ロドス島の薔薇

Hic Rhodus, hic saltus.

Hier ist die Rose, hier tanze. 

NHK世論調査2007年12月「憲法改正論議と国民の意識」

2013年07月22日 | 憲法論資料

 

憲法改正論議と国民の意識

 

 

昭和22年に日本国憲法が施行されて、今年でちょうど60年なる。今年5月には、憲法改正に強い意欲を示した安倍政権のも とで、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が成立した。放送文化研究所は、8月に「憲法に関する世論調査」を実施し、調査結果の一部は8月15日放送の討 論番組『日本の、これから~考えてみませんか?憲法9条~』で紹介された。

 

調査は、8月3日(金)~5日(日)の3日間、全国の18歳以上の2,458人に対し電話法(RDD)で実施し、58.3%にあたる1,486人から回答を得た。

調査結果によると、憲法改正の是非については「改正する必要があると思う」と答えた人は、41%で、「改正する必要はない と思う」の24%を大きく上回った。憲法改正が必要と答えた人にその理由を尋ねたところ、「時代が変わって対応できない問題がでてきたから」が、73%で 最も多く、次いで「国際社会での役割を果たすために必要だから」(18%)、「アメリカに押しつけられた憲法だから」(7%)の順であった。

一方、憲法9条の改正の是非については、「改正する必要があると思う」と答えた人は28%、「改正する必要はないと思う」 が41%で、憲法改正の是非とは逆に、「改正の必要がない」と答える人の方が多かった。「改正が必要」と答えた人にその理由を聞いたところ、「自衛力を持 てることを憲法にはっきり、書くべきだから」(41%)、「国連を中心とする軍事活動にも参加できるようにすべきだから」(33%)などであった。一方、 「改正の必要がない」という人の理由は、「平和憲法として最も大事な条文だから」(66%)、「海外での武力行使の歯止めがなくなるから」(16%)など であった。

また、政府が有識者の懇談会を設けて議論を進めている集団的自衛権の意味については、49%が「知らない」と答え、憲法改正の議論の土台ともなる情報が、必ずしも国民の間に広く伝わっていない実態も明らかになった。

 

担当部長 塩田幸司

※その他参考資料

Hashigozakura

※NHK世論調査「憲法改正」⇒「必要あると思う」42%、「必要はないと思う」16%で6年前より8ポイント低くい。「どちらともいえない」が39%。 5月3日は憲法記念日です… | Hashigozakura http://p.tl/vwtp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)

2013年07月04日 | 憲法論資料

 

十 日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)(一九四六、六、二九発表)

前文
第一章 日本人民共和国
第二章 人民の基本的権利と義務
第三章 国会
第四章 政府
第五章 国家財政
第六章 地方制度
第七章 司法
第八章 公務員
第九章 憲法改正

前文

天皇制支配体制によつてもたらされたものは、無謀な帝国主義侵略戦争、人類の生命と財産の大規模な破壊、人民大衆の悲惨にみちた窮乏と飢餓とであつた。こ の天皇制は欽定憲法によつて法制化されてゐた様に、天皇が絶対権力を握り人民の権利を徹底的に剥奪した。それは特権身分である天皇を頂点として、軍閥と官 僚によつて武装され、資本家地主のための搾取と抑圧の体制として、勤労人民に君臨し、政治的には奴隷的無権利状態を、経済的には植民地的に低い生活水準 を、文化的には蒙昧と偏見と迷信と盲従とを強制し、無限の苦痛をあたへてきた。これに反対する人民の声は、死と牢獄とをもつて威嚇され弾圧された。この専 制的政治制度は日本民族の自由と福祉とに決定的に相反する。同時にそれは近隣植民地・半植民地諸国の解放にたいする最大の障害であつた。
われらは苦難の現実を通じて、このやうな汚辱と苦痛にみちた専制政治を廃棄し、人民に主権をおく民主主義的制度を建設することが急務であると確信する。こ の方向こそかつて天皇制のもとにひとしく呻吟してきた日本の人民と近隣諸国人民との相互の自由と繁栄にもとづく友愛を決定的に強めるものである。
ここにわれらは、人民の間から選ばれた代表を通じて人民のための政治が行はれるところの人民共和政体の採択を宣言し、この憲法を決定するものである。天皇 制はそれがどんな形をとらうとも、人民の民主主義体制とは絶対に相容れない。天皇制の廃止、寄生地主的土地所有制の廃絶と財閥的独占資本の解体、基本的人 権の確立、人民の政治的自由の保障、人民の経済的福祉の擁護――これらに基調をおく本憲法こそ、日本人民の民主主義的発展と幸福の真の保障となるものであ る。日本人民の圧倒的多数を占める勤労人民大衆を基盤とするこの人民的民主主義体制だけが帝国主義者のくはだてる専制抑圧政治の復活と侵略戦争への野望と を防止し、人民の窮極的解放への道を確実にする。それは人民の民主的祖国としての日本の独立を完成させ、われらの国は国際社会に名誉ある当然の位置を占め るだらう。日本人民はこの憲法に導かれつつ、政治的恐怖と経済的窮乏と文化的貧困からの完全な解放をめざし、全世界の民主主義的な平和愛好国家との恒久の親睦をかため、世界の平和、人類の無限の向上のために、高邁な正義と人道を守りぬくことを誓ふものである。

第一章 日本人民共和国

第一条 日本国は人民共和制国家である。
第二条 日本人民共和国の主権は人民にある。主権は憲法に則つて行使される。
第三条 日本人民共和国の政治は人民の自由な意志にもとづいて選出される議会を基礎として運営される。
第四条 日本人民共和国の経済は封建的寄生的土地所有制の廃止、財閥的独占資本の解体、重要企業ならびに金融機関の人民共和政府による民主主義的規制にもとづき、人民生活の安定と向上とを目的として運営される。
第五条 日本人民共和国はすべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、どんな侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない。

