ロドス島の薔薇

Hic Rhodus, hic saltus.

Hier ist die Rose, hier tanze. 

韓国の李明博大統領の謝罪要求

2012年08月21日 | ニュース・現実評論

 

韓国の李明博大統領の謝罪要求

韓国の李明博大統領が先の2012年8月14日に、天皇陛下について「韓国を訪問したければ、独立運動で亡くなった人々を訪ね、心から謝罪してほしい」などと謝罪要求した。それに対して、日本国内に反発がおきている。ネット上での低劣な韓国批判は珍しくないが、今回の発言をきっかけとする批判は、従来の「ネットウヨ」に火を付けたうえに、さらに一般的にそれらとは質を異にする「教養層」からのものも追加することになったようである。

李明博大統領は2012年8月10日に現在日韓両国で帰属問題に紛争のある竹島に上陸して、多くの日本国民の間に反韓感情を引き起こしたのに続いて、忠清北道の大学で行われた教員らとの会合の席上で行った、天皇陛下訪韓など対日関係に関する発言が再び論議をを呼び起こすことになった。

そこでの李明博大統領の発言の精確なところは定かではないが、ネット上などのニュースで漏れ聞くところによれば次のようなものであったらしい。

「(天皇も)韓国を訪問したいならば、独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ね、心から謝罪すればいい。何か月も悩んで「痛惜の念」などという言葉一つを見つけて来るくらいなら、来る必要はない。」

以上の発言が間違いのないものとしても、今年の年末には降板する予定の李大統領がこうした発言を行った背景については、いろいろと憶測されている。

しかしいずれにしても、李大統領の発言の背景には、韓国社会における特異な言論空間が存在していることを予想させる。

その言論空間は金大中元大統領から、さらに盧武鉉元大統領に至るまでの親北朝鮮政権においてとくに確立されたものであるといってよい。

戦前の日韓併合時代に生まれ育った世代が少数になり、その後の韓国社会に政治的に形成された観念的な反日的意識のなかで教育され生育した戦後世代をその背景としていることが、その特徴である。そのためにその「反日」は観念的でイデオロギー的な色彩が強い。

その言論空間の特色は、盧武鉉政権当時に制定せられた、いわゆる『親日法』(正式的には『親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法』と呼ばれる。)にとくに、よく現れているように思われる。

この『親日反民族法』は、日韓併合統治下の韓国において、親日反民族行為を行ったと認定された者、あるいはその子孫に対して、「親日行為」によって取得した土地や財産を没収させるというものである。

それは、法の不遡及を原理とする近現代法の原則に反する点においても、また、罪刑を近親者にも及ぼす連座制の性格の濃いことからも、前近代的できわめて封建的な性格の強い法律だと言わざるをえないものである。

こうした立法が為されるということ自体に、現代韓国社会における前近代的性格と非民主的な性格が現れていると思う。しかし、それが現実である。北朝鮮が「社会主義」を自称しているにもかかわらず、実質的には封建的な「金王朝」であるといわれるように、南北朝鮮ともに、名目的にはとにかく「自由と民主主義」の実質的な水準は必ずしも高くはないようである。

先の李明博大統領の竹島訪問や天皇陛下への謝罪請求といった対日強行発言には、退任後に次期政権から、とくに日本生まれの李明博大統領に対する「親日反民族行為」訴求に対する防御線を張っておくためであると考えられる。この時期における李大統領の発言の核心は、本年末の大統領職の離任後、韓国民と次期政権からの「親日派批判」を封じておくためにあると推測するのがもっとも妥当だろうと思う。李大統領の一連の「反日的」言動の背景には、さらに韓国社会の不自由で画一的な言論空間が存在している。

それにしても、韓国のみならずさらに中華人民共和国の両国から執拗に行われる日本の政治家に対する靖国神社参拝批判や、天皇陛下に対する謝罪要求の思想的な背景について(北朝鮮は論外として)、日本国民の了解しておかなければならないことは、韓国と中国の歴史観がいずれも、根本的にはマルクス主義の影響下にあるということである。その論理的帰結としての対日批判である。

したがって、韓国や中国からの対日批判には、全体主義国家、共産主義国家、もしくは疑似共産主義国家からの、自由民主主義国家日本に対する思想的批判という色彩を持っている。これらの両国からの対日批判の本質は、「全体主義国家」の「自由民主主義国家日本」に対する批判として捉えなければならない。

