ひとり井戸端会議

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処分解除はまだ早い

2012年05月08日 | 国政事情考察
小沢氏の党員資格停止解除方針、党役員会で了承(読売新聞) - goo ニュース

 民主党は7日夕の役員会で、陸山会事件で無罪判決を受けた小沢一郎元代表の党員資格停止処分を解除する方針を事実上、了承した。
 輿石幹事長が、挙党一致を名目に8日の常任幹事会で処分解除を正式決定することを提案し、一任を得た。
 党幹部は7日夜、「8日の決定をもって解除される」と述べた。1年3か月ぶりに党員資格が回復されれば、元代表の代表選出馬への動きが強まるとの見方が出ている。
 元代表の処分は、昨年2月の常任幹事会で「判決確定まで」とされていた。出席者によると、役員会では、輿石氏の提案に対し、役員13人中数人から、「当初の党の決定と違う判断になる」などと、控訴期限の10日以前の処分解除に慎重な意見が出されたという。



 民主党内からも異論が出ているように、現段階は、一審判決が「下された」だけであって、その判決がまだ「確定した」わけではありません。いわば、小沢「氏」の現在の法的地位は、検察役の弁護士側の控訴によって、また小沢「被告(人)」になる余地があるのです。

 それにも拘わらず、現在の段階で処分を解除するのは早いです。そもそも、有罪無罪に関係なく、小沢が「起訴された」ことをもって党員資格の停止処分を決めたのであるから、起訴された案件が法的に確定するまで、下した処分を解除しないのが筋というものです。

 小沢支持者の方々に断っておきますが、私は今回の裁判では、「疑わしきは罰せず」の刑事裁判における原則の下では、無罪判決はほぼ間違いないと思っていました。実際、彼は無罪になりました。しかし、そのことと、党員資格の停止処分解除の問題はまた別です。

 なぜならば、先ほども述べたように、民主党は、小沢が有罪になろうが無罪になろうが、彼が「起訴されたことをもって」党員資格処分を下したのだから、起訴された案件が法的に確定するまで、すなわち、検察役の弁護士側が控訴をするかしないか決める14日が経過するまでは、党員資格の停止処分を継続すべきだからです。

 今の判決は、控訴によって覆される可能性がある以上、そうした判決に基づき処分を解除するのは時期尚早というものです。

 だいたい、これで小沢が控訴されたとして、仮にもし高裁で有罪判決が出た場合、今の段階で処分を解除して、また解除した処分を復活させて再度処分するのでしょうか。常識的に考えて、控訴期間が経過するのを待ってから処分の解除の可否を決定するほうが、党内手続的にも煩雑ではなく、合理的ではないでしょうか。


 私は陰謀論には与しない立場ですが、それとも(小沢に近い)民主党側は小沢が絶対に控訴されないという確たる証拠でも握っているのでしょうか。あるいは、控訴しないとの確約でも検察側と結んだのでしょうか。後者だとしたら、それは司法の独立の観点からしても大問題です。



 ところで、これで検察側が控訴をせず、小沢の無罪が確定したとしても、彼は最低でも国会の証人喚問を受けるべき義務ぐらいはあります。

 というのは、裁判は結局、法廷に提出された証拠のみによって罪を立証し、裁判官がそれに基づき判断する場でしかないので、今回のように検察側の立証の仕方がまずかったり、黒ではなくグレーにとどまるような場合には、「法的には」無罪になりますが、道義的あるいは政治的には、彼にはまだ公の場=証人喚問で、自身のカネの使途等について説明する必要があるからです。

 そもそも、彼は過去に自身の著書において、政治資金規正法の強化のため、秘書と政治家の連座制を提案しているのだから、今回たとえ無罪判決が確定したとしても、自分の過去の発言に責任を持つためにも、最低限、証人喚問には応じるべきです。



 なお、私には非常に不可解な現象があります。それは、(敢えてこう表現しますが)この程度のことで小沢は裁判にかけられたのに、どうしてほぼ脱税行為と言っていいほどの悪事を働いた鳩山由紀夫は、何事もなかったかのようにのうのうとしていられるのか、ということです。

 個人的には、小沢が党員資格の停止なら、鳩山は議員辞職ものです。というか、彼は過去に、「秘書の責任は政治家の責任」であるから、秘書が罪を犯した場合には、「私なら議員バッジを外します」と豪語していました。

 民主党は、小沢を悪役に仕立てるのもいいですが、それ以上に悪質な鳩山や、北朝鮮関連団体から資金提供を受けていた菅直人等の処分こそ、真剣に検討すべきではないでしょうか。

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