第二章 人民の基本的権利と義務

第六条 日本人民共和国のすべての人民は法律の前に平等であり、すべての基本的権利を享有する。
第七条 この憲法の保障する基本的人権は不可侵の権利であつて、これを犯す法律を制定し、命令を発することはできない。
政府が憲法によつて保障された基本的人権を侵害する行為をなし、またかやうな命令を発した場合は人民はこれに服従する義務を負はない。
第八条 人民は日本人民共和国の法律と自己の良心以外にはどんな権威またはどんな特定の個人にたいしても服従または尊敬を強要されることはない。人種、民 族、性別、信教、身分または門地による政治的経済的または社会的特権はすべて廃止され今後設置されえない。皇族、華族の制度はこれを廃止する。称号、勲章 その他の栄典はどんな特権をも伴はない。かやうな栄典の授与はあたへられた者にたいしてのみ効力をもつ。
第九条 人民は民主主義的な一切の言論、出版、集合、結社の自由をもち、労働争議および示威行進の完全な自由を認められる。
この権利を保障するために民主主義的政党ならびに大衆団体にたいし印刷所、用紙、公共建築物、通信手段その他この権利を行使するために必要な物質的条件を提供する。
民主主義的大衆団体の国際的聯繋の自由は保障され助成される。
第十条 人民に信仰と良心の自由を保障するため宗教と国家、宗教と学校は分離され、宗教的礼拝、布教の自由とともに反宗教的宣伝の自由もまた保障される。
第十一条 人民は居住、移転、国外への移住、国籍の離脱ならびに職業選択の自由をもつ。
第十二条 人民の住宅の不可侵と通信の秘密は法律によつて保護される。
第十三条 人民は身体の不可侵を保障され、何人も裁判所の決定または検事の同意なしには逮捕拘禁されることはない。
公務員による拷問および残虐な行為は絶対に禁止される。
第十四条 何人も裁判所で裁判を受ける権利を奪はれず、裁判は迅速公平でなければならない。
第十五条 人民を抑留、拘禁した場合、当該機関は例外なく即時家族もしくは本人の指名する個人に通知しなければならない。また本人の要求があれば拘束の理由は直ちに本人および弁護人の出席する公開の法廷で明示されなくてはならない。
第十六条 何人も自己に不利益な供述をすることを強要されない。強制、拷問または脅迫のもとでの自白もしくは不当に長期にわたる抑留または拘禁の後の自白 は、これを証拠とすることはできない。何人も自己に不利益な自白だけによつては有罪とされず、または刑罰を科せられない。
第十七条 被告人はどんな場合にも弁護の権利を保障され、事件の資料について精通する権利と法廷において自国語で陳述する権利とを保障される。
第十八条 どんな行為もあらかじめ法律によつてこれにたいする罰則を定めたものでなければ刑罰を科せられない。刑罰は犯罪の重要さに応じて科せられる。何人も同一の行為のために二度処罰されることはない。
第十九条 死刑はこれを廃止する。
第二十条 国家は裁判の結果無罪の宣告をうけた被告人にたいしては精神上、物質上の損害を賠償しなければならない。
第二十一条 受刑者の取扱ひは人道的でなければならない。受刑者の労賃と労働時間は一般企業の労働条件を基準として決定される。
女子の被拘禁者にたいしては特にその生理的特性にもとづく給養を保障し、妊娠、分娩の際には衛生的処置を保障しなければならない。
第二十二条 刑罰は受刑者の共和国市民としての社会的再教育を目的とする。受刑者にたいして合法的に科された刑罰を更に加重するやうな取扱を行つた公務員はその責任を問はれる。
第二十三条 受刑者を含む被拘禁者にたいして進歩的民主主義的出版物の看読を禁止することはできない。
第二十四条 勤労にもとづく財産および市民としての生活に必要な財産の使用・受益・処分は法律によつて保障され、その財産は相続を認められる。社会的生産手段の所有は公共の福祉に従属する。財産権は公共の福祉のために必要な場合には法律によつて制限される。
第二十五条 人民は性別を問はずすべての国家機関の公務員に選任される権利をもつ。
第二十六条 人民は個人または団体の利害に関しすべての公共機関に口頭または文書で請願または要求を提出する権利をもつ。何人もこの請願または要求をしたためにどんな差別待遇もうけることはない。
第二十七条 女子は法律的・経済的・社会的および文化的諸分野で男子と完全に平等の権利をもつ。
第二十八条 婚姻は両性の合意によつてのみ成立しかつ男女が平等の権利をもつ完全な一夫一婦を基本とし純潔な家族生活の建設を目的とする。社会生活におい て家長および男子の専横を可能とする非民主的な戸主制ならびに家督相続制はこれを廃止する。夫婦ならびに親族生活において女子にたいする圧迫と無権利とを もたらす法律はすべて廃止される。
第二十九条 寡婦およびすべての生児の生活と権利は国家および公共団体によつて十分に保護される。
第三十条 人民は労働の権利をもつ。すなはち労働の質と量にふさはしい支払をうける仕事につく権利をもつ。この権利は民主主義的経済政策にもとづく失業の 防止、奴隷的雇傭関係および労働条件の排除、同一労働に対する同一賃銀の原則、生活費を基準とする最低賃銀制の設定によつて現実に確保され、労働法規によ つて保障される。
第三十一条 勤労者の団結権、団体交渉・団体協約その他団体行動をする権利は保障される。被傭者は企業の経営に参加する権利をもつ。
第三十二条 労働の期間および条件は労働者の健康、人格的威厳または家庭生活を破壊するものであつてはならない。十八歳以下の未成年者はその身心の発達を阻害する労働にたいして保護され、十六歳以下の幼少年労働は禁止される。
第三十三条 人民は休息の権利をもつ。この権利は一週四十時間労働制、一週一日・一年二週間以上の有給休暇制、休養のための諸施設ならびに労働諸法規によつて保障される。
第三十四条 勤労婦人は国家および雇主からその生理的特性にたいする配慮をうけ、産前産後の有給休暇、母子健康相談所、産院、保育所等の設備によつてその労働と休息の権利を保障される。
第三十五条 人民は老年、疾病、労働災害その他労働能力の喪失および失業の場合に物質的保障をうける権利をもつ。この権利は国家または雇主の負担による労働災害予防設備、社会保険制度の発展、無料施療をはじめとする広汎な療養施設によつて保障される。
第三十六条 家のない人民は国家から住宅を保障される権利をもつ。この権利は国家による新住宅の大量建設、遊休大建築物、大邸宅の開放、借家人の保護によつて保障される。
第三十七条 すべての人民は教育をうけ技能を獲得する機会を保障される。初等および中等学校の教育は義務制とし、費用は全額国庫負担とする。上級学校での就学には一定条件の国庫負担制を実施する。
企業家はその経営の便宜のために被傭者の就学を妨げることはできない。
第三十八条 日本人民共和国は人民の科学的研究、芸術的創造の自由を保障し、人民のあらゆる才能と創意の発展を期し、研究所、実験所、専門的教育機関、文化芸術諸施設を広汎に設置する。
第三十九条 日本人民共和国は民主主義的活動、民族解放運動、学術的活動のゆゑに追究される外国人にたいして国内避難権を与へる。
第四十条 日本人民共和国に居住する外国人の必要な権利は法律によつて保障される。
第四十一条 人民は日本人民共和国の憲法を遵守し、法律を履行し、社会的義務を励行し、共同生活の諸規則に準拠する義務をもつ。

第三章 国会

第四十二条 日本人民共和国の最高の国家機関は国会である。
第四十三条 国会は主権を管理し人民にたいして責任を負ふ。
第四十四条 国会はつぎの事項を管掌する。
一 内外国政に関する基本方策の決定
二 憲法の実行の監視
三 憲法の変更または修正
四 法律の制定
五 予算案の審議と確認
六 政府首席の任免と首席による政府員の任免の確認
七 国会常任幹事会の選挙、国会休会中において常任幹事会の発布した諸法規の確認
八 人民から提出された請願書の裁決
九 日本人民共和国最高検事局検事の任命
十 会計検査院長の任命
十一 各種専門委員会の設置
第四十五条 国会は法律の定める定員数からなる代議員によつて構成される一院制議会である。
第四十六条 日本人民共和国の立法権は国会だけがこれを行使する。
第四十七条 代議員として選挙され、かつ代議員を選挙する資格は、政治上の権利を有する十八歳以上のすべての男女に与へられる。選挙権、被選挙権は定住、資産、信教、性別、民族、教育その他の社会的条件によるどんな差別、制限をも加へられない。
第四十八条 代議員の選挙は比例代表制にもとづき平等、直接、秘密、普通選挙によつて行はれる。
第四十九条 代議員はその選挙区の選挙民にたいして報告の義務を負ふ。選挙民は法律の規定に従つて代議員を召還することができる。
第五十条 国会は四年の任期をもつて選挙される。
第五十一条 国会は代議員の資格を審議する資格審査委員会を選挙する。国会は資格審査委員会の提議により個々の代議員の資格の承認または選挙の無効を決定する。
第五十二条 国会は必要と認めた場合にはすべての問題に関して査問委員会および検査委員会を任命する。すべての機関および公務員はこれらの委員会の要求に応じて必要な資料と書類を提供する義務を持つ。
第五十三条 国会の会期は年二回を原則とする。臨時国会は国会常任幹事会の決定および代議員三分の二以上の要求によつて召集される。
第五十四条 国会は代議員数の三分の二以上の出席によつて成立する。
第五十五条 法律は国会において代議員の単純多数決によつて成立し、国会常任幹事会議長および書記の署名をもつて公布される。
第五十六条 国会における議事はすべて公開とする。
第五十七条 国会は議長一名、副議長二名を選挙し、議事の進行、国会内の秩序の維持にあたらせる。
第五十八条 代議員は国会の同意がなくては逮捕されない。国会の休会中は国会常任幹事会の承認を必要とし次期国会の同意を要する。
第五十九条 国会には代議員の三分の二以上の決議にもとづき解散を告示する権限がある。
第六十条 国会の任期が満了するかまたは国会が解散された場合には、四十日以内に総選挙が施行される。
第六十一条 総選挙施行後三十日以内に前国会常任幹事会は新国会を召集する。
第六十二条 国会は二十五名の国会常任幹事会を選挙する。
第六十三条 国会常任幹事会は議長および副議長各一名を選挙し、議長は日本人民共和国を代表する。
第六十四条 国会常任幹事会はつぎの事項を管掌する。
一 国会の召集および解散、総選挙施行の公告
二 国会休会中政府首席による政府員の任免の確認 ただしこれについては国会の事後確認を必要とする
三 国会の決定による人民投票の施行の公告
四 政府の決定および命令のうち法律に合致しないものの廃止
五 赦免権の行使
六 国際条約の批准
七 外国における日本人民共和国全権代表の任命および召還
八 日本駐剳外国代表者の信任状および解任状の受理
九 民主的栄典の授与
第六十五条 国会の任期が満了するかまたは国会が解散された場合には、国会常任幹事会は新たに選挙された国会によつて、新国会常任幹事会が選出されるまでこの権限を保持する。

