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先日、姉と電話した。「お互い、自分を表現してないね。」と嘆き合った。と、いうことで始めたブログです。

『わが身世にふる、じじわかし』

2007-02-20 23:27:46 | 文学

『わが身世にふる、じじわかし』 芦原すなお


長かった…

そもそも、『わが身世にふる、じじわかし』を文庫で読んだ際に、すぐにこのブログで取り上げたかったのですが、

「いやいや、待てよ…。『ミミズクとオリーブ』と『嫁洗い池』を紹介していないのに、『わが身世にふる、じじわかし』を紹介していいものだろうか?否!!それは、芦原すなおさんに失礼だ!!」

と、勝手に考えてしまい、その二作を紹介して、やっとこの『わが身世にふる、じじわかし』を紹介できるようになったという訳なのです。



さて、この『わが身世にふる、じじわかし』のタイトルの意味はというと…

主人公である“僕”が、ある朝洗面所で自分の顔を見たところ、「器量が落ちたなぁ…」とふと気付き、しみじみとそのことを考えていたら、小野小町の『花のいろはうつりけないたづらにわが身よにふるながめせしまに』という短歌を思い出したところに、友人の河田警部が二人のお爺さんが行方不明となった事件の謎解きを奥さんに持ってきたので、「それは、“かどわかし”ならぬ“じじわかし”だ!!」と訳のわからないことをのたまい、さらに、それらをミックスした「わが身世にふる、じじわかし」という無意味な言葉を呟いてしまう…

という訳がわからない、意味があるような、ないようなものです。

このタイトルだけで、この作品のユーモアが伝わるのではないのでしょうか?



さて、今回の事件のトリックは…

どうでもいいので記述いたしません!!

ただ、『ミミズクとオリーブ』のシンプルなトリックの方が僕は好きです。



さてさて、“僕”と河田警部の子どものような掛け合いは今回も健在です。

読んでる最中、ついニヤニヤしてしまいます。

この軽妙な掛け合いは読んでいて、本当に気持ち良いです。



そして、今回も料理が美味そうです!!

ちらし寿司、イリコ飯、ソラマメなどなど…

しかし、特筆すべきなのは、昔ながらの悪辛いソースで作ったお好み焼き!!

ほんっとうに美味しそうなのです!!

もう、これに至っては、読んだ後、猛烈にお好み焼きを食べに行きたくなりました!!

“僕”が晩御飯に適した時間まで、腕立て伏せや腹筋などをして時間を潰した気持ちがよ~くわかります。

じっとしていられないのです!!

じっとしていられないので、お好み焼き食べに行ってしまいました。



なかなか美味しかったです。



皆さ~ん、お好み焼きをつまみに今度一杯やりましょう。

きっと、“僕”や河田警部や奥さんの晩餐に負けないくらい楽しい会になるでしょうから…

あぁ、平山あやみたいな可愛い方とお好み焼き食いに行きたいなぁ…(この前、『バックダンサーズ』観たから)


『嫁洗い池』

2007-02-18 12:22:27 | 文学

『嫁洗い池』 芦原すなお



先日、紹介した『ミミズクとオリーブ』シリーズ第二弾!!

相変わらず、楽しく、美味しそうな作品です。



そもそも、表紙が美味しそう!!

この表紙を見て、誰が「うむむ、これは推理小説であるな!!しかも、かなりのシリアスで巧妙なトリックを描いてあるに違いない!!」などと思うでしょうか?

前作の『ミミズクとオリーブ』の表紙と比較して、作品の雰囲気をより上手く(そして、より美味く!!)伝えています。

この表紙は、表題作である『嫁洗い池』の冒頭の部分で、主人公である“僕”が妻の伯母さんが郷土である香川の美味しい肉を送ってくれたので、妻と二人でガーデン炭焼き大会を開こうとしていたら、友人である河田警部が現れて、パクパクムシャムシャと食べられてしまい、「コンチクショー!!」となるシーンです。

しかも、その「コンチクショー!!」には、お酒の恨みも含まれているのです。

ビールを愛する皆様ならば、「うんうん」と頷かれると思うのですが…

何か特別なことがあった時に、冷蔵庫もしくは冷凍庫にグラスを入れて、キンキンに冷やしたそれに注いで飲む一杯目のビールの格別なこと、言葉では言い表せません!!

それをですねぇ…

突然来訪した河田警部は、“僕”が“僕”のために冷やしておいたグラスで勝手にビールを飲んでしまうのです!!

