していいものだろうか?否!!それは、芦原すなおさんに失礼だ!!」

と、勝手に考えてしまい、その二作を紹介して、やっとこの『わが身世にふる、じじわかし』を紹介できるようになったという訳なのです。



さて、この『わが身世にふる、じじわかし』のタイトルの意味はというと…

主人公である“僕”が、ある朝洗面所で自分の顔を見たところ、「器量が落ちたなぁ…」とふと気付き、しみじみとそのことを考えていたら、小野小町の『花のいろはうつりけないたづらにわが身よにふるながめせしまに』という短歌を思い出したところに、友人の河田警部が二人のお爺さんが行方不明となった事件の謎解きを奥さんに持ってきたので、「それは、“かどわかし”ならぬ“じじわかし”だ!!」と訳のわからないことをのたまい、さらに、それらをミックスした「わが身世にふる、じじわかし」という無意味な言葉を呟いてしまう…

という訳がわからない、意味があるような、ないようなものです。

このタイトルだけで、この作品のユーモアが伝わるのではないのでしょうか?



さて、今回の事件のトリックは…

どうでもいいので記述いたしません!!

ただ、『ミミズクとオリーブ』のシンプルなトリックの方が僕は好きです。



さてさて、“僕”と河田警部の子どものような掛け合いは今回も健在です。

読んでる最中、ついニヤニヤしてしまいます。

この軽妙な掛け合いは読んでいて、本当に気持ち良いです。



そして、今回も料理が美味そうです!!

ちらし寿司、イリコ飯、ソラマメなどなど…

しかし、特筆すべきなのは、昔ながらの悪辛いソースで作ったお好み焼き!!

ほんっとうに美味しそうなのです!!

もう、これに至っては、読んだ後、猛烈にお好み焼きを食べに行きたくなりました!!

“僕”が晩御飯に適した時間まで、腕立て伏せや腹筋などをして時間を潰した気持ちがよ~くわかります。

じっとしていられないのです!!

じっとしていられないので、お好み焼き食べに行ってしまいました。



なかなか美味しかったです。



皆さ~ん、お好み焼きをつまみに今度一杯やりましょう。

きっと、“僕”や河田警部や奥さんの晩餐に負けないくらい楽しい会になるでしょうから…

あぁ、平山あやみたいな可愛い方とお好み焼き食いに行きたいなぁ…(この前、『バックダンサーズ』観たから)


『嫁洗い池』

2007-02-18 12:22:27 | 文学

『嫁洗い池』 芦原すなお



先日、紹介した『ミミズクとオリーブ』シリーズ第二弾!!

相変わらず、楽しく、美味しそうな作品です。



そもそも、表紙が美味しそう!!

この表紙を見て、誰が「うむむ、これは推理小説であるな!!しかも、かなりのシリアスで巧妙なトリックを描いてあるに違いない!!」などと思うでしょうか?

前作の『ミミズクとオリーブ』の表紙と比較して、作品の雰囲気をより上手く(そして、より美味く!!)伝えています。

この表紙は、表題作である『嫁洗い池』の冒頭の部分で、主人公である“僕”が妻の伯母さんが郷土である香川の美味しい肉を送ってくれたので、妻と二人でガーデン炭焼き大会を開こうとしていたら、友人である河田警部が現れて、パクパクムシャムシャと食べられてしまい、「コンチクショー!!」となるシーンです。

しかも、その「コンチクショー!!」には、お酒の恨みも含まれているのです。

ビールを愛する皆様ならば、「うんうん」と頷かれると思うのですが…

何か特別なことがあった時に、冷蔵庫もしくは冷凍庫にグラスを入れて、キンキンに冷やしたそれに注いで飲む一杯目のビールの格別なこと、言葉では言い表せません!!

それをですねぇ…

突然来訪した河田警部は、“僕”が“僕”のために冷やしておいたグラスで勝手にビールを飲んでしまうのです!!

自分を“僕”の立場に置いて想像してみたら、もう許せません!!

ハンカチを口にくわえて、「キーッ!!悔しいー!」と叫んでしまいそうです。

そのやり取りを作中では…


(河田警部が登場する前に、冷えたグラスで飲むビールの重要さをひとしきり説明しておいて…)

河田警部  「カンパーイ」(と一人で言ってあっという間にグラスを干す)

“僕”   「ああ、貴様。それはぼくが冷凍庫で冷やしておいた方のグラスじゃないか!」

河田警部  「ああ、いい塩梅に冷えてるよ。よく気がつくね、お前は」

“僕”   「そのグラスはぼくが楽しみに…」

河田警部  「二杯目からはどれで飲んだって同じだ」

“僕”   「今飲んだビールを返せ」

河田警部  「ああ。あと小一時間もしたら返してやるよ。下からね。あっはっは」

“僕”   「貴様…」

(ここで、奥さんからたしなめられちゃって、この話題は終わり)


