ガルブログ

既存の権威に疑問をぶつける
自己中心主義としてのネトウヨです。
オレと一緒にマスゴミを葬らないか?

両面テープを使ってワークを固定する方法 ③ 工程作成編-マシニングセンタ加工、NC加工-

2015年03月01日 | 加工技術の備忘録
両面テープを使ってワークを固定する方法 ① 考え方編、 ② 貼り付け編 に続いて
両面テープでワークをクランプしたときの加工プログラム作成についてのコツを解説したいと思います。  

基本をおさらいします。

・(両面テープの接着力)>(加工時にかかる荷重)

  この不等式が成り立つならワークが動かず、加工は成功成功します。


別の言い方をすれば、ワークを接着する貼り付け面、(つまり接着力)が耐えられる負荷で加工しなければなりません。

今回は主に加工時にワーク接着面へかかる荷重と加工工程の関係について考えていきます。



・同じエンドミル使うなら切削送り速度F値とワークにかかる荷重は正比例します。つまり速く送ると大きな荷重がかかり、遅く送れば小さな荷重しかかかりません。

・同じエンドミルを使い同じ切削送り速度で送るなら、Z切り込みの深さとワークにかかる荷重は正比例します。大きなZ切り込み深さなら大きな荷重がかかり、小さなZ切り込み深さなら小さな荷重がかかります。

・同じエンドミル使うなら回転速度S値の大きさとワークにかかる荷重は反比例します。回転数S値を大きくすれば加工時の荷重は小さくなります。

・加工時間あたりの切削体積とワークにかかる荷重は比例します。小さく切削すれば小さい荷重がかかり、大きく切削すれば大きな荷重がかかります。

・小さい径のエンドミルで小さく切削すればワークにかかる荷重は小さいものですみます。

・同じプログラムで切削加工しても、材料の硬さによって接着面がうける荷重が変わります。たとえばアルミはABSに比べて硬く接着面にかかる荷重は大きくなります。

・貼り付け面の中央は接着力が集中するために強く剥がれにくく、貼り付け面の端の方は接着力が分散するため弱く剥がれやすい。当然ですがはがすときは端の方からはがします。

・加工にかけることが出来る時間、貼り付け可能な面積、貼り付ける手間、はがす手間、これらの要素の兼ね合いで加工プログラムを調整します。

・両面テープ貼り付け加工は(万力でのクランプのように)ワークに圧力をかけてクランプしないのでワークの変形が少なく加工できます。

・まとめると、ワークの形が平たい場合に両面テープ貼り付け加工が向きます。たとえば↓のようなワークです。





両面テープを使ってワークを固定する方法 ② 貼り付け編-マシニングセンタ加工、NC加工-

2015年02月28日 | 加工技術の備忘録
両面テープクランプ加工法の①考え方編の解説に続いて、②貼り付け編の説明に入りたいと思います。

③工程作成編
もあります。


両面テープクランプ加工法の基本をおさらいしておきます。------

・(両面テープの接着力)>(加工時にかかる荷重)

  ならば(ワークが動かない、加工成功)


・そのための2つの要素は↓

① 両面テープの接着力を高める段取り。
 
② 加工時にかかる荷重を少なくする工程を作成。

----------------------



さて、今回の記事では①の両面テープでの接着について解説したいと思います。

両面テープを使ってワークを貼り付けようとしてもワークが張り付かない、ワークが振動してしまう、これはそのような失敗をしないための記事です。

両面テープ貼り付け時に注意することは以下のことです。

・僕が使っている両面テープは「日東電工の510番」です。このテープはアルミ、ベーク、塩ビ、POM、ポリカーポネイト、アクリル、ABS、エポキシ、どんな材料でもしっかり接着してくれます。


・貼り付けるときはしっかり圧力をかけること。体重をかけて最低でも10秒ぐらいは圧力をかけます。圧力をかけないとくっつきません。

・素材によって貼り付き方が違います。貼りつき過ぎる材料もあれば、貼り付きにくい材料もあります。塩ビやアクリルなどはテープがこびり付いて困るほど貼りつきます。

・貼り付け面にゴミや汚れがなく、平らな状態であることも重要です。貼り付け面の状態によって貼り付き方も違います。下の写真はABSの表面を撮影したものですが、左側は板厚そのままの状態。ヘアラインのような細かな縦線が無数に入っています。右側は材料をフルバックで一なめしたもの。良く見るとカッターのひき目がみえるが、工場出荷時のものよりきれいな平面になっている。右側の平らな面の方が両面テープはくっつきやすく、くっつき過ぎてはがすのに苦労するほどです。