第四章 政府

第六十六条 政府は日本人民共和国の最高の行政機関である。政府首席は国会によつて任命され、首席の指名にもとづき国会の承認をえた政府員とともに政府を構成する。
第六十七条 政府は国会にたいして責任を負ひ、国会の休会中は国会常任幹事会にたいして責任を負ふ。各政府員は政府の一般政策について全体的に、個人的行動については個人的に責任を問はれる。
第六十八条 国会が政府にたいする不信任案を採択した場合には政府は総辞職する。
第六十九条 政府は次の事項を管掌する。
一 一般的中央行政事務の遂行のために現行諸法規にもとづいて決定又は命令を発布し、かつその執行を検査すること
二 各省およびその管轄下にある国家の諸機関を統一的に指導すること
三 日本人民共和国の発展、公共の秩序の維持および基本的人権の保障のために必要な諸措置の施行
四 各省に附属する特別委員会または事務局の組織
五 対外関係の一般的指導
六 政府の権限に関する問題につき各省の訓令または指令もしくは地方議会の決定または命令で国法に合致しないものの取消
第七十条 政府の命令は日本人民共和国の全領域にわたつて施行される。
政府の命令の公布には当該政府員の署名と首席の副署とを必要とする。

第五章 国会財政

第七十一条 国家財政の処理には国会の議決を必要とする。
第七十二条 租税の賦課および徴収は変更されない限り一年を限つて効力をもつ。消費税はこれを廃止する。
第七十三条 国費の支出または国家債務の負担は国会の議決を経るを必要とする。
第七十四条 政府は毎会計年度の予算を作成し、国会の審議をうけ承認をえなければならない。事業計画については政府は毎年事業計画書を作成し、国会に提出しなければならない。
第七十五条 国家財政の決算はすべて毎年会計検査院の検査をうけ、政府は次年度にその検査報告とともにこれを国会に提出しなければならない。
会計検査院長は国会によつて任命され、職務の遂行につき国会に責任を負ふ。
会計検査院の組織と権限は法律によつて定められる。

第六章 地方制度

第七十六条 日本人民共和国はその領土内に、地方制度(村、町、市、県等)を認める。地方制度は法律にもとづいて運営される。
第七十七条 地方制度は第四十七条、第四十八条を基準とする選挙法によつて選挙される地方議会(村会、町会、市会、県会等)を基礎として運営される。
第七十八条 各級の地方議会はそれぞれの行政機関を選任する。行政機関はそれぞれの地方議会ならびに上級機関に責任を負ふ。
第七十九条 各級の地方議会はそれぞれの行政機関の活動を統轄し地方予算を審議、確認し、法律の範囲内において地方的問題を議決しまたは命令を発布する。
第八十条 政府機関の地方支部の活動は地方の権力機関の行政と合致するやう法律によつて調整される。

第七章 司法

第八十一条 日本人民共和国における裁判は人民の基本的権利の尊重を根本精神とし、人民の名により最高裁判所、地方裁判所、地区裁判所によつて行はれる。
第八十二条 裁判はこれを公開しその審理には陪審員の参加が必要である。
第八十三条 日本人民共和国の最高裁判機関は最高裁判所である。
第八十四条 最高裁判所の裁判官は国会の推薦にもとづき人民の信任投票によつて五年の任期をもつて選任される。
第八十五条 各下級裁判所の裁判官はそれぞれ地方の議会の推薦にもとづきそれぞれの地域の人民の信任投票によつて四年の任期をもつて選任される。
第八十六条 裁判官は独立的であり法律にのみ服従する。
第八十七条 検事の任務は人民が法律を正確に遵守するのを監督するにある。
第八十八条 最高検事局の検事は五年の任期をもつて国会により任命される。
第八十九条 下級検事局の検事は最高検事局の検事の確認を経て上級検事局がこれを任命する。
第九十条 検事局機関は、最高検事局の検事にだけ服従し、一切の地方機関から独立してその職務を行ふ。

第八章 公務員

第九十一条 公務員は民主主義と全人民の利益に奉仕し官僚主義に陥つてはならない。
第九十二条 公務員は廉潔を旨とし、一切の汚辱行為、職権濫用行為をすることを厳禁される。
国家は公務員およびその家族に必要な生活手段を保障する。
第九十三条 行政機関の公務員のうち議会によつて任免されるもの以外はその行政機関の長が任免する。
第九十四条 人民は公務員の罷免を議会その他の公共機関に要求する権利をもつ。
第九十五条 議会は公務員の活動を監視し、議会の確認によつて執行機関の長が任免する公務員にたいしても罷免を要求する権利をもつ。
第九十六条 警察署の責任者はその署の管轄区域内の人民によつて選出され、警察制度が官僚的支配機構として固着することを阻止する。

第九章 憲法改正

第九十七条 日本人民共和国憲法の改正発案権は国会に属する。
第九十八条 日本人民共和国の地方上級議会は、代議員の三分の二以上の同意をもつて憲法改正の提案権をもつ。
第九十九条 日本人民共和国の憲法の改正は、国会代議員の三分の二以上の出席によつて開会される国会において、三分の二以上の多数をもつて採択されねばならない。
第百条 日本人民共和国の共和政体の破棄および特権的身分制度の復活は憲法改正の対象となりえない。

Copyright©2003-2004 National Diet Library All Rights Reserved.

 

※出典

 http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/02/119/119tx.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【金曜討論】 「憲法9条」

2013年06月28日 | 憲法論資料


【金曜討論】

「憲法9条」 佐藤正久氏「国防軍を持つことを明記」、小池晃氏「国民合意で9条を完全実施」

2013.6.28 07:51

 日本国憲法の改正論議で数十年にわたり、最大の論点であり続けてきたのが9条と自衛隊の問題だ。憲法に照らして自衛隊は合憲なのか、9条と自衛隊の矛盾をどう解決すべきなのか。自民党参院議員で防衛政務官の佐藤正久氏と、元参院議員で共産党副委員長の小池晃氏に見解を聞いた。(溝上健良)

                  ◇佐藤正久・参議院議員(伴龍二撮影)

 ≪佐藤正久氏≫

 ■前文も含め改正すべきだ

 --9条に照らして自衛隊は合憲か

 「私は合憲の立場だ。国連憲章に基づいて主権国家として日本は自衛権を持っているわけで、その行使の手段として自衛隊があるといえる。ただ自衛隊は警察予備隊が原点であり、憲法上は警察の非常に大きなものが自衛権を行使するような形になっていて、位置づけがあいまいなのが問題だ」

 --9条改正の是非について

 「自民党の憲法草案にあるように、前文も含めて改正すべきだ。基本的な考えとして『日本は侵略戦争はしません』と明確にした上で、自衛権を保持しており、国防軍を持つことを明記する。国防軍の役割についても憲法にきちんと書いておけば『改憲したら海外で戦争を仕掛けることになる』といった懸念も払拭されるだろう」

 --前文の改正も必要とのことだが

 「前文では日本以外はいい国で日本は悪い国という前提で『諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持』することになっている。今の憲法には自分の国や故郷、家族を守る義務と責任が書かれておらず、そのことは前文、そして9条、権利義務の章に盛り込むべきだ。今の憲法はあまりに権利と義務のバランスが悪く、新憲法できちんと整理する必要がある」