自分を“僕”の立場に置いて想像してみたら、もう許せません!!

ハンカチを口にくわえて、「キーッ!!悔しいー!」と叫んでしまいそうです。

そのやり取りを作中では…


(河田警部が登場する前に、冷えたグラスで飲むビールの重要さをひとしきり説明しておいて…)

河田警部  「カンパーイ」(と一人で言ってあっという間にグラスを干す)

“僕”   「ああ、貴様。それはぼくが冷凍庫で冷やしておいた方のグラスじゃないか!」

河田警部  「ああ、いい塩梅に冷えてるよ。よく気がつくね、お前は」

“僕”   「そのグラスはぼくが楽しみに…」

河田警部  「二杯目からはどれで飲んだって同じだ」

“僕”   「今飲んだビールを返せ」

河田警部  「ああ。あと小一時間もしたら返してやるよ。下からね。あっはっは」

“僕”   「貴様…」

(ここで、奥さんからたしなめられちゃって、この話題は終わり)


ってな感じです。



こんな感じで事件の概要についても話すから、なかなか話は進まない。

『まだらの猫』という話を抜粋すると…


河田警部  「事件の場所は吉祥寺の駅から十分ほどのところにある高級住宅街です」

“僕”   「歩いて十分か、自転車で十分か?」

河田警部  「なんとも断らない場合は徒歩に決まってる」

~中略~

河田警部  「被害者は中堅の商社の会長、亜島丁三郎、八十七歳です。」

“僕”   「おお、亜島商事か」

河田警部  「お前、知ってたのか?」

“僕”   「いや、別に」

河田警部  「じゃあ、黙っててくれよ」


てな感じです。

このやり取りが軽妙で絶妙で楽しくて仕方ないのです。



そして、相変わらず料理の描写が美味しそう!!

読んでいると口の中に涎が溜まってきます。

『まだらの猫』に出てくる料理や食材の数々だけで…

エボダイの干物、干し海老、アラメ(ひじきと似た海草の一種)、ヒャッカ(春野菜の一種)、ヒャッカと豆腐を炒め煮した『雪花』、豆腐と揚げの甘辛く似た『兄弟煮』、三つ葉のお吸い物、小さめのイリコをインゲンや揚げやレンコン、ニンジンなどと炊き込んだご飯である『イリコ飯』

さらに、それぞれの料理や食材をどう美味しいのか、どう料理したら美味しいのかを、事細かに描写するのです!!

あぁ、美味しそう…



“僕”と奥さんのほのぼのした夫婦仲も健在です。

『まだらの猫』において、“僕”が吐血いたします。

病院に検査に行った後、“僕”は「死んでも、まぁ仕方ないかぁ…」みたいな内容を拗ねた調子で述べます。

すると、奥さんが静かな声で、

「どうして」

「どうして、そんなことが言えるの?」

と“僕”を直視してのたまうのです…

そして、“僕”は正座に座り直して自分のわがままと愚かしさを猛烈に反省するのです。

僕はその描写を読んで、「あぁ、なんか良いなぁ…」としみじみ思いました。

出来うるならば、平山あやのような可愛い方(昨日、バックダンサーズ観たから)とそんな仲になりたいものです。



あら?

やっぱり、今回もいまいち、まとまりのない文章になっちゃったなぁ…

まぁ、“百聞は一見に如かず”と申しますし、読んでみてくださいな。


『ミミズクとオリーブ』

2007-02-12 22:21:08 | 文学

『ミミズクとオリーブ』 芦原すなお



唐突ですが、僕はこの芦原すなおさんの作品がとても好きです。

今日、紹介する『ミミズクとオリーブ』や、その続編である『嫁洗い池』などは地元の図書館でアホみたいに何回も何回も借りました。

図書館の方は、「こいつ、何回も何回も同じ本借りやがって、内容覚えてないんちゃうか?」と思ったのではないでしょうか?

これがレンタルビデオ屋だったら、間違いなく「これは以前借りられていますが、よろしいでしょうか?」と尋ねられていますね。(借りたビデオのジャンルは内緒です。)

最近、『ミミズクとオリーブ』シリーズの最新巻である『わが身世にふる、じじわかし』という作品が文庫で出ているのを知って、大急ぎで本屋に行きました。

そこで知ったのは『ミミズクとオリーブ』も『嫁洗い池』も文庫で出版されているということ!!