・気温によっても貼り付き具合が違います。気温が高いと良く貼り付き、低いと貼り付きにくい。気温30℃にもなればよく張り付き、10℃以下なら張り付きにくい。

・材料をクランプする力は貼り付け面積に正比例します。当たり前ですが貼り付け面積が小さいばあい弱いクランプ力、貼り付け面積が広いばあい強いクランプ力を発揮します。

・貼り付け面にかかる加工荷重の方向(ベクトル)によって貼り付け面が受ける影響が変わります。

・加工後にはがすことを考慮しながら貼ること。塩ビやアクリルなど貼り付き過ぎる材料を貼る場合はシッカロール(ベビーパウダー)を薄くぬって全面に伸ばす、それをエアーで吹き飛ばし、そのあとに両面テープ貼り付けるとこびり付かず、はがしやすい。ワークとテープの間にシッカロールの薄い膜を挟むようなイメージ。

・シッカロールを塗ることは両面テープの接着力を適度に弱める効果があり、テープをきれいにはがすことが出来ます。

・両面テープの貼り付けは「しっかり張り付く」か「張り付かない」の2択しかありません。「適度に弱く張り付く」ってのはありません。接着力を弱めたいときはシッカロールをまぶしてからしっかり圧力をかけて貼り付けましょう。

・加工後にワークをはがすときは無理やりはがしてはいけません。ワークが変形したり、傷ついたり、割れたりします。貼り付け面の端の方から、少しずつ、少しずつ、ゆっくりとはがします。

・ワークをはがすときは、アルコールで両面テープをふやかしたり、シンナーでテープを溶かすとはがしやすくなります。ただワークの材料によってはシンナーで溶ける材料もあるので注意が必要です。また溶けた両面テープが材料にこびり付いて汚れたりするので、何もつけないで剥がれるならそれが一番良いです。

・はがすときにシンナーやアルコールを使うぐらいなら、貼る前にシッカロールを塗るほうをお勧めします。

・材料に反りがある場合は貼り付きにくいです。反りの谷側に両面テープを貼って貼り付けたほうが張り付きます。山側を貼り付け面にすると貼り付け面の端が浮きますが、谷側を貼り付け面にすると面の中央が浮きます。貼り付け面の端は接着力が分散して弱いのに対して、貼り付け面の中央は接着力が集中して強く、谷部分をしっかり矯正して接着することができます。

↓材料を厚みの側からみると反りの具合がわかります。このPOMの板もほんの少しだけ右カーブに反っています。




 
以上、両面テープを使ってワークを固定するコツについて解説してきました。次回の記事では加工工程で荷重を少なくすることについて解説します。


両面テープを使ってワークを固定する方法 ① 考え方編-マシニングセンタ加工、NC加工-

2015年02月27日 | 加工技術の備忘録

機械加工をやっている人なら知っていると思いますが

マシニングセンタやNCフライスを使って加工するためにワークを固定する必要があります。

万力で掴んだり、ネジで治具に固定したり、その他クランプ装置を使って固定したりします。

この記事では両面テープを使ってワークを固定するクランプ方法を3回にわたって解説します。

今回は①考え方編。 ②貼り付け編 ③工程作成編も参考にしてください。
 
 ↓貼り付け加工のための台


 ↓台に貼り付けたPOMを加工中



 --両面テープクランプ加工法--

両面テープを使ってワークを治具や台にしっかりと貼り付けて固定します。

両面テープの接着力が加工時にかかる荷重を上まっていれば加工はうまくいきます。

  (両面テープの接着力)>(加工時にかかる荷重)
ならば(ワークが動かない、加工成功)


上記の不等式を成り立たせるように段取りをして加工するとうまくいきます。


そのためには2つの要素があります。

① 両面テープの接着力を高める段取り。
 
② 加工時にかかる荷重を少なくする工程を作成。



これが両面テープクランプ加工法の基本的な考え方となります。

注意点としては、加工時にかかる荷重が少ないのに過剰な接着力は要りません。

意味がないばかりか、はがす手間をふやし、作業効率をわるくします。

かといって加工中にワークが外れてしまっては加工は失敗となります。

上の不等式を成り立たせつつ加工と段取りにかかる労力を最小限に抑える。

このバランス感覚が重要になります。

逆に考えると、強い接着力が得られないような条件のワークを加工する場合、

加工時にかかる荷重を少なくなるような工程を設計すればよいということになります。

重要なのでもう一度言います。

  (両面テープの接着力)>(加工時にかかる荷重)
ならば(ワークが動かない、加工成功)