ってな感じです。



こんな感じで事件の概要についても話すから、なかなか話は進まない。

『まだらの猫』という話を抜粋すると…


河田警部  「事件の場所は吉祥寺の駅から十分ほどのところにある高級住宅街です」

“僕”   「歩いて十分か、自転車で十分か?」

河田警部  「なんとも断らない場合は徒歩に決まってる」

~中略~

河田警部  「被害者は中堅の商社の会長、亜島丁三郎、八十七歳です。」

“僕”   「おお、亜島商事か」

河田警部  「お前、知ってたのか?」

“僕”   「いや、別に」

河田警部  「じゃあ、黙っててくれよ」


てな感じです。

このやり取りが軽妙で絶妙で楽しくて仕方ないのです。



そして、相変わらず料理の描写が美味しそう!!

読んでいると口の中に涎が溜まってきます。

『まだらの猫』に出てくる料理や食材の数々だけで…

エボダイの干物、干し海老、アラメ(ひじきと似た海草の一種)、ヒャッカ(春野菜の一種)、ヒャッカと豆腐を炒め煮した『雪花』、豆腐と揚げの甘辛く似た『兄弟煮』、三つ葉のお吸い物、小さめのイリコをインゲンや揚げやレンコン、ニンジンなどと炊き込んだご飯である『イリコ飯』

さらに、それぞれの料理や食材をどう美味しいのか、どう料理したら美味しいのかを、事細かに描写するのです!!

あぁ、美味しそう…



“僕”と奥さんのほのぼのした夫婦仲も健在です。

『まだらの猫』において、“僕”が吐血いたします。

病院に検査に行った後、“僕”は「死んでも、まぁ仕方ないかぁ…」みたいな内容を拗ねた調子で述べます。

すると、奥さんが静かな声で、

「どうして」

「どうして、そんなことが言えるの?」

と“僕”を直視してのたまうのです…

そして、“僕”は正座に座り直して自分のわがままと愚かしさを猛烈に反省するのです。

僕はその描写を読んで、「あぁ、なんか良いなぁ…」としみじみ思いました。

出来うるならば、平山あやのような可愛い方(昨日、バックダンサーズ観たから)とそんな仲になりたいものです。



あら?

やっぱり、今回もいまいち、まとまりのない文章になっちゃったなぁ…

まぁ、“百聞は一見に如かず”と申しますし、読んでみてくださいな。


『ミミズクとオリーブ』

2007-02-12 22:21:08 | 文学

『ミミズクとオリーブ』 芦原すなお



唐突ですが、僕はこの芦原すなおさんの作品がとても好きです。

今日、紹介する『ミミズクとオリーブ』や、その続編である『嫁洗い池』などは地元の図書館でアホみたいに何回も何回も借りました。

図書館の方は、「こいつ、何回も何回も同じ本借りやがって、内容覚えてないんちゃうか?」と思ったのではないでしょうか?

これがレンタルビデオ屋だったら、間違いなく「これは以前借りられていますが、よろしいでしょうか?」と尋ねられていますね。(借りたビデオのジャンルは内緒です。)

最近、『ミミズクとオリーブ』シリーズの最新巻である『わが身世にふる、じじわかし』という作品が文庫で出ているのを知って、大急ぎで本屋に行きました。

そこで知ったのは『ミミズクとオリーブ』も『嫁洗い池』も文庫で出版されているということ!!

衝撃でした…

まぁ、当然、三作全て購入いたしました。



さて、この作品は、主人公はそれぞれ異なるのですが、『青春デンデケデケデケ』→『雨鶏』→『ミミズクとオリーブ』シリーズという三部作(漱石の『三四郎』、『それから』、『門』みたいな感じです)の最後を担うものであります。

以前にこのブログでも取り上げたのですが、『青春デンデケデケデケ』は直木賞を受賞した永遠の青春小説であり、『雨鶏』は僕が最も愛する作品の一つです。

その続編である『ミミズクとオリーブ』…

おもしろくないわけがありません!!



内容を著者と出版社からの紹介をそのまま引用すると、


“美味しい郷土料理を給仕しながら、夫の友人が持ち込んだ問題を次々と解決してしまう新しい型の安楽椅子探偵――八王子の郊外に住む作家の奥さんが、その名探偵だ。優れた人間観察から生まれる名推理、それに勝るとも劣らない、美味しそうな手料理の数数。随所に語り口の見事さがうかがえる、直木賞受賞作家の筆の冴え”

とのこと。

何となく雰囲気が伝わりましたか?

