ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

無意味な「給付金」支給

2008年11月02日 | 社会保障関係
定額給付「高所得者除外も」 与謝野経済相が発言(産経新聞)

 政府の追加経済対策に盛り込まれた生活支援定額給付金について、与謝野馨経済財政担当相は1日、テレビ東京の番組で高所得者を支給対象から外す方向で検討する意向を示した。
 与謝野氏は「高い所得層の人にお金を渡すのは(生活支援の)名前に反している」と指摘。政府・与党は全世帯への給付で合意しているが、「生活支援を必要とする全世帯という意味だ」と強調した。
 高所得者を支給対象から除外し、その分を中・低所得者に振り向ければ、生活支援としての効果が大きくなるとの狙いがあるとみられる。与謝野氏は、所得水準を線引きする場合は1000万円前後との見通しを示した。
 年末の税制改正論議などを通じて議論するとみられるが、給付に対する所得制限は、所得の把握が難しいほか、事務作業が膨大になるためにいったんは見送った経緯がある。このため、実現するのは困難との見方も根強い。



 ナンセンスな経済対策である。既に言われているように、自民と(特に!)公明の選挙を意識したばら撒きであることは言うまでもないだろう。そもそも、カネをばら撒くだけで経済が立ち直るなら、誰も苦労しないし、経済について論じる必要もない。

 小泉・竹中両氏による構造改革路線により、政府の行う経済政策も少しはましになってきたと思うようになった矢先に、また旧態依然の古い経済政策を掲げるようでは、国際社会から笑いものにされるだけだ。もはや麻生内閣に有効な経済対策を期待すること自体が野暮なのだろうか。



 以前、「地域振興券」という愚策を講じ、これが結果的に失敗に終わったことから、与党(特に公明)は何を学んだのであろうか。地域振興券による経済効果は、発券額が総額約6200億円なのに対し、わずか2000億円に過ぎず、これはGDPの0.1%に過ぎないという、惨憺たる結果を残したばかりではないか。政府・与党には、過去から学ぶということができない人材ばかりが揃っているのか。

 確かに今回の場合、現金そのものを支給するものであり、地域振興券とは違うという考えもあるにはあるだろう。しかし、結局は近視眼的にカネをばら撒き、そのばら撒いたカネをばら撒いた国民から税金というかたちで回収という基本的な発想に違いはない以上、同質のばら撒き政策と批判されるのは当然である。もちろん今回の世界的な経済危機を、政府が指を銜えて眺めていろとは言わないが、発想があまりにも安易過ぎるし、過去の教訓から学べていない。

 不況が現実化する中、このような現金給付をしたところで国民心理としては、これを貯蓄や住宅ローンの返済等に回したいと考えるのが普通である。つまり、政府・与党の期待するような消費・購買意欲への刺激には繋がらない。給付したところで貯め込まれては何の意味もない。これは経済学の言うような、消費者は合理的に行動するという原則からは導き出せないものである。



 もしあくまでも給付金を支給したいのであれば、与謝野氏のように高所得者を除外するのではなく、高所得者にこそ給付金を支給すべきである。このように書くと批判されるのは間違いないが、先に述べた得た利益を貯蓄に回してしまう層は、主に低所得者層と中所得者層である。このような層にカネをばら撒いても消費として跳ね返ってくることはなく、蓄えにしてしまうのであれば、逆の発想で、蓄えが多くあると思われる高所得者層に絞って給付金を支給するのである。

 むしろ高所得者層に支給するほうが、一世帯あたりの数も少ないだろうから、より多くの金額を支給できることになり、支給されたカネは彼らにとって余ったカネ(余剰金)なり、余ったカネを消費しようと様々な消費行動に動くことが期待でき、それによって経済も刺激され、日本経済の底上げにも繋がるだろう。少なくとも、給付金を支給したところで過去の行動から貯蓄に回すことが予想のできる低・中所得者層に支給するのよりは、経済効果は期待できるはずだ。

 政府・与党が真に低・中所得者層の救済や生活の安定確保に努めたいのであれば、給付金を支給することよりも、生活に直接かかわる物品への課税の見直しだろう。たとえば、以前麻生首相の提言していたような気がするが、食品には税率を5%から2%にし、かわりに嗜好品等にその分税率を上乗せするとか、国民生活の直接影響を及ぼす物品への減税措置のほうが、まだ評価できよう。

 現にイギリスでは食品や生活必需品等には課税されいない(食品や書籍、新聞等)。そのかわりにバーやレストラン等で飲食をすれば、税率は17.5%であるように、別のところから税は回収しているのである。イギリスの制度をそのまま日本に導入すべきとは言わないが、参考にしてもいい税のかけかたではある。



 これだけは言えよう。給付金を支給したところで経済が上向くことはない、と。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
約束します。 (ハイ)
2008-11-03 23:06:41
お上に約束します。「貯金せずに必ず使います!」
だから現金下さい。
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ハイさん (管理人)
2008-11-04 00:14:20
コメントありがとうございます!

そりゃあこんなこと書いた自分もお金くれるなら欲しいですよ?(笑)
そうしたら新聞代と携帯料金で消えてしまいそうですが・・・
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Unknown (くだらない。)
2008-11-16 05:58:24
たかが12000円だろ。なんも変わらんよ。携帯代や家賃の足しに使われるのがオチ。
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くだらないさん (管理人)
2008-11-18 23:39:02
コメントありがとうございます。

仰るとおりだと思います。
たかが12000円ごときで変わるわけないと思います。
今日(11月18日)の新聞に出ていましたが、給付金による経済効果はわずか3200億円だといいます。
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