ロドス島の薔薇

Hic Rhodus, hic saltus.

Hier ist die Rose, hier tanze. 

NHKの報道姿勢

2007年10月08日 | ニュース・現実評論

昨夜、NHKの番組で、激流中国「チベット 聖地に富を求めて」という番組を見ました。

昨年にチベットの首都ラサに「青海チベット鉄道」が開設されてからほぼ一年が経過しています。それを記念するかのような企画番組でした。

青海チベット鉄道は、中国共産党の指導で240億元の巨費を投じて建設されたものです。この鉄道の開設にともなって多くの観光客が訪れるようになっています。また、それに応じて商業資本も大量に流入し、その結果地元のチベットの民衆の生活が貨幣経済の性格をさらに強めてゆく様子も放映されていました。

NHKは「中国鉄道大紀行」という最近の番組でも俳優の関口知宏さんが中国の鉄道を乗り継いで、鉄道の沿線を紹介しながら現代中国の変化してゆく様子を伝えています。関口さんと番組のスタッフたち一行も、青海チベット鉄道のラサ駅を出発点としていました。しかし、この番組でも、「青海チベット鉄道」のチベット民族にとっての政治的な意味はいっさい報じられることはありませんでした。


チベットの首都ラサにあるチベット仏教の本山ポタラ宮の法王ダライ・ラマが現在亡命中であることもいっさい報道されることはなかったし、漢民族によるチベット民族同化政策が進んでいることについても、そして、チベットの鉱山資源の開発がこの鉄道の開設の最大の目的であることについても、チベット民族の視点に立った報道はいっさいありませんでした。


こうした内容の番組によっても確かに、現代中国の姿の一面を知ることはできますが、ただそれが必ずしも全面的で客観的ではないことが問題だと思います。現在のような報道姿勢では、日本の公共放送であるNHKが、事実上、そのまま現在の中国共産党の民族統治を是認して無批判に報道するという宣伝媒体になってしまっているということです。

もし、中国共産党当局のチベット統治に批判的であろうとすれば、NHKはたちどころにその中国支局を追放されてしまいかねないことになるからです。しかし、それではチベットの真実の姿は日本国民にはいっさい伝えられません。果たして、こんな番組ばかりを報道していて、チベットや中国の真実の姿を日本国民に伝えることができるのでしょうか。現在のチベット民族の運命が百年後の日本の運命にもなりかねないのにです。

日本国民はいつまでこんなNHKを日本の公共放送機関として認めるべきなのでしょうか、テレビを見ていても、そんな疑問がわいてきます。特権化した今のテレビ放送局に競争原理を働かせるとともに、いっそ公共放送機関をなくして、いっさいを民営化してゆく方向が検討されてもよいのではないかと思います。とはいえ、民営化といっても現在の不自由なジャーナリズム一般の精神を思うとそれにもたいした希望も持てませんが。

青海チベット鉄道が全線完成 ラサで祝賀大会

NHKにもの申す

 


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