衝撃でした…

まぁ、当然、三作全て購入いたしました。



さて、この作品は、主人公はそれぞれ異なるのですが、『青春デンデケデケデケ』→『雨鶏』→『ミミズクとオリーブ』シリーズという三部作(漱石の『三四郎』、『それから』、『門』みたいな感じです)の最後を担うものであります。

以前にこのブログでも取り上げたのですが、『青春デンデケデケデケ』は直木賞を受賞した永遠の青春小説であり、『雨鶏』は僕が最も愛する作品の一つです。

その続編である『ミミズクとオリーブ』…

おもしろくないわけがありません!!



内容を著者と出版社からの紹介をそのまま引用すると、


“美味しい郷土料理を給仕しながら、夫の友人が持ち込んだ問題を次々と解決してしまう新しい型の安楽椅子探偵――八王子の郊外に住む作家の奥さんが、その名探偵だ。優れた人間観察から生まれる名推理、それに勝るとも劣らない、美味しそうな手料理の数数。随所に語り口の見事さがうかがえる、直木賞受賞作家の筆の冴え”

とのこと。

何となく雰囲気が伝わりましたか?

この解説を読んでもわかると思いますが、この作品の読みどころは三つあるのです。

それを順に述べていきます。



一つ目 推理のトリック

この作品『創元推理文庫』という出版社から出ている、れっきとした推理小説なのですが…
その推理のトリックにちっとも重きが置いてありません。
主人公である“僕”の奥さんが、事件の概要を自宅で聴いた後、二、三のことを確認したら、あっさり事件を解き明かしてしまうのです。しかも、事件のことを聴く場も、種明かしの場もいつも食卓!!
これっぽっちも、もったいぶったりいたしません!!
この作品にとって、推理のトリックとかはあまり重要でないようです。
そして、それが、この作品の軽妙さを生み出す一つの要因となっているのです。



二つ目 会話の妙

主な登場人物は作家である“僕”、その奥さん、“僕”の友人である河田警部の三人ですが、その三人の会話が軽妙でとても楽しいのです。
特に、“僕”と河田警部のやりとりが楽しい。「子どもかっ!!」と笑いながら突っ込んでしまいそうになります。
この会話の妙が芦原すなおさんの最大の魅力なのだろうなぁ…



三つ目 讃岐料理の数々

この作品は前述したように推理小説です。
推理小説なのですが…
そこここに、登場する讃岐料理がめったやたら美味そうなのです。
讃岐名物の「醤油豆」。焼いたカマスのすり身と味噌をこね合わせた「さつま」、黒砂糖と醤油で煮つけた豆腐と揚げの煮物。カラ付きの小海老と拍子木に切った大根の煮しめ。新ジャガと小ぶりの目板ガレイの唐揚げ…
次々に奥さんが美味しそうな讃岐の郷土料理を作るのです。
そして、“僕”と河田警部がそれを本当に美味そうに食べるのです!!
芦原さんの食べ物に対する描写はなんともいえないものがあります。
ふぃー、涎が垂れてきた。



この三点を踏まえて、この作品をまとめると…


『推理小説だけど、あんまり推理のトリックに重きを置いていない、登場人物の会話が絶妙で、讃岐の郷土料理がめったやたら美味しそうな作品』


おかしな作品ですね…

しかし、読後に爽快感があります。

特にそれが顕著なのが、“僕”と奥さんが結婚するに至った『梅見月』というエピソードです。

奥さんが肺炎になりかけて(往診に来てくれた医師に言わせれば、肺炎まではいっていない『はいえ』くらいとのこと…)、“僕”が必死で看病する際に、ついつい“どうしても妻に先立たれるのはいやだ”などと考えているうちに結婚へのいきさつを思い出す…

というものであるのですが、二人のお互いを思いやる心情がしんみりとして素晴らしいのです(“僕”の思いやりはときおり見当ハズレなことをやらかし、大変楽しい!!)。

読後に爽快感と共に、「あぁ、将来こんな夫婦になれたらいいなぁ…」と、しみじみ思いました…



そして、最後に、

この作品の“僕”と河田警部はほんとっうに…


美味そうに酒を飲む!!


この作品を読むと、煮物やら練り物やら刺身やらで一杯やりたくなってしまうのです!!

コンビニで売っているスナック菓子やつまみじゃダメなんです!!

“おふくろの味”で一杯やりたくなるのです!!