少なくとも、その批判の潜在的な、あるいは自覚的な意図には、自由民主主義国家日本の共産主義化という目的のうえに行われていると考えるべきだろう。したがって、日本国内にある日本人共産主義者、あるいは帰化中国人や帰化朝鮮人などの共産主義者たちも、自由民主主義国家日本に対する韓国や中国からの批判に同調し、共同戦線を組むことは予想されるものである。

実際にその歴史的な事例としては、マルクス主義歴史学者だった故井上清氏などの活動に典型的に見られると思う。朝日新聞などもその論調は、十分に親中国、親北朝鮮の色彩が濃い。もちろん、たとえ不十分ながらも「自由と民主主義」を国是とする日本国においては、「親韓反民族行為法」などはまちがっても制定されることは考えられないし、私たちの言論による批判の自由とともに、朝日新聞にも完全に「言論の自由」は保障されている。

韓国の言論空間は、日本以上に非民主的であり画一的で不自由であることが予想される。私たち日本国民は、共産主義中国や親北朝鮮の韓国からの対日批判の本質が、日本社会の共産主義化にあるということ、日本国を全体主義化させて彼らの国家体質に同化させることにあるということを自覚しておく必要があるだろう。そうして日本国における「言論の自由と民主主義」を防衛し、中国と韓国社会における自由と民主主義のさらなる実現と拡大のために戦う必要がある。

 

 

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4核兵器と外交政策

2012年08月13日 | 核兵器と外交政策

4核兵器と外交政策

そして最後に、この本が核時代における外交政策の形成と実行において含まれるすべての要素を探求する、とりわけ限られた専門家たちがともに従事した外交評議会によって指揮された研究の副産物であるという理由で、おそらく、この本はさらに重要性をもたらした。このように、この本は一人の個人の作品であるけれども、キッシンジャー博士は、関連するすべての分野における専門家たちの、また、たとえば、政府、外交、科学、工学、軍事、そして、武器生産などすべてにかかわ事務方の職員たち※の、経験と学識を用いる利益を持っていた。

こうした理由のために、そしておそらくその他の理由からも―――『核兵器と外交政策』はこの国において大きな需要を、その後私たちを迎えたミサイル時代ともなうスピードによって減少されることのなかった需要を満たしていた。

この現在の版は、いくつかの資料と細かな解説は省略されてはいるけれども、原典の本質のすべてを多くの読者たちに提供するための試みである。

ただ原典の十二章のうちの二章が――はじめの章で発展された概念によって明らかにされたNATOの詳細な調査の章と、そして、核兵器の技術的な性格にかんする解説的な章が、すっかり省略されている。さらに進んだ研究者あるいは批判的な研究家以外は、この要約版は原典と同様に、役立つことと信じている。この要約版は外交評議会の副編集者であるフィリップW・クウィッグによって準備された。

キッシンジャー博士は、私の考えるところ、わが国が直面しているもっとも困難な問題の一つからなるもっとも深遠で建設的な研究であるものを産み出した。私たちのディレンマから、たとえもし、われわれの頭に存在するとしても、逃れる道がある。そして、キッシンジャー博の本は、その頭とそして、ディレンマを保持し続ける方法を訴えている。
                          ゴードン・ディーン


研究グループのメンバーたちは次のような人たちだった。フランク・アルチュル、ハミルトン・フィッシュ・アームストロング、ハンソンW・ボールドウィン、ロイドV・バークナー、ロバートR・ボーウィー、マックジョージ・バンディ、ウィリアムA.M・バードン、ジョンC・キャンベル、トーマスK・フィンレター、ジョージS・フランクリン.ジュニアー、陸軍中将ジェームスM・ゲイビン、ロズウェルL・ギルパトリック、N.E・ハラビー、キャリルP・ハスキンス、ジェームスT・ヒル.ジュニアー、ジョセフE・ジョンソン、マービン・ケリー、陸軍少将ジェームス・マコーマック.ジュニアー、フランクC.ナッシュ、ポールH・ニッツ、チャールズP・ノイス、フランクC・ペース.ジュニアー、ジェームスA・パーキンス、ドンK・プライス、I.I.ラビ、デイビド・ロックフェラー、オスカーM・ルエブハウゼン、ウォルター・ベデル・スミス将軍、ヘンリー・デヴォルフ・スミス、シールド・バーレン、キャロルL・ウィルソン、アーノルドO・ヴォルファーズ

 

 

 

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要約版への序言(3核兵器と外交政策)

