ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

言葉尻しか捉えていない批判

2010年12月12日 | 国政事情考察
「大阪都・中京都」構想、石原知事「迷惑千万だ」(朝日新聞) - goo ニュース

 東京都の石原慎太郎知事は10日の定例会見で、橋下徹・大阪府知事と河村たかし・名古屋市長が掲げる「大阪都」「中京都」構想について、「国に二つも三つも都があるわけない。私は賛成できない。迷惑千万だ」と述べた。
 石原知事は「都というのは、首都というのは国の政府がある所をいう。名古屋とか大阪に都ができるというのは面妖な話で、あり得ない」と指摘。来春の都知事選で、橋下知事が「都構想」に賛同する候補者を支援する意向を示していることには、「大阪の場合は市議が府議より威張っていて、それを平らなものにするのは政治家の一つの試みだろうが、『都』は紛らわしい。そんなものを呼称する限り賛成しない」と話した。



 最近の石原の知的レベルの劣化には見るに堪えられぬものがあるが、これもそのうちの一つだろうか。彼が大阪都構想を理解したうえで、敢えてこのような言い方をしたのならまだしも、大阪都構想とは、彼の言うような「二つも三つも都」を作ることではない。



 大阪都構想というのは、大阪市と大阪府がそれぞれ独自で行っている行政の運営の多くの部分が重複してしまっているという現状のために、多大な税金の無駄がまかり通ってしまっているので、これを打破しようという考えがベースになっている。つまり、多重行政の解消により、税金の無駄をなくそうというものだ。

 そこで、橋下知事は大阪維新の会を結成して、現在のような大阪市と大阪府という構図ではなく、東京のように特別区を置いて、行政の無駄をなくすことを目指している。そこで、目指す行政の構図的に東京都と似ているから、イメージしやすいように「大阪都構想」と呼んでいるにすぎない。

 したがって、石原の言うように首都をいくつも置こうとか、そういったことを目指しているわけではない。こんなことは調べればすぐに分かる話である。



 確かに、大阪府にも区は置かれているが、東京23区のように、これらの区は区長選挙が行われているわけではなく、区長は市職員の中から市長が任命し、区議会もないというのが現状である。

 そこで、政令市の大阪市と隣接する堺市などの周辺の市を再編し、人口にして30万人程度の規模の特別区に再編して、区長選挙を行い、区議会も設けて住民の意見をくみ取りやすくし、本当に住民にとって必要なサービスを提供しようというものである。

 府県の中に巨大な市があると、府県と市とが縄張り争いをして都市政策がちぐはぐになる傾向があると橋下知事が指摘していることから分かるように、現在の大阪は、大阪市と大阪府が同じぐらいの力を持ってしまっているため、市内に府立の体育館があると思えば、同様の規模の市立の体育館があったりと、多重行政のために箱モノが乱立し、非常に税金の無駄生じている状態なのである。

 繰り返すが、東京23区をモデルにして、こうした無駄を排除して、住民サービスの向上を目指すのが大阪都構想であって、東京都以外の都(首都)を作ろうという話ではない。橋下知事の構想というのは、大阪府も東京都と同様にするために、大阪市を解体し、いわば大阪都庁を設置し、そこに大阪府庁と大阪市役所の両方の機能を持たせようということである。しかしながら、現行法上においては、そういった機能を持った自治体組織が「都(と)」しかないため、便宜的に「大阪都構想」と言っているにすぎない。


 橋下も河村も、わざわざ石原に「都というのは、首都というのは国の政府がある所をいう。」などと上から目線で言われなくとも、そんなことは遥か昔から百も承知のはずだ(笑)



 石原は大阪「都」という言葉に引きずられ、全く本質的な批判をできていない。したがって、本来ならば、もはやこれは批判ですらない。ただの耄碌ジジィの妄言に過ぎない。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。