経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

  武士道の考察(142)

2021-08-08 21:33:24 | Weblog
武士道の考察(142)

(若者組・若集組)
 共同体成員となるためには社会的訓練を経なければなりません。他者との親密さと距離感を経験する必要があります。社会が必要とする何事かを為すこと、個人はこの課題達成を通して親密さと距離の感覚を獲得します。訓練は同性集団で行われます。異性との関係に至るまでに同性との関係が確立していなければなりません。同性の友人のない人は異性との関係も不自然です。幼弱な時期から異性との親密な関係を結ぶべきではありません。同性集団における訓練の場は重要です。
 現在ではこの訓練の場は希薄になりましたが、昔はくっきりした形で存在していました。若者組あるいは若衆組といわれる組織で。一定の年齢になると共同体の中の若者は彼ら自身の集団を作り、時として住居も他の住民と異にし、独自の規律を作り、先輩後輩の命令関係を厳格にして、過ごします。彼らは共同体の作業の一定部分を引き受け分担します。若者組は共同体の作業のうち、明確で具体的で肉体を使用する作業を、義務そして権利として引き受けました。作業遂行の中で若者達は、団結と服従、権利と責任、親密さと対人間の距離を学習します。若者組の存在は、個人が親から離れ、依存一体化近親相姦願望を克服統合するための重要な過程です。親から異性に至る過程です。若者組では同性愛はありふれた現象でした。若者組は世界中どこにでも見られる普遍的事象です。

(社会的衝動としての同性愛)
 死を焦点として社会的結合は成り立ちます。共同体は同性集団独自の規律と訓練により成員を教育します。戦闘は共同体形成の中に埋没している同性愛的感情を顕在化させます。死があるから共同体があり、共同体があるから死を克服できます。死を焦点として個々人は相互に一致団結します。死を望見しつつ死を容認する媒体の重要な因子の一つが同性愛です。戦闘は死と直面しそれを克服する過程です。死という厳かな過程がなければ戦闘行為は存在しません。共同体つまり国家がある限り戦闘は不可避です。戦闘行為によってのみ国家共同体は自らを維持します。死と戦闘と共同体は相互に連接し補完しあいます。死、共同体、戦闘を貫く共同の要因が同性愛です。友は恋人、同性愛は社会的衝動です。
                                 142

「君民令和、美しい国日本の歴史」文芸社

コメントを投稿