この解説を読んでもわかると思いますが、この作品の読みどころは三つあるのです。

それを順に述べていきます。



一つ目 推理のトリック

この作品『創元推理文庫』という出版社から出ている、れっきとした推理小説なのですが…
その推理のトリックにちっとも重きが置いてありません。
主人公である“僕”の奥さんが、事件の概要を自宅で聴いた後、二、三のことを確認したら、あっさり事件を解き明かしてしまうのです。しかも、事件のことを聴く場も、種明かしの場もいつも食卓!!
これっぽっちも、もったいぶったりいたしません!!
この作品にとって、推理のトリックとかはあまり重要でないようです。
そして、それが、この作品の軽妙さを生み出す一つの要因となっているのです。



二つ目 会話の妙

主な登場人物は作家である“僕”、その奥さん、“僕”の友人である河田警部の三人ですが、その三人の会話が軽妙でとても楽しいのです。
特に、“僕”と河田警部のやりとりが楽しい。「子どもかっ!!」と笑いながら突っ込んでしまいそうになります。
この会話の妙が芦原すなおさんの最大の魅力なのだろうなぁ…



三つ目 讃岐料理の数々

この作品は前述したように推理小説です。
推理小説なのですが…
そこここに、登場する讃岐料理がめったやたら美味そうなのです。
讃岐名物の「醤油豆」。焼いたカマスのすり身と味噌をこね合わせた「さつま」、黒砂糖と醤油で煮つけた豆腐と揚げの煮物。カラ付きの小海老と拍子木に切った大根の煮しめ。新ジャガと小ぶりの目板ガレイの唐揚げ…
次々に奥さんが美味しそうな讃岐の郷土料理を作るのです。
そして、“僕”と河田警部がそれを本当に美味そうに食べるのです!!
芦原さんの食べ物に対する描写はなんともいえないものがあります。
ふぃー、涎が垂れてきた。



この三点を踏まえて、この作品をまとめると…


『推理小説だけど、あんまり推理のトリックに重きを置いていない、登場人物の会話が絶妙で、讃岐の郷土料理がめったやたら美味しそうな作品』


おかしな作品ですね…

しかし、読後に爽快感があります。

特にそれが顕著なのが、“僕”と奥さんが結婚するに至った『梅見月』というエピソードです。

奥さんが肺炎になりかけて(往診に来てくれた医師に言わせれば、肺炎まではいっていない『はいえ』くらいとのこと…)、“僕”が必死で看病する際に、ついつい“どうしても妻に先立たれるのはいやだ”などと考えているうちに結婚へのいきさつを思い出す…

というものであるのですが、二人のお互いを思いやる心情がしんみりとして素晴らしいのです(“僕”の思いやりはときおり見当ハズレなことをやらかし、大変楽しい!!)。

読後に爽快感と共に、「あぁ、将来こんな夫婦になれたらいいなぁ…」と、しみじみ思いました…



そして、最後に、

この作品の“僕”と河田警部はほんとっうに…


美味そうに酒を飲む!!


この作品を読むと、煮物やら練り物やら刺身やらで一杯やりたくなってしまうのです!!

コンビニで売っているスナック菓子やつまみじゃダメなんです!!

“おふくろの味”で一杯やりたくなるのです!!

実際、昨日、『わが身世にふる、じじわかし』を読んでいる途中で、イカの塩辛をアテにしてビールを飲まずにはおれませんでした…

読むと飲まずにはおれなくなる作品だなんて…



是非是非、皆さん読んでくださいな。

きっと、あなたも一杯やりたくなるでしょうから…

そして、それが、この作品の正しい読み方でしょうしね…



特に、みっちゃん!!

あなたは絶対読んどけ!!


『夜のピクニック』

2007-01-14 22:11:00 | 文学

恩田陸作 『夜のピクニック』



この作品は第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞を受賞し、映画にもなりました(僕は観てないんですけど…)。映画の公式ホームページはこちらです。

ストーリーはというと…

『夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、甲田貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。』

というもの!!



読後の感想は、「う~ん、青春って良いなぁ…」というものでした。



八十キロを歩くという日常では決して有り得ない状況のなかで、登場人物達が織り成す会話や行動、心の動き…

しかも、高校生という多感な時期に行われるという点…

その思い出はきっと一生忘れることができないものでしょう。



そういったものに僕はとても憧れます…



僕のこの憧れは「こんなイベント、僕の学校にもあったらなぁ…」といった憧れとは別のものです。

何せ、僕が通った高知大学では大学正門から室戸岬までの100キロを歩くという『室戸貫歩』というイベントがあったのですから…



僕はこのイベントに在学時には参加することはできませんでした…

当時、所属していた陸上部で長距離をやっていた僕はこのイベントとほぼ同時期に駅伝があったため、参加するどころではなかったのです。

陸上部を引退し、一度だけこの『室戸貫歩』に参加したのですが、この時僕は一人で走ってしまったのです。

ですから、友人と極限状態でいろんな話をするようなことはなかったのです(サポートをしてくれた、たつおさんとはいろんな話をしたなぁ…。『室戸貫歩』については『怪我をして喜ぶ人なんて…』『室戸貫歩について』『室戸貫歩について2』にも記載していますので、見てやってくださいな)。