 --イラク派遣の際、憲法9条の限界を感じて苦労したことは

 「集団的自衛権は認められないという解釈がされているため、多国籍軍の一員として参加していながら他国の指揮は受けないとか、仮に他国の軍隊が襲われても助けに行けないといった問題があった。また他国の軍隊と違って武器使用にも厳しい制限があって、例えばもし駐屯地の外にいる民間の日本人が襲われたとしても助けに行けないという悩みもあった」

 --自民党が自衛隊を「国防軍」にする憲法草案を発表して、現役隊員の反応はどうか

 「自衛隊のままでいいという隊員もいるが、特に海外勤務経験のある隊員やOBからは軍としてきちんと位置づけてほしいとの声が多い。そもそもあれだけ大きな組織が憲法で明記されていないこと自体が問題だ。(自衛隊の英語名)セルフ・ディフェンス・フォースでは“自警団”といった意味合いがあり、それでは誇りが持てない」

 --国防軍というと「復古的だ」と言い出す人が必ず存在する

 「世界のほとんどの国は国防軍を持っているのが現実だ。どうも日本人は新しく物事を変えるときに雰囲気で論じがちな気がする。例えば防衛庁を防衛省にするときも猛反対があったが、今は当たり前になっていて、一体何が問題だったのかと思わされる。国防軍になっても今とそれほど実態が異なるわけではない。ただ法的にグレーだった部分がかなりクリアになるはずだ」

                  ◇【金曜討論】「憲法9条」 佐藤正久氏「国防軍を持つことを明記」、小池晃氏「国民合意で9条を完全実施」

 ≪小池晃氏≫

 ■必ずしも常備軍いらない

 --9条に照らして自衛隊は合憲か

 「憲法は『陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない』としており、自衛隊は9条2項に明白に違反する戦力、つまり軍隊そのものだ。私たちは対米従属の根源である日米安保条約を廃棄するとともに、自衛隊については、当面軍縮の措置をとり、国民の合意で9条を完全実施する、すなわち自衛隊の解消を目指すことを党綱領にうたっている。アジアの政治・軍事情勢が変わっていくことと『自衛隊をなくして大丈夫』という国民の合意が得られることが前提となる」

 --将来は廃止するとして、当面は自衛隊が必要だということか

 「解消に取り組む過渡的な時期はあるわけで、その間に外国から急迫不正の侵害があれば、必要なあらゆる手段をとって排除することは当然だ」

 --国の自衛権についてどう考える

 「国家には当然、自衛権があるが、必ずしも常備軍が必要だとは考えていない。侵略などがあったときに主権を守っていくのは国家に固有の権利だ。昭和21年の憲法制定議会では吉田茂首相から自衛権を否定するかのような答弁もあったが、それは違うという主張を当時も共産党はしてきた。党としては憲法の中に侵略戦争の禁止を明記することを求めたのであって、国に自衛権があるという見解は当時から現在まで一貫している。ただ、その自衛権も常備軍によらずに行使していこうというのが9条の規定だといえる」

 --常備軍によらない自衛権とはどういうことか、イメージしにくいが

 「中国や北朝鮮の現状をみればすぐに実現は難しいが、他国との争いは軍隊によらず外交交渉で解決する、というのが9条の精神だろう。よく9条を守るというと『平和ボケ』などといわれるが、むしろ外交上の問題が浮上するとすぐ軍事対応だ、となることはよほど『軍事ボケ』ではないか」

 --9条改正の是非について

 「断固として9条を変えてはいけない。海外派兵を可能にし、米国と一緒に武力行使できるようにすることが自民党による9条改正の目的であり、自衛の問題ではなくなっている」

 --昭和21年6月に共産党が発表した「日本人民共和国憲法」草案は今、どのような扱いになっているのか

 「当時、新しい国を白紙からつくろうと議論したもので、すでに時代的役割を終えた歴史的文書だ。前文も含め現行憲法の完全実施を目指すというのが、現在の私たちの立場だ」

 --共産党は「憲法改悪反対」を掲げているが、改正なら賛成なのか

 「各政党・団体の憲法案はまぎれもない改悪案ばかり。今、現実政治の憲法からの乖離(かいり)が問題で、憲法を守り生かしていくことこそが必要。共産党は護憲政党だと考えてもらっていい」

                  ◇

【プロフィル】佐藤正久

 さとう・まさひさ 昭和35年、福島県生まれ。52歳。防衛大学校卒、米陸軍指揮幕僚大学卒。陸上自衛隊で最終階級は1等陸佐。平成19年に退官し、同年から参院議員。近著に「ヒゲの隊長 絆の道」。

                  ◇

【プロフィル】小池晃

 こいけ・あきら 昭和35年、東京都生まれ。53歳。東北大医学部卒。病院勤務医を経て、平成10年から共産党参院議員を2期務める。今年2月から党副委員長。著書に「どうする日本の年金」など。

(c) 2013 The Sankei Shimbun & Sankei Digital

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【「国民の憲法」要綱 シンポジウム詳報(2)】サッチャーの文民統制見習え

2013年05月16日 | 憲法論資料

 

【「国民の憲法」要綱 シンポジウム詳報(2)】サッチャーの文民統制見習え
2013.5.16 07:58

 ≪前 文≫

 田久保氏「前文は、最初に憲法全体の性格、最後に決意を表明し、その間で日本の歴史と特徴、意気込み、尊重する価値観、国家目標の『(◆)独立自存の道義国家』を書いた。文学的、哲学的な響きを持つ名文だ」



 第一条(国柄) 日本国は、天皇を国の永続性および国民統合の象徴とする立憲君主国である。

 第二条(国の元首) 天皇は、日本国の元首であり、国を代表する。

 第三条(皇位の継承) 皇位は、皇室典範の定めるところにより、皇統に属する男系の子孫がこれを継承する。

 第四条(天皇の権能、内閣の補佐および責任)

  2 天皇のすべての国事行為および公的行為は、内閣がこれを補佐し、その責任を負う。

 第七条(天皇の国事行為および公的行為)

  2 天皇は、左の公的行為を行う。

  一 伝統に基づく皇室祭祀を行う。

 第八条(皇室典範の改正) 皇室典範の改正は、事前に皇室会議の議を経ることを必要とする。

 第一四条(国旗および国歌) 日本国の国旗は日章旗、国歌は君が代である。



国民統合の「象徴」男系維持

 ≪第一章 天皇≫

 ≪第二章 国の構成≫

 百地氏「現行憲法の問題は、個人があって国家がなく家族がないことだ。国家には2つの側面がある。1つは権力機構で『ステート』。これに対し、歴史的、伝統的な国民の共同体『ネーション』がある。合わせて『ネーションステート』。歴史的な共同体の上に政府が存在するのが近代国家だ。

 『国民の憲法』はこの国家観を前提に、第一章で国民共同体としての国家とそれを象徴する天皇、第二章で近代国家の3要素の国民、領土、主権を定めた。

 『憲法は権力を縛るものだ』という議論があり、確かに立憲主義は国家権力の乱用を防ぐものだが、それが全てではない。権力機構に対応する憲法の中にも、権力を縛る制限規範と権力そのものを付与する授権規範がある。

 国民共同体としての国家を考えると、『国のすがた・かたち』としての憲法が必要だ。『コンスティチューション(憲法)』は国体、国柄という訳語の方がふさわしいとされる。その意味での条文が日本国憲法には存在しない。

 そこで、『国民の憲法』第一章は第1条で、わが国の(◆)国柄を明記した。国家は歴史的連続性と空間的広がりで成り立っている。その国家の永続性と国民統合の象徴が天皇。まさに国民共同体としての国家、国柄を示す規定だ。

 日本は立憲君主国だ。戦後『共和制だ』という議論もあったが、そうした論議の余地をなくすために、立憲君主国であること、天皇が元首で国を代表することも明記した。立憲君主の特徴は『君臨すれども統治せず』。建前としては権能を持っているが、実際は内閣の輔弼(ほひつ)や助言によって行う。現行憲法は建前の権限まで剥奪し丸腰にした。それでは権威も保てない。『国政に関する権能を有しない』という条項から天皇は一切、政治に関わってはいけないかのような誤解もある。これらを改めた。