この不等式が両面テープクランプ加工法の基本です。


次は両面テープでの接着について解説します。②貼り付け編

カストロール社のシンタイロ9918 -水溶性切削油-

2008年07月23日 | 加工技術の備忘録
水溶性切削剤カストロール社のシンタイロ9918を入れ替えます。
今タンクに入ってる奴が銅加工の時使ったため緑青色に染まって汚くなってしまったので、新しいのと入れ替えです。

この水溶性切削油は腐りにくい。臭くなりません。
でも銅に使うとサビます。緑色のサビがでます。機械にサビがこびり付きます。

アルミ、樹脂なら問題なしです。鉄はやったことありません。

M3深さ6mm -ポム(POM)のタップ加工-

2008年07月21日 | 加工技術の備忘録
今日の仕事。材料はPOM、M3深さ6mmのタップ加工です。

加工工程

1.もみ付け
2.ドリル径2.5mmで穴あけ加工 深さ10mm
3.M3タップ加工 深さ9mm(ネジ有効深さ6mm)
以上の手順で問題なく加工しました。

・ただすべての加工をマシニングセンタでやるより、もみ付けだけマシニングセンタで加工して、ドリル加工とタップ加工はボール盤とタッパーで加工したほうが早い場合がある。ロット数が多い場合など。

・POMのタップ穴は小さくなりがちです。上の条件で加工するとM3タップゲージがきついです。実際のネジは入るんですけどね。新品タップを使うなどしてタップの精度を高めましょう。

・グリスをつけるとタップの精度は上がる。シリコンオイルとか、シリコングリスを使ってもよい。

・タップゲージを使って検査することが大事。検査すること=加工精度向上



POM(デルリン、ジュラコン、ポリアセタール)を加工します。

2008年07月18日 | 加工技術の備忘録
POM(ポム、ジュラコン)は切削加工するにはとても加工しやすい材料です。
水や油にも強く、耐薬品も安定しています。
(詳しくは耐薬品性一覧表 http://www.kayo-corp.co.jp/common/pdf/pla_proof.pdf )
乳白色と黒があり、光沢のあるなめらかな表面できれいな樹脂です。
機械加工屋にとってPOMは優等生といえます。

ナイロンやABS、アクリル、ベーク、なら焼きついてしまうようなドリル穴加工もPOMなら焼きつかずに加工できます。

だからって穴加工径20mmH6ってきついすよ。樹脂にH6って可能ですか?穴径20mm -0 +0.013ですよ。
POMは加工直後と30分ぐらいたった後では寸法が若干変わってきます。
加工直後20mm+0.013の寸法が30分後に20mm-0.02ぐらいに縮みます。
ですから縮むことを織り込んで加工直後の寸法を調整します。
加工直後の寸法を20mm+0.04ぐらいにあわせると一時間後には20mm+0.01ぐらいに安定します。
また温度により同じぐらい寸法が変わるので注意が必要です。

まあそこまでシビアな寸法はほとんどありませんけどね。ポムは弾力性あるし。

MC501ナイロンを加工します。--加工のコツ--

2008年07月15日 | 加工技術の備忘録
 今日はMC501ナイロンの加工しますた。

 熱を持ちやすい樹脂です。ボール盤で穴径4mm深さ20mmの穴を開けていると煙が出てきます。
煙を見て原始時代の火起こし作業と似ているなと思いました。

 ナイロンは色々な種類があってそれぞれ加工特性がすこし違います。

 ナイロンはどれも温度変化や水をすって寸法が変わります。12mmH7の穴を加工すると、翌日になると冬の朝5℃で12mm-0.02 →暖房をつけて18℃ぐらいになると12mm+0.02 ぐらいになります。

