世に経れば 憂さこそまされ みよしのの
岩のかけ道 ふみならしてむ
いかならむ 巌のなかに 住まばかも
世の憂きことの 聞えこざらむ
あしひきの 山のまにまに 隠れなむ
憂き世の中は あるかひもなし
(この世に生き長らえると 辛さ苦しさばかりがつのってきた。
いっそ吉野の険しい岩場を踏みしめて 山奥に隠れすもうか・・。
いったいどんな巌に住めばよいのか この世のいやなことが耳に
入ってこないようにするには。
どんな山の中にでも隠れてしまおう こんなに辛く苦しい世の中は
生きるかいとてないから。)