 天皇の公的行為、いわゆる象徴行為も明記した。国会開会式でのお言葉は、現行憲法でも認められるが、共産党は違憲だとして出席していない。公的行為と明記し、国家、国民のための祈りである宮中祭祀(さいし)も公的行為とした。

 第二章では『国の構成』を明らかにした。国家の目的は『国は、その主権と独立を守り、公の秩序を維持し、かつ国民の生命、自由および財産を保護しなければならない』とした。

 国民主権も明記したが、現行憲法では国民一人一人が全能かのような誤解がある。そこで、主権は代表者や憲法改正、国民投票法を通じて行使するとした。

 『国旗は日章旗、国歌は君が代である』とも明示した。『とする』より、確立しているものを確認するので『である』がよい。

 ちなみに聖徳太子は十七条の憲法。『国民の憲法』は117条の憲法。『いいな憲法』と読める」

 大原氏「『象徴』という言葉は国民に受け入れられているため採用した。皇位継承は、現行憲法では『世襲』とあるだけ。(◆)女系でも同一の血統なら世襲だとの議論があり混乱を招いている。男系に限定するため『男系の子孫』とした。『男系の男子孫』という意見もあるが、過去に男系の女性天皇が10代8人いた。将来は男系の女性天皇まではあり得るという含みだ。

 皇室典範の改正は国会の単純な議決で決まることになっているが、皇室の存在や地位の変更に関わる事柄に皇室が関わらないのは不適切だ。皇室の意向も配慮できるよう皇室会議の議を経ることとした」



サッチャーの文民統制見習え

 第一五条(国際平和の希求) 日本国は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国が締結した条約および確立された国際法規に従って、国際紛争の平和的解決に努める。

 第一六条(軍の保持、最高指揮権) 国の独立と安全を守り、国民を保護するとともに、国際平和に寄与するため、軍を保持する。



 ≪第三章 国防≫

 田久保氏「国家の柱は政治、経済、国防。日本の政治は一流とは言えず経済はまだ一流だが、国防はどうか。自衛隊は憲法に規定もない。その欠陥が現れているのが国民感情だ。27年前、沖縄県で20歳の自衛隊員が革新派に妨害され、成人式に遅刻した。防衛省の事務次官は認証官だが、制服組のトップは違う。ある首相は『私が自衛隊の最高指揮官とは知らなかった』と言った。

 『国民の憲法』は軍の保有を定めた。軍は(◆)シビリアンコントロール(文民統制)で政治家が判断をする。サッチャー首相は(◆)フォークランド紛争で、軍が反対する決断を下した。これが本当の文民統制で、何のたれ兵衛が歴史観が違う論文を書いたからクビを切れ、というのは違う」

 佐瀬氏「現行憲法第9条は日本の防衛、安全保障を考える原点、一丁目一番地だ。解釈がなくても意味が明瞭でなければならない。だが、入り組んだ解釈なしでは、白か黒かも分からない。現行憲法制定時、米国は徹底的な非軍事化を追求した。日本は『(◆)芦田修正』で『自衛権は保有する』との解釈を生み出す余地を確保したが、第9条は論争点であり続けている。

 言いたいことは『国民の憲法』の第15、16条に結実している。戦争放棄は消失し『国際紛争の平和的解決に努める』が入った。第16条は軍の保持を定めた。『軍』と表記する前には自衛軍、国防軍、国軍のどれにするかで議論があった。

 重要な問題の第1点は、自衛権の保有に言及していないことだ。国家が自衛権を保有することは、非保有を謳わない限り自明だ。国連憲章第51条は個別的・集団的自衛権を国家固有の権利としている。わざわざ言及するのは同義語反復だ。

 第2点は、現行憲法第9条の欠陥が、前文の国際社会についての幻想性と双生児の関係にあることだ。前文では、国際社会は『平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている』とある。絵空事のような文言だ。『国民の憲法』は『われら日本国民は、恒久平和を希求しつつ、国の主権、独立、名誉を守ることを決意する』とした」

(c) 2013 The Sankei Shimbun & Sankei Digital



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

坂元一哉 対米ミサイル阻めずに同盟国か

2013年05月03日 | 憲法論資料


【正論】「国民の憲法」考 

大阪大学大学院教授・坂元一哉 対米ミサイル阻めずに同盟国か

2013.5.1 03:23

 中国の軍事的台頭、北朝鮮の核およびミサイル開発によって、日本を取り巻く国際情勢は一段と厳しさを増している。中国は不条理な主張に基づいて公船による領海侵犯を繰り返すし、北朝鮮は日本に向かって「無慈悲な」核攻撃まで口にするようになった。

《最大のごまかし安保条約5条》

 日本が、日米同盟をこれまで以上に強化して、自国と地域の安全を図るのは当然のことだろう。そのための課題はいろいろだが、集団的自衛権は行使できないという政府の憲法解釈は、急いで改めるべきである。

 日本が集団的自衛権を行使できるようになれば、日米同盟は二重の意味で強化される。

 一つは、同盟協力の幅を拡大できるという意味での強化。例えばいま、日本周辺の地域で日本の平和と安全に重要な影響を与える事態(周辺事態)が発生したとする。その場合、日本はその事態に対応する米軍に対し、日本周辺の公海上でも補給などの支援を行うことができる。

 だが、その支援は、武力行使と「一体化」すれば、集団的自衛権の行使になる。そういう理由から場所や内容が制限されている。

 もし集団的自衛権の行使が可能なら、「一体化」するしないの曖昧な議論なしに、支援のありようを考えることができるだろう。補給に限らず、状況によっては米艦船の防護もできるから、同盟協力の実効性は格段に向上する。

 もう一つは、同盟協力の基盤を固めるという意味での強化。日米同盟は、国連憲章に明記された集団的自衛権に基づく同盟である。しかし、実際の同盟協力は、同盟の一方(日本)が集団的自衛権の行使はできないという、変則的な形でなされてきた。そのことにはごまかしもつきまとう。

 一番のごまかしは、安保条約第5条、日本有事の日米共同対処における日本の行動を、それが在日米軍を守るものであっても、個別的自衛権で説明するところだろう。この条文ができた安保改定時の関係者で、内閣法制局長官もつとめた高辻正巳氏は後年、国内ではそう説明したが、これは集団的自衛権の行使であり、米国はそう理解したと回顧している。

 こういうごまかしをやめ、日米協力を双方の集団的自衛権で説明すれば、同盟の基盤はより確固としたものになろう。ごまかしは協力の相互性を見えにくくして双方に不満をもたらし、同盟を脆弱(ぜいじゃく)にするだけである。

《自衛隊規定の条文ない欠陥》

 この点、軍事技術の発達で、集団的自衛権の行使に関する日本の姿勢が、同盟協力の基盤を弱めるばかりか、一挙に壊してしまいかねない恐れが出てきたことにも注意がいる。しばしば指摘されるが、将来、ミサイル防衛の能力が高まり、日本が米国の領土に飛んでいく核ミサイルを撃ち落とせるようになっても、いまの姿勢のままでは法的に撃ち落とせない。これは、理屈のうえでそうなる、というだけで同盟の精神基盤をおかしくする話である。

 産経新聞が発表した「国民の憲法」要綱はその第16条で、「国の独立と安全を守り、国民を保護するとともに、国際平和に寄与するため、軍を保持する」と、実力組織である「軍」の保持とその目的を明記している。もし、こういう条文がいまの憲法にあれば、集団的自衛権の行使は問題なくできるようになるだろう。

 結局のところ、いまの憲法で集団的自衛権の行使が問題になるのは、憲法の条文に、国家最大の実力組織である自衛隊に関する規定がないからである。これは間違いなくこの憲法の欠点であり、「国民の憲法」はそのことを改めて気づかせてくれる。

《「他」国民保護できるように》

 憲法に「16条」のような条文をいれ、自衛隊の保持を明記し、同様の目的を書き込む。そうすれば、たとえ9条がそのままであっても、集団的自衛権の行使はできないとの憲法解釈は出てこないだろう。いまの憲法を「16条」のような条文を持つものに改正するのは、これからの日本の安全保障にとって望ましいし、必要なことだと思う。

 ただ、それにはなお時間がかかる。その一方で集団的自衛権の行使容認は焦眉の課題になっている。まずは政府の憲法解釈を変更し、限定的でもよいから、この権利の行使を可能にすることを探るのが賢明だろう。

