「長江哀歌」

長江哀歌 (ちょうこうエレジー) バンダイビジュアル このアイテムの詳細を見る

三峡ダム建設が進む街、奉節。山西省の炭鉱夫ハン・サンミン（同）は、16年前に別れた妻子を
捜してこの街にやってきた。しかし昔妻が住んでいた場所はすでに水に沈んでいた。サンミンは安宿に
寝泊まりしながら、妻子の行方を捜すことにするが・・。同じ頃、こちらも山西省からやってきた女、
シェン・ホン（チャオ・タオ）が、三峡の工場に働きに出て２年間も音信不通の夫グォ・ビン（リー・チョウビン）を
捜していた。彼女は夫の友人ワン・トンミンを訪ねて協力を仰ぎ、一緒に夫を捜してもらうのだったが・・。


ダムが出来る・・・希望もあるだろうけど、絶望もあって・・。
ひところ日本もダムラッシュだったと思われますが、今は
見直されてますよね～。中国は今はとにかく建設建設。
その変貌を遂げる中国をダム建設を通じて淡々と、でも強烈に表してました。

これ見たのがこの前の日曜日で１１日。で、見終わって
どこにあるのか（映画で地名はいろいろ出てくるんですが
その定かな場所が良くわからなかったので(^^ゞ）いろいろ調べて
google earthとかWikiとかでなんとか把握。今の所出来上がってるところまでの
その写真。↓　この中にいくつの街が埋もれてるんだろう・・・。

そしてその翌日１２日にあの大地震。
すぐ近くにある重慶だの成都だのを地図上で見たばかりだったので
あ～。。。あそこで・・・と、なんだか余計に身近に感じたし
ダムは大丈夫だったんだろうか？とも思いました。

さらにWkiには、”２００６年８月、香港の中国人権情報センターは
３年以内に三峡ダムが強い地震を引き起こす可能性があると発表”と
書いてあるではありませんか！！！そして温家宝総理もこの件について
憂慮していると・・・。その彼が今地震の陣頭指揮をとってるんですよね～・・
あ～・・・。

それにしても、この三峡ダムの広大さ！！！
貯水池が約６６０ｋｍ！　すご過ぎる・・・と思っちゃいました。
６６０ｋｍって東京からだと北へ青森くらいまで、そして西に行けば
兵庫県くらいまで、すっぽり埋まっちゃうんですよ～！信じられない・・・。
それじゃこの映画のように、た～～～くさんの村や町が湖水に沈む
ことになってしまうのもわかるなぁ、と思いました。
１１０万人もの人々の強制移転。　この強制移転の話も会話の中に
出てきました。「お前、どこに移るんだ？」「○○に・・」というように。

この国家プロジェクトの中において、埋もれて行く人、取り残される人々、
希望を持っている人々などの様子や心情がいろいろ表れていた映画でした。
これから沈んでいく街。どんどん壊されていく建物とその瓦礫。
そこで働く人々、住んでいる人々。それらがすーっと染み入るように
自分の中に入ってくるようなシンプルで淡い映像で、この映像と風景を
見るだけでも価値があるかも・・と思えました。

ちょっと抒情詩のような部分もある映画だったので、好き嫌いが
あるかもしれないとは思いますが、私は好きでした。
主人公の男性が妻を捜しながら出会う人々、これからはもう
そこには住めないという彼らとのふれあいの温かさが良かったし
自然な感じが風景と上手く合わさっているように感じました。
風情のある映画でした。

ドラマチックなところはほとんど何もなかったですが
妙に心に残る映画となりました。後日の地震も含めて。

個人的お気に入り度3.5/5