実際、昨日、『わが身世にふる、じじわかし』を読んでいる途中で、イカの塩辛をアテにしてビールを飲まずにはおれませんでした…

読むと飲まずにはおれなくなる作品だなんて…



是非是非、皆さん読んでくださいな。

きっと、あなたも一杯やりたくなるでしょうから…

そして、それが、この作品の正しい読み方でしょうしね…



特に、みっちゃん!!

あなたは絶対読んどけ!!


乾杯の音頭を頼まれた!!

2007-02-09 23:42:46 | 尊敬する人
今日、職場の若い衆で昼にケーキバイキングを食べに行きました。

僕はそれ程、甘いモノが好きという訳ではないのですが、どんなものなのか興味本位に連れてってもらったのです。

その結果…


すぐギブアップ!!


甘いモノばかり、そんなにたくさん食べれるものではありませんね…

後半、紅茶ばっか飲んでいました。



さてさて、今日、今度、結婚する後輩 I からメールが来ました。

内容は、

「結婚式の後の食事会で、乾杯の音頭をminoonさんにお願いしたいのですが…」

というもの…



僕は二つ返事で「喜んで!!」と返信したのですが、心の中では、

「また、エライ大任がまわってきたもんやなぁ…」

と、思いました。



何せ、その食事会には新郎新婦の親族合わせて40名しか招待してないとのこと…



思いのほか、少数精鋭。



そんな少数精鋭の集まりで、何故、僕?

もっと適任がいるのでは…



しかも、新郎は海上自衛隊の幹部候補生です。

つまり、彼の職場の同僚は海上自衛隊の方々なのです。

毎日、己の肉体を鍛えまくっている方々です…



文字通り、本当に精鋭。



そんな精鋭の中、何故、僕?



そんなことを思いつつも…

乾杯の音頭という大事な役割を任せてもらえるほど、新郎である I や新婦であるKさんに信頼されているということが…

嬉しくて嬉しくて仕方ありません…



片肘張らずに、自分の言葉で二人を祝う気持ちを表現してみようと思います。

二人の喜ぶ顔が見れたらいいなぁ…


『絶望に効く薬2』

2007-02-07 22:08:12 | アニメ・マンガ
『絶望に効く薬2』山田玲司



こんばんは!!

minoonです。



さて、今日は以前にも紹介した『絶望に効く薬』の2巻目について紹介いたします。

2巻についても数多くの著名人と対談しております、山田玲司さんは…



その中でも特に興味深かったのが町田康さんです。

町田康さんは『きれぎれ』という作品で芥川賞を受賞した作家さんです。

彼の代表作である『きれぎれ』と『夫婦茶碗』を読んだのですが、良い意味でも悪い意味でも、現代作家には珍しく“文学”を感じるものでした…

それだけでなく、『INU』というパンクバンドを率いていたこともあるミュージシャンでもあります。



僕は、この町田康さんの名前を微妙に知っていました。

というのも、僕の大好きなミュージシャンである『シアターブルック』の佐藤タイジさんが町田康さんと『ミラクルヤング』というユニットを組んでアルバムを出していたからです。

佐藤タイジさんは非常に文学的で独創的な詩とファンキーな音楽を奏でる方ですので、町田康さんも素晴らしい世界観を持った人なのだろうなぁ…、と思っていたら、実は芥川賞作家!!

凄い方です!!



まぁ、対談の中ではいろいろなことがテーマに挙がるのですが、おもしろかったのが、『INU』というバンドが売れなくなった時、彼は3年間何にも活動をしなかったということ。

その3年間、彼は昼間から酒を飲みながら、時代劇を5本も6本も観たり、図書館に通い本を読み漁ったりしたそうです…

そして、その期間の経験を基礎として、作家としてデビュー!!

そして、芥川賞受賞!!

とんでもない方ですね…



さらに、彼はこうのたまいます…

「“イヤなこと”はすな!!ひきこもり大いにけっこう!!」



衝撃ですね…

「ひきこもり大いにけっこう!!」

だなんて…



しかし、彼は実際にその経験を生かし、精神的に豊かな生活を現在送っているのです…

こんな話を聞くと、「今の自分の蓄えで何年引きこもれるかなぁ?」などと、ついつい考えてしまうのです。

まぁ、引きこもりとまではいかなくても、あくせく仕事をせず、ゆったりといろいろな事柄について考えてみたいものです…。

そして、物質的に貧しくても、精神的に豊かな生活を送りたい…



あなたはどう思われますか?




それでも…

僕は明日も働いていると思いますが…