 政府は、自衛隊の実力行使の目的は、必要最小限の「自」国民保護であり、それは憲法に違反しないとしてきた。では、必要最小限の「他」国民保護はどうか、と問うのが解釈変更のポイントになる。憲法にはそのための実力行使を直接禁ずる規定はない。国際社会の変化、軍事技術の発達、日本の国家としての発展と、憲法の精神を総合的に考え合わせて、それができるとなれば、必要最小限の集団的自衛権行使もできるようになるはずである。(さかもと かずや)

(c) 2013 The Sankei Shimbun & Sankei Digital


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「国民の憲法」考 ジェームス・E・アワー

2013年05月02日 | 憲法論資料

 

【正論】「国民の憲法」考 ジェームス・E・アワー


2013.5.2 03:11

 □ヴァンダービルト大学 日米研究協力センター所長

 ■自衛隊を軍といわずに何という

 憲法第9条の原作者が誰かということは、ほとんど意味がない。たとえ、時の幣原喜重郎首相が発案者だったとしても、マッカーサー元帥の支持なくしては実を結ばなかっただろう。

 ≪9条の政府見解で誤り重ね≫

 重要ながらあまり論議されていない事柄が、衆議院で審議中に第9条に加えられた芦田修正である。当時は明らかにされていなかったものの、自衛のた めの軍隊への法的な可能性を将来に残しておくというのが目的だった。マッカーサー元帥の法律顧問はこの事実を元帥に知らせており、マッカーサー元帥も後 年、日本が自国を防衛できるようにしてはならないということは、自分は決して意図していなかったと主張した。

 重要な修正にもかかわらず、このことは当初、認識されていなかった。第9条はいかなる目的であれ軍事力を禁じている、というのが、1947年5月に憲法が施行されたときの日本政府の公式な説明だったからである。

 50年に警察予備隊を創設したマッカーサー元帥の指示は、あらゆる自衛手段に関する47年の政府説明を事実上、無効にした。だが、憲法の改正も、 あるいは法律の制定もなしに、内閣法制局により編み出された72年の見解が、憲法第9条を理由に集団的自衛権の行使を禁止したのである。

 今日、第9条の改正がないにもかかわらず、日本は「自衛隊」と呼ばれる、質の高い武装をした軍を有している。抑止力を強化する能力を持ち、とりわ け、(日米安保)条約相手国である米国と連携することによって、本格的な軍事紛争を抑止するか、たとえ抑止に失敗したとしても、それに対処する能力を持っ ている。

 日本の軍隊は公式には軍と任じられておらず、72年の内閣法制局見解が継続されているため、日本の信頼性には疑問符が付く。例えば以前は、機能が 「攻撃機」でも「支援戦闘機」と呼ばれたし、外洋航行の「ミサイル駆逐艦」は「護衛艦」と名付けられている。もっと重要なのは、同盟国である米国が、日本 本土への攻撃が直接絡まない、いかなる想定の下でも、日本の際立った軍事能力が利用できるかどうか推測しなければならないことである。

 ≪最高司令官たる首相明確に≫

 海上交通路のような国益は尖閣諸島の彼方(かなた)のペルシャ湾にまで及んでいて、ホルムズ海峡が遮断されれば、日本領土が侵攻されずとも、東京や大阪の経済は崩壊に至り得るということを、日本人は思い起こす必要がある。

 こうした脆弱(ぜいじゃく)性は深刻だが、それらに対処する有効な法的措置がある。憲法第9条の改正、国家安全保障法の制定、日本政府の政策変更の全て、もしくはそのいずれかによって、である。

 「自衛隊」を、その実体通り、明瞭に日本の軍と見なしていいではないか。安倍晋三首相が提案しているような「国防軍」という呼称も、「防衛軍」という呼称も可能だし、引き続き「自衛隊」と呼ぶことだってできる。

 第9条の改正もしくは国家安全保障法の制定により、日本の軍隊の軍としての地位、その文民最高司令官としての首相の地位、そして、国家緊急事態を 宣言し、日本の国家安全保障上の利益を個別的かつ集団的に守るべく行動する最高司令官の権限を、ガラス張りのように明確にできる。

 日本内外の批判者たちは、そうしたもっともな変更に、急進的で危険な日本の政策の右傾化だとして反対するかもしれない。が、急進的でも危険でもない。危ういのは、現状の方である。

 ≪非現実的政策で中国大胆に≫

 日本の非現実的な政策方針を考えれば、中国は「海洋監視」部隊を使って尖閣諸島を封鎖したり、日本のタンカーによる中国の許可なしの南シナ海通過 を禁じたり、あるいは日本の銀行システムへの大規模サイバー攻撃を密(ひそ)かに推し進めたりすることにより、日本の抵抗なくして目的を達成できる、と思 うかもしれない。

 日本が、多くの脅威への対処能力ある軍を保有し、首相がその最高司令官であり、国会で選ばれたその文民最高司令官が日本の国益になると決断したら 個別的、集団的な対応の双方か一方を命令できると明確にした場合、日本に対してそうした挙に出ることへの中国の躊躇(ちゅうちょ)は、小さくというよりむ しろ大きくなるだろう。

 米国は日本の軍に指図はできない。しかし、前述の措置により、日米の文民と制服の当局者たちは相互に抑止力を高める方法を、今よりもはるかに現実的に話し合えるようになるだろう。

 軍事力増強に国民の同意を必要としない中国や北朝鮮の指導者とは違い、日本そして米国でも当局者たちは国防費に対する議会の支配に縛られる。より 現実的で信頼性ある日本の防衛政策は予算を増やさずとも、47年に誤って説明され、72年にさらに非現実的に制限された政策の常識的変更を行うだけで実現 できるのだ。

(c) 2013 The Sankei Shimbun & Sankei Digital


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日本を良くし強くする 国民の憲法】 (5)-1 

2013年05月01日 | 憲法論資料


【日本を良くし強くする 国民の憲法】

(5)-1 「決められる政治」へ

2013.5.1 10:32

【日本を良くし強くする 国民の憲法】(5)-1 「決められる政治」へ

 「アベノミクス」によって、経済ひいては社会に明るい雰囲気が戻りつつある。しかし、昨年暮れまでの日本は「衰退する大国」という印象で語られることが多かった。その理由に挙げられたのが、ねじれ国会による「決められない政治」だった。厳しさを増す内外情勢の下、日本は、必要な法律の制定を迅速に行うことが求められている。

 「今の憲法の第59条では、衆院が法案を可決して参院が否決(や採決見送りを)したら、衆院の再可決は3分の2以上の賛成が必要だ。非常に厳しい。これが決められない政治につながっている」

 「国民の憲法」起草委員の西修駒沢大名誉教授は4月26日の憲法シンポジウムで、ねじれ国会の弊害をこう指摘した。

 今世紀に入ってからでも日本の政治は、第1次安倍晋三内閣下の平成19年参院選、菅直人内閣下の22年参院選で、ねじれ国会に陥った。政権交代があった昨年12月の衆院選以降も、国会はねじれている。ただ、与党が衆院で3分の2超を占めたため、法案の衆院再可決が可能になった点が異なっている。

 一票の格差の是正をはかる公職選挙法改正案が、後半国会の対決法案になっている。4月19日の衆院政治倫理・公選法改正特別委員会で、民主党や日本維新の会などが欠席する中で、与党が可決。同23日には、維新が欠席した衆院本会議で可決され、野党が多数を占める参院へ送付された。

 与党が急いだのは再可決問題がある。憲法59条の規定で、参院が法案を否決したとみなして衆院が3分の2以上の賛成で再可決できるのは、参院送付から60日以降。国会法68条は、会期内に議決されなかった議案は廃案とする「会期不継続の原則」を定めている。

 改正案を今国会で成立させるには、参院送付から会期末(6月26日)まで60日以上が必要だからだ。

 与党が衆院で3分の2以上を占めているため再可決を想定できるが、時間はかかる。現行制度の再可決は、世論の評判を気にする与党にとって政治的ハードルが高く、いつも使えるわけではない。