その気になれば、叶えることができた憧れ…

それがこの『夜のピクニック』には描かれていました。

ですから、この作品を読んだとき、懐かしくも羨ましい気持ちになったのです…



さてさて、先日、新年より高知に遊びに行きました。

1月1日より一緒に飲んでくれたのは…

大学の時、いつもいつもつるんでたKとTちゃん、僕の四人目の姉と自負するnao☆姉さんでした。

nao☆姉さんは僕とKとTちゃんの男三人だけで飲むと聞いて、「華がない!!」と言って、参加してくれることになりました。

さすが、はちきん…



この時、既に僕は『夜のピクニック』を読了しており、三人とこんな会話をいたしました。


僕     「この前『夜のピクニック』って本読んだんじゃけど、その内容っていうのが高校生が24時間くらいで80キロを歩くイベント中の会話やできごとを描いた青春もんなわけですよ。」


Tちゃん  「それって、『室戸貫歩』じゃん!!」


僕     「うん、そう。でね、僕は大学生の頃『室戸貫歩』を友人と一緒に歩いたりしてないがん。じゃけん、何か羨ましくてね…。KとTちゃんとたつおさん(この時、家族麻雀のため不参加)と僕で四人でいろいろ話ながら『貫歩』してみたかったなぁ…、ってね。いったい、どんなこと話しただろうかなぁ?とか思うよ。」


Tちゃん  「そうやねぇ…、minoonとは一緒に歩いたことないねぇ…。たつおさんとはあるけどな。」


僕     「らしいね…。良いなぁ…。」


K     「よし、わかった!!」

 
僕     「え?何が?」

 
K     「来年の大晦日から出発して、俺らだけで『室戸貫歩』しよう!!」


僕     「ぶっ!!こんな真冬寒くて仕方ないわ!!」


K     「アホか!!寒さなんか関係あるか!!31日の昼に出発して室戸岬で初日の出を拝むんだ!!」


nao☆姉さん 「それは舐めすぎやないろうかね?朝8時に出発して翌日の昼に室戸に到着する人もたくさんおるらしいきにね~」


K     「じゃ、31日の朝出発だ!!」


nao☆姉さん 「それじゃ、私がサポーターしちゃうきにね~」


僕     「おいおい、マジですか…」


こんな感じで持ち上がった『室戸岬で初日の出を拝むぞ!!この野郎!!室戸貫歩』ですが…

本当に実行されるのでしょうか?



でも…

もし…

現実となるのならば…



必ず、『夜のピクニック』に負けない、おもしろいエピソードでいっぱいになるだろうなぁ…



もし良かったら、あなたもいかがですか?

きっときっと、おもしろい体験ができますよ~


『バッテリー』

2006-12-27 19:03:48 | 文学

あさの あつこ作 『バッテリー』



この作品は1996年に児童書として刊行され、5巻まで累計380万部突破する売り上げを突破し、2007年3月に映画化されるという話題の作品です。

ちなみに映画の公式ホームページは『こちら』です!!



『バッテリーⅠ』の最後に記載されている作品紹介によると…


『「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。―関係ないこと全部捨てて、おれの球だけを見ろよ」中学入学を目前に控えた春休み、岡山県境の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才ピッチャーとしての才能に絶大な自信を持ち、それゆえ時に冷酷なまでに他者を切り捨てる巧の前に、同級生の永倉豪が現れ、彼とバッテリーを組むことを熱望する。巧に対し、豪はミットを構え本気の野球を申し出るが―。『これは本当に児童書なのか!?』ジャンルを越え、大人も子どもも夢中にさせたあの話題作が、ついに待望の文庫化。 』


とのことです…



僕がこの作品を読もうと思ったのは後輩Tが、

「先輩、『バッテリー』読んでみてや!!おもしろいから!!」

と映画化が決定するずっと以前からすすめてくれていたからです。

そして、つい最近文庫を購入して読むに至ったのです。



『バッテリーⅠ~Ⅴ』までを読んだ感想を一言で述べるならば…




え?君たち、ホントに中1?




です!!



こいつら、確実に僕より精神年齢上ですよ!!

田舎の中学にこんな奴等いませんよ!!

しかも、中1って…

この前までランドセル背負っていたはずなのに!!



…特に『瑞垣』(登場人物の一人)

あなたはどこぞの策略家か軍師でしょうか?

今度、三国鼎立とか提案したりしないでしょうね?



文庫は今のところⅤまでしか刊行されていないようなので、Ⅵが刊行されるのを楽しみにしております。

あ~、早く続き読みたいな~。



作品紹介として成立してないなぁ、今回も…