ひとり井戸端会議

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石原発言への批判について

2012年04月18日 | 国政事情考察
及び腰外交・鈍い領土感覚にカツ、政府動かす(読売新聞) - goo ニュース

 石原都知事が発表した「尖閣購入」構想は17日、野田政権にすぐさま波紋を広げ、藤村官房長官が夕方の記者会見で、尖閣諸島の国有化の検討に言及する事態に発展した。
 知事の奇想天外ともいえるアイデアは、2009年の政権交代以来、民主党政権の領土、領海をめぐる主権感覚の鈍さや、中国に対する“及び腰外交”が次々露呈することへのいらだちが背景にある。野田政権としては、知事の動きを受け、重い腰を上げざるをえないと判断したようだ。
 現在、国が賃借している島の地権者が行政機関に代われば、島の永続的な管理が可能になり、有効な支配が維持されることになる。
 都に追随するように、政府が尖閣諸島の国有化を検討する姿勢を示した背景には、菅政権下の10年9月にこの海域で起きた中国漁船衝突事件のてんまつがある。
 事件後、中国は尖閣周辺での漁業監視船や海洋調査船などの活動を一段と活発化。さらに、ロシアのメドベージェフ大統領も事件後に北方領土を訪問するなど、「日本は中国、ロシアになめられている」(自民党外相経験者)といった苦言が続いてきた。



何やら左翼系マスコミが必死で石原発言を批判していますが、実に滑稽ですね。その必死さに媚中派の哀愁すら漂います。さて、本題に入ります。



今回の件で、いわゆる左翼(と目される)の方々は、れいのごとく石原批判に忙しいようですが、だったら、彼らは何か尖閣諸島の領有および同諸島の保持について、具体的対案があるのでしょうか?それとも、尖閣諸島は中国の領土だと本気で思っているのでしょうか?後者であればそれは病気ですが、前者であれば、何ら対案を示さず、石原批判を行うのは無責任です。

まさかとは思いますが、「外交努力によって解決せよ」とか、「日中友好に水を差すな」とか、「日中友好によって解決せよ」とか、いつものような糞の足しにもならない念仏を唱えて、対案を示しているつもりなのでしょうか?そもそも、そうした態度が、ここまで中国の野心を増長させてしまったのではないのですか?

確かに、外交努力による解決は必須です。しかし、ただ無闇に平和だの友好だの唱えて笑顔を振りまいていれば問題が解決するわけではありません。その程度で解決していれば、どうして尖閣諸島問題など起こるのでしょう?

彼ら左翼の言う「友好」とは、中国の言うことには従え、相手の機嫌を損ねるな、というものにしか聞こえません。こうした態度を、普段は「アメリカの言いなりの日本」と言って反米的な態度をとる左翼がとっているのだから面白いですね。



「尖閣諸島は日本固有の領土だ」。確かにその通りです。しかし、国は(自民党時代から)そう繰り返しているだけで、手をこまねいて中国の顔色ばかりうかがっているから、石原が行動に出た、と考えるのが自然です(もちろん、石原の支持率向上という思惑もあるでしょうけど)。

もちろん、今回の石原の対応が尖閣問題に対して有効な対策かどうかは議論の余地があります。そして、この石原の対応には以下のような指摘もあります。

すなわち、石原後の知事が尖閣を売却してしまえば意味がない。確かに所有権を譲渡するのはたとえ自治体であっても原則は自由ですから、こういう事態も起こりえないとは言えません。しかし、それを言うなら国も同じでしょう。

少なくとも、国は一向に尖閣の全島国有化に動かないのだから、それならばせめて都が管理しようという発想は評価されるべきだと思います。


それから、石原の発言に対し、「税金の無駄」と言う連中がいますが、私個人としては、公的なお金である税金で国の領土を守れると思えば、しかも自治体で唯一地方交付税をもらっていない潤沢な資金を有する東京都が行うのだから、大歓迎したいところです。

「税金の無駄遣い」という最近流行りの魔法の言葉を使うことで、石原批判をしたいようですが、公的なお金である税金の使い方としては、決して批判されるようなものではないでしょう。

そもそも、東京都の歳入は6兆円以上(平成22年度)、対して尖閣三島の購入額は10億から15億とのことです(関係者による証言)。つまり尖閣の問題となっている三島購入にかかる費用は、歳入全体の0.03%程度です。よって、こういう批判は重箱の隅をつつくようなもので、生産的な批判ではありません。


また、こういう批判をする連中も、国が尖閣諸島を全島買収するのには吝かではないだろうし、現在でも国は尖閣諸島の所有者に対し賃料を支払っているのですが、それではこちらは税金の無駄ではないのでしょうか?同じ税金でも石原のやることは無駄で、国がやるのは無駄ではないでは話になりません。


大原則として、「領土は金に換えられない」ということを自覚すべきです。



しかしながら、果たして「買った後、どうするのか?」ということについて、具体的な戦略を石原が描けていないとすれば、あまり評価はできません。なぜならば、それでは結局現在国がやっていることとほとんど同じだからです。

せっかく土地を取得したのであれば、都の権限で漁場として石垣島の漁師に開放したり、資源埋蔵の調査をするなど、積極的に活用すべきです。



「刺激しないで」解決できる領土問題(ないしは領土をめぐる対立)などありません。刺激するなとか、友好関係に水を差すなという批判は、中国を利するだけということに気付けないマスコミが多いことに、まったく悲しくなります。




加筆

国家の基本でありかつ必須条件である領土を脅かされておきながら、それでもなお、友好が~、とか、刺激すると~、とか、言ってのけてしまう、その感覚が私には理解できません。相手の顔色ばかり見ていたら身ぐるみ剥がされていたでは話になりません。

友好関係を築くにも、その前提には国家が存在することが必要ですし、その国家は領土あっての存在ですから、こう考えれば、領土が奪われる危機にありながら、友好を主張する愚が当然に分かるものだと思うのですけどね。

とはいえ、尖閣諸島についての現状の認識に違いがあれば、上で私が述べたことも、彼らにとっては理解不能な戯言に終わるのでしょうけど。

それから、今日の朝日新聞の社説は、地方が外交に首を突っ込むなといいますが、国が同じことをしたら、「なぜ今このタイミングなのか」とか言いだし、どうせ批判するんでしょう。それに、そうした批判をするのなら石垣市が買うという場合でも同じ批判をするのか、と思いますね。だいたい、外交問題に地方自治体は首を突っ込むなと言うのであれば、拉致問題について新潟県知事が発言するのも不可能になりますし、大阪維新の会は日米関係について見解を表明していますが、それもしてはならないことということになります。

そもそも、国が「領土領海領空を守る毅然とした態度」(東京新聞社説)をとっていれば、石原発言は出てこないという、普通の人なら共有できる大前提がすっぽり抜け落ちている時点で話にならないのですが。

しかし、本文でも書きましたが、国は遺憾の意を表明したり、口頭で批判するだけで、何ら具体的な尖閣支配のための実効策を講じてこなかった。だから、痺れを切らして石原が、都の潤沢な予算をもって買い取りに出た、と考えるべきです。

賛否両論ありますが、石原は本気で都が尖閣を買収すると意図しているとしても(もちろんそれは歓迎しますが)、このようにして、しかも東京都の知事が国際社会に向けて、日本の政府に対して「揺さぶり」をかけたこと自体は、非常に意味のあることだと思います。

国に、領土問題で重い腰を上げさせるには、これぐらいの対応がちょうどいいのです。

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