 「国民の憲法」は、衆院の法案再可決の要件を「過半数」へ緩和、みなし否決期間も30日に短縮した。衆院議員任期を一つの会期とみなす「立法期」を導入したのは「会期不継続の原則」をなくすためだ。国会は日程闘争から論戦重視への転換を促され、論議の質の向上が期待できる。

◇    

 現行制度の下で与党が衆院で法案を再可決しようとする際、必ず出るのが「参院軽視」という批判だ。野党は「参院選での民意」を主張して政府・与党を牽(けん)制(せい)する。衆参両院の選挙制度が似ているため、両院が代表する「民意」の性質に違いを見つけにくいことに原因がある。

 「国民の憲法」は、法律の議決の面で衆院の優越を強化する一方で、抜本的な参院改革を行う。参院に一部、間接選挙を導入し、地方の声を反映する議員の選出を想定している。参院は「行政監視院」という手足を持ち、衆院がポピュリズム(大衆迎合主義)に陥らないよう抑制する。

 参院が「良識の府」としての役割を取り戻すことが求められている。(憲法取材班)

◇   

 【要綱の条文】

 第五章 国会

 第六〇条(参議院議員の選挙) 参議院は、直接選挙および間接選挙によって選出される議員で組織する。

 第六五条(立法期および会期) 衆議院議員の任期をもって、立法期とする。立法期中に議決に至らなかった案件は、次の立法期に継続しない。

 第七一条(法律の議決) 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の過半数により再び可決したときは、法律となる。ただし、衆議院で再び可決するときは、参議院で議決されたのち、30日を経なければならない。

 第七四条(人事案件の同意) 法律で定める公務員の就任については、国会の同意を得なければならない。

 2 前項の案件は、先に参議院に提出しなければならない。

 第七八条(行政監視院) 参議院に、行政監視院を設置する。


MSN Japan産経ニュース
(c) 2013 The Sankei Shimbun & Sankei Digital

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現行憲法および自民党改憲案比較表1

2012年10月11日 | 憲法論資料

 

目次

  1. 前文
  2. 第1章 天皇
    1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8,
  3. 第2章 戦争の放棄/安全保障
    9, 9-2,
  4. 第3章 国民の権利及び義務
    10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 19-2, 20, 21, 21-2, 22, 23, 24, 25, 25-2, 25-3, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40,
  5. 第4章 国会
    41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75,
  6. 第6章 司法
    76, 77, 78, 79, 80, 81, 82,
  7. 第7章 財政
    83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91,
  8. 第8章 地方自治
    92, 92-2, 92-3, 93, 94, 94, 95, 96,
  9. 第10章 最高法規
    97, 98, 99,
  10. 第11章 補則
    100, 101, 102, 103,

前文

  現行憲法 自民党草案
前文  日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自 由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法 を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこ れを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの 安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある 地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
 日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。
 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。
 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。

第1章 天皇

  現行憲法 自民党草案
第1条(天皇) 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第2条(皇位の継承) 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。 (第7条第四項参照)
第4条(天皇の権能) 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
  1. 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。
第5条(摂政) 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第1項の規定を準用する。 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事に関する行為を行う。
  1. 第四条及び前条第四項の規定は、摂政について準用する。
第6条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
  1. 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
(第7条参照)
第7条(天皇の国事行為) 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  1. 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
  2. 国会を召集すること。
  3. 衆議院を解散すること。
  4. 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
  5. 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
  6. 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
  7. 栄典を授与すること。
  8. 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
  9. 外国の大使及び公使を接受すること。
  10. 儀式を行ふこと。
天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
  1. 天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。
    1. 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
    2. 国会を召集すること。
    3. 第五十四条第一項の規定による決定に基づいて衆議院を解散すること。
    4. 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。
    5. 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免並びに全権委任状並びに大使及び公使の信任状を認証すること。
    6. 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
    7. 栄典を授与すること。
    8. 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
    9. 外国の大使及び公使を接受すること。
    10. 儀式を行うこと。
  2. 天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。
  3. 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負う。
第8条(皇室への財産の譲渡等の制限) 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するには、法律で定める場合を除き、国会の議決を経なければならない。

第2章 戦争の放棄/安全保障

  現行憲法 自民党草案
第9条(平和主義) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第9条の2(自衛軍) 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。
  1. 自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
  2. 自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
  3. 前二項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。

第3章 国民の権利及び義務

  現行憲法 自民党草案
第10条(日本国民) 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第11条(基本的人権の享有) 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第12条(国民の責務) この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権 利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。
第13条(個人の尊重等) すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第14条(法の下の平等) すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
  1. 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
  2. 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第15条(公務員の選定及び罷免に関する権利等) 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
  1. すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
  2. 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
  3. すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第16条(請願をする権利) 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。
  1. 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。
第17条(国等に対する賠償請求権) 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第18条(奴隷的拘束及び苦役からの自由) 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。
  1. 何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第19条(思想及び良心の自由) 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。  
第19条の2(個人情報の保護等)   何人も、自己に関する情報を不当に取得され、保有され、又は利用されない。
  1. 通信の秘密は、侵してはならない。
第20条(信教の自由) 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
  1. 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
  2. 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
信教の自由は、何人に対しても保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
  1. 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
  2. 国及び公共団体は、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超える宗教教育その他の宗教的活動であって、宗教的意義を有し、特定の宗教に対する援助、助長若しくは促進又は圧迫若しくは干渉となるようなものを行ってはならない。
第21条(表現の自由) 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
  1. 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、何人に対しても保障する。
  1. 検閲は、してはならない。
第21条の2(国政上の行為に関する説明の責務)   国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。
第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等) 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
  1. 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
  1. すべて国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第23条(学問の自由) 学問の自由は、これを保障する。 学問の自由は、何人に対しても保障する。
第24条(婚姻及び家族に関する基本原則) 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
  1. 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
第25条(生存権等) すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
  1. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
  1. 国は、国民生活のあらゆる側面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第25条の2(国の環境保全の責務)   国は、国民が良好な環境の恵沢を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
第25条の3(犯罪被害者の権利)   犯罪被害者は、その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有する。
第26条(教育に関する権利及び義務) すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
  1. すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第27条(勤労の権利及び義務等) すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
  1. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
  2. 児童は、これを酷使してはならない。
第28条(勤労者の団結権等) 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第29条(財産権) 財産権は、これを侵してはならない。
  1. 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
  2. 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
財産権は、侵してはならない。
  1. 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上及び活力ある社会の実現に留意しなければならない。
  2. 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
第30条(納税の義務) 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第31条(適正手続の保障) 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 何人も、法律の定める適正な手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。
第32条(裁判を受ける権利) 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第33条(逮捕に関する手続の保障) 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、裁判官が発し、かつ、理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第34条(抑留及び拘禁に関する手続の保障) 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。 何人も、正当な理由がなく、若しくは理由を直ちに告げられることなく、又は直ちに弁護人に依頼する権利を与えられることなく、抑留され、又は拘禁されない。
  1. 拘禁された者は、拘禁の理由を直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示すことを求める権利を有する。
第35条(住居等の不可侵) 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
  1. 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
何人も、正当な理由に基づいて発せられ、かつ、捜索する場所及び押収する物を明示する令状によらなければ、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索又は押収を受けない。ただし、第三十三条の規定により逮捕される場合は、この限りでない。
  1. 前項本文の規定による捜索又は押収は、裁判官が発する各別の令状によって行う。
第36条(拷問等の禁止) 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
第37条(刑事被告人の権利) すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
  1. 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
  2. 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
  1. 被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられる権利及び公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
  2. 被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを付する。
第38条(刑事事件における自白等) 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
  1. 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
  2. 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
  1. 拷問、脅迫その他の強制による自白又は不当に長く抑留され、若しくは拘禁された後の自白は、証拠とすることができない。
  2. 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされない。
第39条(遡及処罰等の禁止) 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
第40条(刑事補償を求める権利) 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。 何人も、抑留され、又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現行憲法および自民党改憲案比較表2

2012年10月11日 | 憲法論資料

 