2012年08月10日 | 核兵器と外交政策

要約版への序言(3核兵器と外交政策)
〔2012/08/09 19:48〕

『核兵器と外交政策』がはじめて1957年6月に出版されたとき、私たちがこんな恐ろしい不安とともに生きている政治的な世界に関するアメリカ人の思考に直接的で深い衝撃を与えた。将軍たちと政治家らはそれを学び、下院議員たちは国会議事堂で同僚に読み聞かせ、そして十分に普通の市民が、十四週間もベストセラー・リストに載り続けたこの本の、その長くまたしばしば理解困難なページを熟読した。アメリカの外交政策に及ぼすこの本の影響の十分な範囲について判定するには早すぎるけれども、なぜ「核兵器と外交政策」が、国内および国外ともにこれほど深く感銘を与えたのか、私たちは少なくとも推測することはできる。

第一に、多くのアメリカ人が感じ続けていた、とくに、私たちの大量報復おける私たちの信頼についての我々の戦後の諸政策と失敗の、その不安と危惧を、私たちの合理的な政治的目的を達成する上での私たちの巨大な能力を使用することについての無能力と、私たちの兵役との矛盾について、非常な明確さをもって、はっきりと表現することに、それは成功している。
第二に、この本はおそらく、核技術と軍事的戦略の理解を政治的問題に応用しながら、軍事力と外交政策との間の相互関係の示しながら、戦後世界を包括的に調査した最初の本である。読者はキッシンジャー博士のなかに、私たちの政策におけるあやまった想定と矛盾の多くを切り開くことに成功し、核時代の諸現実についての新しい概念を提起した一級の知性を発見した。                                                                                                                     第三に、希望的な観測に欠けているとはいえ、熱核兵器の破滅の選択と、ロシアによって少しづつかじりとらつつある死に至る予想との間の筋の通った方法を示すことによって、この本はまだ希望があった。それは、何がまちがっているかを明らかにするだけではなく、どのように私たちの政策が正しく設定されなければならないかについての考えに富んでいる希有な仕事だった。

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この版の序言

2012年08月07日 | 核兵器と外交政策

この版の序言〔2012/08/07 22:03〕(核兵器と外交政策2)

十二年前、この本の終章のなかで私は書いた。「問題が何であれ、軍事戦略に問題にかかわるものであれ、同盟政策の問題であれ、あるいはソビエトブロックとの関係の問題にかかわるものであれ、核時代は何よりもまず主義の明確化が求められる。以前は想像もできなかった自然に対する支配を我々の手中にしている科学技術の時代にあって、実力の価値は結局は用いられるべき目的にすべてがかかっている。」

これらの言葉が書かれた後にも重要な変化は諸国家の関係に起きている。世界の秩序は今なお軍事的な意味において二つの超大国によって支配され、他の国々は核クラブに参加したけれども、ソビエトと西側同盟体制は結束性を失ってしまった。アメリカ合衆国とソビエト連邦はお互いに直接にベルリンとキューバで対決することになり、そして間接的に世界中のいたるところで紛争地帯の、そしてアメリカ軍がベトナムにおける弱まりつつある闘争に大きなスケールで関わってきた。

これらの出来事は国際的な状況を変えた。しかし、こうした状況は主義の明確化と国際秩序を求めることへの必要は、むしろ弱めるよりも強めている。

ヘンリーA・キッシンジャー
ワシントン
1969年1月

 

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核兵器と外交政策〔翻訳草稿〕

2012年08月06日 | 核兵器と外交政策

核兵器と外交政策〔翻訳草稿〕
〔2012/08/06 20:48〕
ヘンリィーA・キッシンジャー

要約版

ニクソン大統領の国家安全委員会の現在の顧問であるヘンリィーA・キッシンジャーは政府の委員会における積極的な関与をともなう学術的な経歴と結びついている。彼はハーバード大学における文学士、文学修士、博士号の学位を取得した。ハーバード大学では、キッシンジャーは政治学の教授と国家安全保障研究プログラムの理事長を務め、国際問題センターのメンバーだった。キッシンジャー氏は国務省と軍縮庁、および、国家安全保障会議の顧問として奉仕した。「核兵器と外交政策」に加えて、彼はまた「アメリカの外交政策」「随想三篇」「こじれた同盟」「大西洋同盟の再評価」「選択の必要」「アメリカ外交政策の展望」そして、「回復された世界:カスルレー、メッテルニヒ、そして、平和の回復」などの著作を書いた。

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