カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

香港科学技術大学

2006年01月17日 | サイエンス
Hong Kong University of Science and Technology (HKUST)に昨日行き、セミナーをしてきました。この大学は、十数年前に新しく設立された大学で、香港のダウンタウンからは少し離れた海外沿いの素晴らしい環境の中にあります。教職員、学生には、大学キャンパス内にある快適な宿舎が用意されています。そして、まず驚くのは、教授陣はほとんどすべて、欧米で研究経験のある若くて有能な中国人の研究者で、英語がきわめて堪能です。授業、セミナー等はすべて英語でやっています。学生は、ほとんどが中国のトップクラスの学校からやってくるようですが、かれらも英語教育によく適応している様子がよくわかります。たまたま行われていた細胞分化のシンポジウムには、著名な研究者が招かれていて、HKUSTの研究者と英語で活発な議論をする様子を目撃しました。明らかに新しい世代の有能な科学者を生みだす土壌と環境がここには存在し、香港、中国が将来に向けて力をつけている現場を目撃した、というのが率直な感想です。日本の大学も、新しい発想で国際的に通用する教育・研究環境を整えていかねばなりませんが、ここに一つのやり方を見たような気がします。