益古時計の日々

カフェ&ギャラリー&ステイ(宿泊)の益古時計から送る日々の徒然

地方発の雑誌

2008-12-03 19:35:48 | Weblog
 スロウという雑誌をご存知ですか?と言っても本州にお住まいの方はほぼ知らないと思います。基本的には北海道限定の本なのです。北海道で発行されている北海道内のことしか載っていない雑誌です。
 もう4年以上前になりますが、北海道に行った時にたまたまコンビニで見つけ手にしたところ、知り合いの富良野のカフェのオーナーさんが載っていたので購入したのが最初なのですが、本自体の内容もよく大変気に入ったので、普段は本屋さんに行ってじゃないと本を買わないのですが、なんのせスロウに関しては北海道にしか売っていないので、唯一定期購読にて購入しています。
 僕はいわずと知れた北海道好きなので、ひいき目に見てる部分もあると思いますが、全国誌にはないしっかりとした取材がされている素敵な雑誌だと思います。
 益古時計に置いてあるスロウをみて、この本はどこで買えるのかと聞かれたことも何度かあります。以前ある出版関係に詳しい方が、地方の本の方がおもしろいとおっしゃっていました。正直僕もそう思う部分があります。
 少々批判めいた話になってしまいますが、中央(全国)の雑誌はちゃんと取材してるのかな?と思えるものが年々増えてきている気がしてしょうがないです。これはインターネットの普及によるところが大きいと思うのですが、昨今はそれこそ実際に取材をしなくても記事ができてしまうくらい情報が飛び交っています。
 例えば(最近は少し落ち着いた感がありますが)スローライフに始まり、オーガニックやエコ・ロハスを絡めた雑誌がここ数年何冊も発刊されました。ただ、内容はどれも似たりよったりで、取り上げられるのも同じ人、同じ作家さん、同じエッセイスト、同じお店ばかりで、まるでローテーションして順番待ちをしているかのように同じ内容ばかりが出ていました。実際、益子もそういう雑誌や陶芸関連の雑誌でよく取材の人が来ていますが、いつも取り上げられる作家さんやお店はほとんど同じです。もちろん取り上げられる作家さんやお店はそれだけすばらしいからこそだと思うのですが、情報化社会と言っても結局は情報の使い回しになっているだけなのかもしれないと思ったりもしました。実際みなさんも、またこのお店が出てるとか、またこの人が載ってるとか思ったことはあるのではないでしょうか。
 以前ある雑誌でコーヒー特集があり、その中で何軒かのカフェが取り上げられていました。それ自体の内容はとてもおもしろかったのですが、数ヵ月後、別の出版社の雑誌でもカフェ特集があったのですが、取り上げられているお店はまったくと言ってよいほど同じで、内容も同じだったということがあり、なんなんだと思ったことがありました。
 と、そんなことをなんだかんだと言いながらもいつも雑誌を買っている僕なのですが、僕も雑誌ではありませんが、一応昔はマスコミを志したことがある人間なので、今の雑誌の作り方に時々疑問を持たずにはいられない部分があります。
 そんでもって話はスロウに戻りますが、最近はスロウに限らず、地方発の雑誌が増えているようです。ちょっと前まではタウン情報誌や地域のフリーペーパーが一気に増えていましたが、最近は地元のクリエーターさんや、ギャラリーだったりカフェのオーナーさんが集まってお店や作家さんや暮らしにまつわることを取り上げた小冊子があちこちで製作されています。盛岡の「てくり」なんかはいまや全国的にもけっこう有名になりつつあると思います。
 地方発の地域限定の雑誌のよさはなんと言っても文字通り地に足のついた取材ができますし、身軽で小回りが効きしっかりとした取材ができるということに尽きると思うのですが、地元の人だからこそ入り込める奥行きの深さが文章を読んでいると伝わってくるものがあります。そして全国誌で何度も取り上げられているお店や作家さんとは違い、普段なかなか取り上げられないけれど、地元の人に人気の素敵なお店や作家さんが取り上げられています。地域に根ざしているからこその、本当に内容が充実しているものが多いです。
 今は本当に地方発の雑誌がおもしろいと思います。栃木にもタウン情報誌がありますが、スロウやてくりのような雑誌が出来てくれるとうれしいのになと影ながら思っています。
 情報がグローバル化すればするほど、地域・地元密着という意識が大事になってくるのではないでしょうか、食のグローバル化が進む一方で、地産地消が見直されるよに・・・。
 てなわけで、長々した文章にお付き合いくださりありがとうございました、最後に「スロウ」はオススメの雑誌ですので益古時計にお越しの際はぜひご覧いただければうれしいです。