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「プーシキン美術館展」横浜美術館

2013-09-14 06:11:32 | ART
2013年7月6日から、愛知会場の後に、横浜美術館に巡回してきた
「プーシキン美術館展 ―フランス絵画の300年―」を観に、最後の平日の夜間開館日にみなとみらいに行って参りました。


作品はエカテリーナ2世やアレクサンドル皇帝などの時代の収集品から、シチューキン、モロゾフら繊維貿易で財をなした豪商コレクターの個人コレクションからの名品を時代別に4分割して展示されており、17世紀のクロード・ロランら古典主義の画家、そしてブーシェらロココの逸品が第1章として。

画像はフランソワ・ブーシェの美しい作品、「ユピテルとカリスト」(1744)
月の女神ディアナの従者、美しいカリストを誘惑するために、ディアナの姿に変身したユピテル(Jupiter)の図。
ディアナの後ろにJupiterの象徴である雄牛が描かれていますね。
カリストの青と黄の衣装、ディアナの白と赤、の色彩のコントラスト、天使たちから2人へ至る優美で活き活きとしたS字型の画面構成、薔薇の花ひとつに至るまで繊細に描きこまれたタッチなど、どの細部も美しく、華麗で優美な逸品。



第2章は19世紀前半の新古典主義、ロマン主義、自然主義。
アングル、ジェロームらのアカデミーの画家から、ドラクロワ、そしてミレ―やコロ―の労働者や農夫などを題材とした作品群。

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルの「聖杯の前の聖母」(1841)は崇高な美しさを湛えた作品。
聖母マリアの背後にいるのがニコライ1世、のちのアレクサンドル2世である皇太子と同名の聖人。
アレクサンドル2世の発注により、アングルが応えて描いたものだとか。

第3章は19世紀後半の印象主義、ポスト印象主義の絵画。

モロゾフ氏による、親しみやすく心和む作品群が多く、人気のコレクションです。



今回の展覧会の象徴的な作品として、メディアに出ることの多かったルノワールによる肖像画の傑作「ジャンヌ・サマリーの肖像」(1877)。
柔らかな薔薇色の背景に包まれて、夢見るように微笑む20歳の人気女優ジャンヌの碧い眼と活き活きとした肌に、若さ溢れるモデルの魅力がダイレクトに伝わってくる作品です。
実際に間近で観ると驚くほど大胆な粗いタッチで肌ひとつとってもブルーとピンクがポンポンと置かれたような感じで、ちょっと引きで1.5mほど離れて初めて、焦点が合うような感じのタッチがまた、躍動感を生んでいるのだなと。


こちらはエドガー・ドガの「バレエの稽古」(1875―1877)
ドガの多く残された踊り子をテーマにしたパステル画の中でも繊細な色彩、床面を多く取った画面分割の中にのリズミカルなバレリーナの配置など、特に魅力のある作品。
他にもゴッホの「医師レ―の肖像」(1889)、ゴーギャンの「エイアハ・オヒバ(働くなかれ)」、モネの「陽だまりのライラック」(1872-73)、セザンヌ「パイプをくわえた男」(1893-96)など、傑作目白押し。

最後の部屋、第4章 20世紀―フォービズム、キュビズム、エコール・ド・パリ―は
先見の明があり、ピカソやマティスの初期から目をつけコレクションをつづけたというシチューキンによるコレクションがメイン。



パブロ・ピカソの青の時代から薔薇色の時代に移り変わる移行期に描かれた「マジョルカ島の女」(1905)。
薔薇色を含んだベージュ、グレイッシュなブルーの色彩もさることながら、指のラインひとつとってもピカソの画力と卓越したセンスがうかがえる作品。
この他、緑とグレー・黒で、アールデコっぽい装飾性とキュビズムへの移行を内包した「扇子を持つ女」(1909)も。
マティスの「カラ―、アイリス、ミモザ」もとても良い作品で、他にもシャガ―ル、ローランサンなど。
国に没収されて美術館に収められたとはいえ、コレクターの作品に対する愛情が感じ取れるセレクトといい保存状態の良さと言い、やはり足を運ぶ価値のある展覧会だったと思います。

もともと、東日本大震災で、一度キャンセルされたこの企画展が、今、こうして改めて開催されていることに喜びを感じます。

展示は16日(月・祝)まで。
13日は金曜日の平日夜ではありましたが、入場制限がかかっており、20分待ちでした。
週末は展覧会最後の駆け込みの方も多いでしょうし、3連休ですから込み合いそうですが、是非、足をお運びください。

特筆すべきは、常設展の充実。
個人コレクション別の展示となっていて、思いがけない傑作が揃っている中、ゆったりと観賞できます

「プーシキン美術館展」はこの後、神戸市立博物館へと巡回し、9月28日から12月8日までの会期となるようです








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