其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

丸 谷 才 一

2006-01-09 19:59:48 | 文芸
お正月は丸谷才一著のコラム集を読んで過ごしました。わたしはこの手のコラムが好きです。理由は、読んでもいない東西の深遠な学識や雑学を安直に仕入れることが出来るからです。もっとも仕入れたものがすぐに役立つことにはなりません。話を聞いて頷く相手にはそれなりのキャパシチィが要ります。エレベーターによく書いてある『容量』というやつだす。
わたしは大学校にいっておりませんので、お喋りの上手な先生の授業を拝聴したことがありません。それが残念ですが、経験者に伺ったところ、それは盲亀の浮木、優曇華の花だ、と聞きました。
かねがね気がかりなのは、敬称のことです。先生は発泡酒と麦酒とごっちゃにしているようですし、さりとてスッピンでは礼儀に反するようです。ご本を購入しておれば、お店と顧客の関係でいいでしょうが、図書館から拝借した係わりではどうでしょうか。
わたしは長編小説は中途で飽きが来るので、読みません。長いのは、平家物語くらいです。でも始めは清盛憎しでしたが、第百一句屋島あたりにくると、人は落ち目になりたくないなァ、今も昔も同じだなァと平家の本当の眼目はこのあたりではと思いました。
さて丸谷才一先生の『絵具屋の女房』、最後の「ちょっと政治的」はよございました。いくらかはわたしが政治的に偏食のせいでしょうか。