日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

正義と平和の口づけ  

2009-02-19 | Weblog
詩85編

バビロン捕囚から故国に帰還した時の状況が歌われる詩(BC535年)。

2~4節 神への赦しと憐れみ
「あなたはご自分の地をお望みになり、…捕われ人を連れ帰ってくださいました」(2節)口語訳「主よ、あなたはみ国にめぐみを示し、…繁栄を回復されました。」「お望みになる」は喜ぶ、好意を示すこと。「捕われ人を連れ帰る」は(シャヴタ・シェヴィト)、「シューブ」は生き返らせる、再び生かす、再び戻すなどの意味を持ち、本詩には、この外に4、5、7、9節に出てくる。「御自分の民の罪を赦し、すべての咎を覆ってくださいました」(3節)。神の赦しは罪を暴くことを止め、これを包み込むのである(32編1節、ホセア6章1節see) 「あなたのすべての激怒を仕舞い込み、怒り憤りを元に戻されました」(4節直訳)。

5~8節 神への信頼
「救いの神よ、わたしたちのもとにお帰りください。…苦悩を静めてください」直訳「あなたの怒りを破棄してください」(5節)。「シューブ」の使い方が2節とは反対であるが、御許に立ち帰ることと「~わたしたちのもとにお帰りください」とは、神と民との関係回復を示すもの。これによって再び繁栄が取戻される。「再びわたしたちに命を得させ、あなたの民が…喜び祝うように~」(7節)。「わたしたちに命を再び得させ」(タシュバー)である。

9~14節 未来への平和の宣言
「主、神が何を語るかをわたしは聞こう。何故なら主はご自分の民に平和を語り、そして彼らが愚かな振る舞いに再び戻らないように(ヤシューヴー)。まことに主を畏れる者らに救いは近い。栄光が地に留まるために」(9~10節)。「慈しみと真実は出会い、正義と平和は口づけし」(11節 擬人化した表現)、「真実は地から萌えいで、正義は天から見下ろす」(12節直訳)。天と地との相反する状態が解消し、調和が実現することである。
「主もまた、良い物を与えて、わたしたちの地から産物を得る」(13節)。「正義は主の面前に歩いて行く。その足跡を道にする」(14節直訳)。岩波訳は「義は彼の前を進み、その足下を道に置く」。口語訳「…その足跡を道とするでしょう」。ここも正義を擬人化している。捕囚の民が故国に待ち受けていたのは飢餓だったと思われる。新しい建設と復興の為に、野の産物が与えられることを切願している。

正義を貫こうとすると対立が起き、相手を攻撃する。しかしそれを治めるのは神の平和である。「正義と平和の口づけ」は歴史の課題として現代の国際社会にも突き付けられている。いつそれは実現するのであろうか。