ひとり井戸端会議

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給食費は無償ではない

2010年12月19日 | 社会保障関係
現場は歓迎、滞納保育料・給食費天引き(読売新聞) - goo ニュース

 社会問題化している保育園の保育料や学校給食費の滞納について、地方自治体が子ども手当の中から強制徴収したり、差し引いたりする仕組みが導入される見込みが出てきた。
 この政府方針に対し現場からは「滞納が解消するならありがたい」など歓迎の声が上がる一方、「親の経済状態も考慮するべきではないか」との意見も出た。
 厚生労働省が2006年度の全国の保育料の徴収状況を調査したところ、4・3%が保育料を滞納しており、滞納額は1・7%にあたる約83億円だった。自治体のうち65・1%が「滞納が増えた」と回答。その理由として65・9%が「保護者の責任感・規範意識の問題」、19・4%が「収入減少」を挙げた。
 都内のある公立保育園の女性園長は、「保育料の滞納は珍しくない」と明かす。
 子供が入園した当時は夫婦共働きでも、不況の影響で母親が失業するなどして経済状況が悪くなり、支払いが滞るケースが目立つ。一方で、「面倒くさい」という程度の理由で、故意に支払わない悪質な親もいるという。
 園長は「払えるのに払わない親の場合は、自治体も助かると思う」と評価する一方、「経済状況が悪くて支払いができない家庭の場合、子ども手当をあてにしていると思うので、困るのではないか」と思いやった。
 給食費も、未納が問題になっている。文部科学省の09年度調査によると、未納があった公立小中学校の割合は55・4%で、05年度より11・8ポイント上昇。推計26億円に上ると見られている。
 同省は今年5月、子ども手当が支給される口座と、給食費の引き落とし口座を同じものにするように保護者に求めることなどの未納解消策を全国の都道府県教委に通知していた。



 以前から取りざたされている給食費未納問題。給食費を支払う資力がなく、払いたくとも払えないのならまだしも、「払いたくないから払わない」親が大半を占めているのが現状だと思われる。

 こうした、払えるのに払えない親が必ず使う言い分がある。それが「義務教育だから払う必要がない」という理屈である。

 確かに、憲法26条2項において「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。普通教育は、これを無償とする。」と規定されている。

 したがって、この規定を盾に給食費の支払いを拒んでいるのは、一見正当性があるものと思われる。しかし、直接給食費について争われた判例ではないが、義務教育教科書費国庫負担請求訴訟事件最高裁判決(昭和39年2月26日)において、以下のように判示されている。


 すなわち、憲法26条2項の「無償」の意味は、「国が義務教育を提供するにつき有償としないこと、換言すれば、子女の保護者に対しその子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたものであり、義務教育に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味」と解するほうが「従来一般に国または公共団体の設置にかかる学校における義務教育には月謝を無料としてきた沿革にも合致するものであ」り、「憲法の義務教育は無償とするとの規定は、授業料のほかに、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない。」

 これが最高裁の大法廷判決である。


 通説においても、憲法26条にいう「無償」とは、国が公共サービスを行うにあたり、その対価を徴収しない、つまり授業料の不徴収を意味するものと解されている。

 給食費を払わない親の言い分は、上記の最高裁判決を鑑みれば、「無償」の意味を履き違えていることは明白であろう。そもそも、学校給食法6条2項において、給食費の負担は保護者であると、明文をもって規定されている。



 ところで、給食費未納分を子ども手当から天引きするということは、いわば給食費を支払わない親の代わりに、国民が代理して給食費を支払っているに等しい。これは私としては非常に許し難いことだと思う。


 そこで、給食費をある種国民年金のような仕組みにして、現在支払っている給食費はすべて将来の子供たちの給食費として積み立てられていくという制度にしてみてはどうだろうか。

 そして、給食費の不払いが嵩めば嵩むほど、後の世代の子供たちの給食費が、そのツケを支払わされる結果として跳ね上がっていく。こうすれば、少しは給食費未納も改善されるのではないか。


 もしくは、給食費未納の親に対し、「秩序罰」を科す。秩序罰とは、社会的法益を損害し、民衆の生活に悪影響を及ぼす、軽微な違反に対して科されるものである。秩序罰は刑罰ではないため、刑訴法による手続きは必要ないので、こういった輩に対しては有効かと思う。

 なので、学校給食法を改正して、給食費を支払わない保護者には秩序罰を与えられるようにするのも一つの手段としては有効ではないだろうか。秩序罰が科せられれば、強制執行するコストも時間も削減できる。



 少なくとも、私は一応納税者の一人として、未納の給食費のツケを払うのはご免である。給食費ぐらい、本当に貧困な家庭以外は、自分の子供の食費なのだから保護者が支払うことは当たり前ではないのか。

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