第4章 国会

  現行憲法 自民党草案  
第41条(国会と立法権) 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第42条(両議院) 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第43条(両議院の組織) 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
    両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第44条(議員及び選挙人の資格) 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律で定める。この場合においては、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
第45条(衆議院議員の任期) 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第46条(参議院議員の任期) 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
第47条(選挙に関する事項) 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第48条(両議院議員兼職の禁止) 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
第49条(議員の歳費) 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第50条(議員の不逮捕特権) 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があるときは、会期中釈放しなければならない。
第51条(議員の免責特権) 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第52条(常会) 国会の常会は、毎年一回これを召集する。 国会の常会は、毎年1回召集する。
  1. 常会の会期は、法律で定める。
第53条(臨時会) 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第54条(衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別会及び参議院の緊急集会) 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
  1. 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
  2. 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第六十九条の場合その他の場合の衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。
    衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国会の特別会を召集しなければならない。
  1. 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
  2. 前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
第55条(資格争訟の裁判) 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第56条(表決及び定足数) 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
  1. 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
両議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
  1. 両議院の議決は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければすることができない。
第57条(会議及び会議録の公開等) 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
  1. 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
  2. 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第58条(役員の選任並びに議院規則及び懲罰) 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
  1. 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第59条(法律案の議決及び衆議院の優越) 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
  1. 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
  2. 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
  3. 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第60条(予算案の議決等に関する衆議院の優越) 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
  1. 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議 院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第61条(条約の承認に関する衆議院の優越) 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
第62条(議院の国政調査権) 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第63条(国務大臣の議院出席の権利及び義務) 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院のいずれかに議席を有すると有しないとにかかわらず、いつでも議案について発言するため議院に出席することができる。
  1. 内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁又は説明のため議院から出席を求められたときは、職務の遂行上やむを得ない事情がある場合を除き、出席しなければならない。
第64条(弾劾裁判所) 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
  1. 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

第5章 内閣

  現行憲法 自民党草案
第65条(内閣と行政権) 行政権は、内閣に属する。 行政権は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、内閣に属する。
第66条(内閣の組織及び国会に対する責任) 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
  1. 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
  2. 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
第67条(内閣総理大臣の指名及び衆議院の優越) 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
  1. 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指 名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会が指名する。
  1. 国会は、他のすべての案件に先立って、前項の指名を行わなければならない。
  2. 衆議院と参議院とが異なった指名をした場合において、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が指名をしないときは、衆議院の指名を国会の指名とする。
第68条(国務大臣の任免) 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
  1. 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
第69条(内閣の不信任と総辞職) 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第70条(内閣総理大臣が欠けたとき等の内閣の総辞職) 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第71条(総辞職後の内閣) 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
第72条(内閣総理大臣の職務) 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。 内閣総理大臣は、行政各部を指揮監督し、その総合調整を行う。
  1. 内閣総理大臣は、内閣を代表して、議案を国会に提出し、並びに一般国務及び外交関係について国会に報告する。
第73条(内閣の職務) 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
  1. 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
  2. 外交関係を処理すること。
  3. 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
  4. 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
  5. 予算を作成して国会に提出すること。
  6. この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
  7. 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
内閣は、他の一般行政事務のほか、次に掲げる事務を行う。
  1. 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
  2. 外交関係を処理すること。
  3. 条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
  4. 法律の定める基準に従い、国の公務員に関する事務を掌理すること。
  5. 予算案及び法律案を作成して国会に提出すること。
  6. 法律の規定に基づき、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。
  7. 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
第74条(法律及び政令への署名) 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第75条(国務大臣の特権)

国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現行憲法および自民党改憲案比較表3

2012年10月11日 | 憲法論資料

 

第6章 司法

  現行憲法 自民党草案
第76条(裁判所と司法権) すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
  1. 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
  2. すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
  1. 特別裁判所は、設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
  2. 軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。
  3. すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第77条(最高裁判所の規則制定権) 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
  1. 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
  2. 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
最高裁判所は、裁判に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
  1. 検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
  2. 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第78条(裁判官の身分保障) 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。 裁判官は、次条第三項に規定する場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと裁判により決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。行政機関は、裁判官の懲戒処分を行うことができない。
第79条(最高裁判所の裁判官) 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
  1. 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
  2. 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
  3. 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
  4. 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
  5. 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官で構成し、最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官は、内閣が任命する。
  1. 最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。
  2. 前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される。
  3. 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
  4. 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、やむを得ない事由により法律をもって行う場合であって、裁判官の職権行使の独立を害するおそれがないときを除き、減額することができない。
第80条(下級裁判所の裁判官) 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
  1. 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる。ただし、法律の定める年齢に達した時には退官する。
  1. 前条第五項の規定は、下級裁判所の裁判官の報酬について準用する。
第81条(法令審査権と最高裁判所) 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
第82条(裁判の公開) 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
  1. 裁 判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、 政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第3章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

第7章 財政

  現行憲法 自民党草案
第83条(財政の基本原則) 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない。
  1. 財政の健全性の確保は、常に配慮されなければならない。
第84条(租税法律主義) あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 租税を新たに課し、又は変更するには、法律の定めるところによることを必要とする。
第85条(国費の支出及び国の債務負担) 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
第86条(予算) 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。 内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、国会に提出して、その審議を受け、議決を経なければならない。
  1. 当該会計年度開始前に前項の議決がなかったときは、内閣は、法律の定めるところにより、同項の議決を経るまでの間、必要な支出をすることができる。
  2. 前項の規定による支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
第87条(予備費) 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
  1. すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
  1. すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
第88条(皇室財産及び皇室の費用) すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算案に計上して国会の議決を経なければならない。
第89条(公の財産の支出及び利用の制限) 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。 公金その他の公の財産は、第二十条第三項の規定による制限を超えて、宗教的活動を行う組織又は団体の使用、便益若しくは維持のため、支出し、又はその利用に供してはならない。
  1. 公金その他の公の財産は、国若しくは公共団体の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対して支出し、又はその利用に供してはならない。
第90条(決算の承認) 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
  1. 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
内閣は、国の収入支出の決算について、すべて毎年会計検査院の検査を受け、法律の定めるところにより、次の年度にその検査報告とともに国会に提出し、その承認を受けなければならない。
  1. 会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。
第91条(財政状況の報告) 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

第8章 地方自治

  現行憲法 自民党草案
第92条(地方自治) 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。 国及び地方自治体は、地方自治の本旨に基づき、適切な役割分担を踏まえて、相互に協力しなければならない。
第92条の2(地方自治の本旨)   地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。
  1. 住民は、その属する地方自治体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を公正に分任する義務を負う。
第92条の3(地方自治体の種類等)   地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括し、補完する広域地方自治体とする。
  1. 地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
第93条(地方自治体の機関及び直接選挙) 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
  1. 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
地方自治体には、法律の定めるところにより、条例その他重要事項を議決する機関として、議会を設置する。
  1. 地方自治体の長、議会の議員及び法律の定めるその他の公務員は、当該地方自治体の住民が、直接選挙する。
第94条(地方自治体の権能) 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。 地方自治体は、その事務を処理する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第94条の2(地方自治体の財務及び国の財政措置)   地方自治体の経費は、その分担する役割及び責任に応じ、条例の定めるところにより課する地方税のほか、当該地方自治体が自主的に使途を定めることができる財産をもってその財源に充てることを基本とする。
  1. 国は、地方自治の本旨及び前項の趣旨に基づき、地方自治体の行うべき役務の提供が確保されるよう、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講ずる。
  2. 第八十三条第二項の規定は、地方自治について準用する。
第95条(地方自治体の財務及び国の財政措置) 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。 削除

第9章 改正

  現行憲法 自民党草案
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
  1. 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議に基づき、各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票において、その過半数の賛成を必要とする。
  1. 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体であるものとして、直ちに憲法改正を公布する。

第10章 最高法規

  現行憲法 自民党草案
第97条(基本的人権の意義) この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第98条(憲法の最高法規性等) この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
  1. 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第99条(憲法尊重擁護義務) 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

第11章 補則

  現行憲法 自民党草案
第100条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
  1. この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
 
第101条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。  
第102条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。  
第103条 こ の憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特 別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然 その地位を失ふ。

Valid HTML 4.0 Transitional

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする