「となり町戦争」

舞坂町に暮らす北原修路(江口洋介)は、旅行会社に勤めるごく普通の青年。ある日、
ふと目にした町の広報紙“広報まいさか”の中に、“舞坂町はとなり町の森見町と戦争を
します“とう文章を見つける。開戦日は５月７日と書かれていた。しかし、翌日の開戦日を
迎えても、町にはいつもと変わらぬ穏やかな時間が流れていた。ところが数日後、北原は
役場から特別偵察業務の指令を受け取る。要領を得ないまま舞坂町役場を訪れた北原は、
そこで“対森見町戦争推進室”に籍を置く女性、香西さん（原田知世）から偵察任務の概要を
説明されるのだった・・。


前半と後半で、随分雰囲気の違う映画になってました。
前半は、どちらかというとコメティっぽく、戦争に突入してるというのに、
舞坂町の役場の役人さんたち（戦争を推進している方たち）ですら、
どこかコミカル。この役人さんたちのキャラのコミカルさは、香西さんを
除いて最後まで続きましたが、その他は、後半になるとグッとシリアスに
展開していくんですよね。

この後半の展開、特に香西さんの弟、瑛太さんがでてきたあたりから、
かなり良い雰囲気、良い感じになってきたんですが(わたし的には)、
それ以前と、全体的にこの演出が今ひとつ好きになれませんでした。
演出が、せっかくの俳優さんたちの演技をダメにしてたんじゃないかなぁ～・・って
思いました。原作は未読なんですが、きっと原作だったら、余さんが
演じてた役も、あの役所のおじさんのリアクションも納得出来たかな、と
思うんですが、なんかノレない演出だったんですよね～。
でも、見方によっては、勿論あれもありなんだと思いますが、
わたし的にはちょっとねぇ～・・でした。

言いたいこと、テーマ的なことはわかったような気がしますが、
どうしてこういう描き方、見せ方じゃなきゃいけなかったのかなぁ、って
ちょっと残念。でも、自分が知らず知らずのうちに戦争に荷担してたり、
参加してたりすることがあるかもしれない・・とも思ったし、舞坂町と
森見町という、世界で一番小さい戦争は世界で起きている戦争を、
細かなところは排除して、上手く見せていたかもしれないです。
　
でも、やはりこの戯曲的な漫画的な描写と、リアリズムの混じった作品が、
どちらも中途半端な感じがしたし、人物描写もどうもしっくり来なかった
です。良いところ、面白かったところをあげようと思えばあげられるんですが・・
例えば、江口演じる北原が脱出ルートの途中でトンネルにさしかかったときの
香西との緊迫感溢れる会話とか、戦争の映像を実際に見せないで、
戦争を全身で感じ取るところとか、その他諸々ありました、が、全体的に
なんか面白くなかった・・という感じがしてしまったんですよね(^^ゞ

演出も上記したように前半と後半とぐっと違っていたところ、
野球(キャッチボールとかバッティングセンターとか)を入れたところ、
杉の苗木を挟んでの二人のシーン、弟の遺骨云々と香西が言う場面の、
途中からサッと変る照明とか、凝ってるなぁと思う部分がたくさん
あったんですが、何故かみんなわざとらしいと感じてしまった。
どうしてかわからないけど、そう思っちゃったんですよね～。

そのあたり、すっかりこの映画に入り込めることが出来れば、素晴らしい
映画ってことになったかもしれないんですが、やはりバランスの問題
だったのか？！そんなわけで、全体的に見たら、まぁまぁかなぁ～・・
という印象の映画でした。
個人的お気に入り度2/5

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