 ナイロンはアルミなどの金属のように熱を伝えないので熱が加工箇所にこもり、温度が上がりやすい。 
 
 ナイロンに水溶性切削油をかけて加工すると熱を逃がすことができ、溶けない。

 加工が終わったら食器用洗剤で洗い油を落とすこと。お湯で洗うと形がゆがむことがあります。水で洗いましょう。切削油がついたままだと導電性が変わる。


 MC501---黒い樹脂で切削しやすいです。ただ切削すると熱を持つので注意が必要です。ドリル加工で切子をほっとくと溶けます。切削油をかけるのもあり。

 MC602st----茶色い樹脂で切削しやすい。耐熱性あり。加工してると刃物がすぐ磨耗する。

 MC901-----青い樹脂。これも熱で溶けやすい。ドリルの切子をほおっておくと溶ける。

 MC
 
 
 
 話は変わりますが、紙ベークの面をひいて使う時はひいた面に専用のニスを塗って使うことがあると聞きました。
ニスを塗らないと湿気を吸収してしまうとか、絶縁性が変わるかららしいと聞きました。
確かにベークの面ひくと水分を吸収しそうなパサパサ面がでてきます。
 
 ではまた!

水溶性切削油を変えました。-アルミ、真鍮、樹脂、銅で加工で使える水溶性切削油-

2008年07月11日 | 加工技術の備忘録
 当社はマシニングセンタで切削加工をしております。NC加工、機械加工ともいいます。
 
 以前はカストロール社の「シンタイロ9918」を使用していました。これは腐らなくていいんです。1年使って臭くなりません。臭くならない水溶性切削油なのです。

 ただ問題が一つ。銅に対しては非常に錆びを生じさせるのです。銅に使っていると無色透明の「シンタイロ9918」が段々と緑青に染まっていきます。それが乾くとそこに緑青(銅のさび)がこびり付いて、機械が緑青でべたべたになってしまいます。さらには真鍮に使うと黒っぽく変色させます。

 樹脂やアルミに使う分には問題ありません。

 今使ってる水溶性切削油は日本クエーカーケミカル社の「ミクロカットKD」です。銅や真鍮に使ってもサビさせにくいです。油屋さんもそういってました。まずはこの夏を越えて今年中腐らなかったら一次試験は合格としましょう。
 
 
 追記 2015.2.18

 うちの加工材料はアルミ、真鍮、銅といった金属から、ナイロン、ABS、アクリルなど熱を持ちやすい樹脂を加工する場合もこの水溶性切削油を使っています。この「ミクロカットKD」を5年もずっと使っていますがほとんど問題ないです。

 夏場にしばらく切削油を使わないと油が腐ってきます。すこし臭くなります。だから夏場は2週間に一回ぐらい切削油を循環させるようにしています。そうするとあまり臭くならないです。


まとめると

シンタイロ9918  樹脂○ アルミ○  銅× 真鍮× 防腐○
-----------------------------------------------------------
ミクロカットKD 樹脂○ アルミ○  銅○ 真鍮○ 防腐×

鉄やステンレスは少ししかやったことない。ステンを深さ0.3mmザグッたことはあります。その程度なら大丈夫でした。でもステンやるときって油性の切削油をそのままかけますよね?


MC501ナイロンを加工します。

2008年07月07日 | 加工技術の備忘録
 MC501ナイロンとは黒い導電性の樹脂です。色々な部品や製品に使われている主要な樹脂です。切削性がよく加工しやすい樹脂ではありますがバリは出ます。

 今日も細かいバリを取るのに苦労しました。スチールウールでこすってバリを取ってみたり、ヤスリでこすってみたりしましたがナイロンは摩擦に強いのでうまくいきません。、やっぱナイフで丁寧にバリを切り取るしかありませんでした。バリ取りナイフも使えますが、細かいところはオフファのアートナイフで取ってます。

 いかんせん手動なので手が滑って品物に傷をつけてしまうこともあります。

 ナイロンのバリ取りって苦労するなーと思いました。皆さんバリ取りどうしてますか?

紙ベーク2tの加工です

2008年07月04日 | 加工技術の備忘録
 まずは、紙ベークはすぐに欠けると言うか剥れるので注意します。問題はベーク2tに開ける直径6mm貫通孔です。皆さんならどう加工しますか?僕ならこう加工します。

プラン1
・もみつけ加工
・6mmドリルで穴あけ加工

プラン2
・いきなりエンドミル(直径6mm)で孔あけ加工

今回は個数が多いので時間の短いプラン2でやろうと思います。孔の裏側が剥れないように注意して加工します。
→ワークの下に冶具を敷くことで裏からの剥がれを抑えます。