ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

石原発言への批判について その2

2012年04月21日 | 国政事情考察
尖閣購入、石垣市長に聞く 「都に同調」「中国干渉の筋合いない」(産経新聞) - goo ニュース

 東京都の石原慎太郎知事が沖縄・尖閣諸島の購入方針を表明した問題で、行政区域である石垣市の中山義隆市長が20日、産経新聞の取材に応じ、「できるだけ早く公的機関に所有権が移るべきだ」と述べ、東京都の方針に積極的に同調していく考えを明らかにした。
 --石原知事の発言について率直な受け止めを
 「私自身は、個人より、公的な機関が持っている方が、国益に資するので良いと思う。本来なら国だが、都でも良い。石垣市として買いたいという希望はあったが、所有者の方が売却などに応じないという話だったので動けなかった。今回の動きは関係者を通じて事前に把握していたので、私たちは同調していく。石原知事のやることにはすべて賛同している」
 --市議会は国が購入して石垣市に払い下げるよう求める意見書を可決した
 「早い方がいいので、都が買ってくれるなら都でいい。所有者の方との信頼関係が大事だ」
 --早い方がいいと考える理由は
 「中国を含め尖閣諸島の所有権を主張している国がある中で、日本が実効支配している形になっているが、実際には上陸したり、学術調査したりできない。それらができるようになって初めて真の意味での実効支配。漁業を含めた経済活動もしたいので、できるだけ早い方がいい」
 --都が購入すると中国などが反発してかえって緊張が高まるとの声もある
 「わが国の領土の個人所有のものを買うというだけの話であって、購入者が都であろうが、何らほかの国から口出しされる筋合いはないと思っている」
 --最近の尖閣諸島をめぐる他国の動きについて
 「公船で領海侵犯してくるところをみると、尖閣に対する領有権の主張の仕方も過激になってくるのではないかという不安がある」
 --都が購入後の管理方法は
 「市議会の議決が必要だが、私自身は、都と石垣市が共同所有するという形が望ましいと思う。その方が国民の理解も得られやすいのではないか」



同旨の日記はこのひとつ前にも書いたので、今回はそちらで書いたこと以外のことを書きたいと思います。

石原の尖閣購入発言に対する批判は、おおまかに言って次の3つに分類できるでしょう。

1 石原が個人で購入すればよい
2 自治体が外交問題に容喙するな
3 石原が嫌い(笑)

3については、ネット上に蔓延るネットサヨクの方々の多くにみられる症状ですが、これをここで取り上げても無意味ですので、3は論じません(笑)。


まず1について。

現在、問題となっている尖閣の3島を所有する民間人は、売却の理由を「あのような島を個人で管理するのには限界を感じたから」と語ったといいます。つまり、この発言に至った経緯には、中国や台湾が領有権を主張しだし、外交問題の色彩を帯びてきたため、同島を個人が管理するよりも、公的機関にしっかりと管理してもらいたいという思いがあるようです。

しかしながら、尖閣沖での漁船衝突事件以降、日本政府には同島の管理を任せられないと感じ、石原に近い議員を間に入れて、「東京都に」購入して欲しいとのことで、交渉が進められたとのことです(産経新聞)。したがって、この所有者的には、国が管理するよりも、石原の東京都に管理してもらうほうが安心との思いがあるようです。

それから、この所有者が述べているように、外交問題と化しつつある尖閣の所有を、民間人ないは個人所有のままにしておくというのは、「外交は国の専権事項」であるとするならば、不適切というより他なりません。

さらに、これについて一部報道では、中国側は数百億円規模の大金をもって同島を買収したいと、この民間人に言い寄ってきたこともあったといいます。民間人では、それが法人(民間企業)であっても、個人の資金繰りや懐事情により、大金を提示されれば、相手が誰であろうと売却してしまいかねないという懸念がついて回ります。この点からしても、日本の領土問題にかかわってくる同島を個人所有にしておくというのは不適切です。

したがって、個人である石原が所有せよという主張は間違っているということになります。個人から個人に所有権が移転するだけでは、何の問題の解決にも前進にもなりません。


2について。

こういう主張をするリベラルの御仁たちは、私の記憶違いでなければ、沖縄の普天間飛行場の問題で、日米同盟というれっきとした外交案件に対し、公然と地方自治体による容喙を容認あるいは積極的に推奨してきたと思うのですが、こちらはよくて石原の尖閣購入に限っては「外交は国の専権事項」では話が合いません。

また、こういう主張をする人たちは、たとえば石垣市が同島を買い受けると仮に宣言した場合にも、同じ主張をするのでしょうか。この手の主張をする人たちの多くが、3で指摘した石原嫌いが先行するために、それを糊塗しようとせんがためんがために、「外交問題に自治体が関与するな」という、あたかも正論のように聞こえる主張を振り回しているように見えるきらいがあります。


そもそも、国(日本国政府)の立場に立つとすれば、それは「尖閣諸島については領土問題は存在しない」というものですから、日中間に同島をめぐる外交問題は存在しないということになるのではないでしょうか。そうだとしたら、石原が尖閣を購入することが外交問題(に対する自治体の容喙)になるはずがありません。



この石原発言問題でまず問われるべきことは、「なぜ都(石原)がこういう行動に出るのか?」ではなく、「なぜ今まで政府は何もしてこなかったのか?」ということです。

朝日新聞や毎日新聞のような左翼の御仁らは、石原批判に精を出す前に、まずはこのことについて考えてみるべきではないでしょうか。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
村田晃嗣が石原批判してました。 (涼風)
2012-06-16 17:40:24
今日テレビで村田晃嗣という人が、「石原さんの尖閣購入発言は新党の為にパフォーマンスに使ってる」等とほざいてました。

まだこんな事言ってる人がいたんですね?

数ヶ月前ひるおびで大谷は「尖閣購入発言は東京都が進めてたのに石原さんが突然アメリカで発表したのは新党構想が上手くいくように利用した」等と
ほざいてたけど、11億も集まった今ではトーンを下げて「東京都がやれる事は限られてる。」とやんわりと批判してるのに。
返信する
涼風さんへ (管理人)
2012-06-17 19:10:36
コメントありがとうございます。

そりゃ東京都は国と違って地方の一自治体ですから、「やれる事」が限られているのは当然です。
しかし、石原氏が行おうとしているのは、実体は不動産の売買契約ですから、法人である東京都が「やれる事」なんですけどね(笑)
それとも大谷は、法人は契約の主体になれないとでも思っているのですかね(笑)

尖閣購入の本心が新党のためのパフォーマンスだとしても、尖閣の現状を見る限り、私有地にしておくよりは、公的な機関が管理したほうが有益でしょうから、石原氏の考えが否定される理由にはなりませんね。

ちなみに、私が以前お話ししたことのある現役海保の方は、実際に尖閣周辺の警備もして中国の漁船を追っ払っていた方ですが、尖閣は東京都が購入すればいいと言ってましたね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。