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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」 ルテステュ・マルティネス③

2010-04-05 21:38:48 | BALLET
一幕と2幕の間に長い長い休憩が・・・
いえ、本当はそんなに長くはないのですよ!
こちらのブログでうっかり間をあけてしまいました^^;
お待たせしました!第2幕です。

珍しい始まり方。
下手に十字架ジゼルのお墓、上手に数人の男たちがさいころ遊び(賭博?)に興じています。
アクセルくん発見v
それにしても真夜中だというのに・・・墓守たちが無聊をなぐさめて?近所の人たち?
そこに現れたのはお墓参りのヒラリオン。
深夜を告げる鐘が鳴り、男たちは店じまい。
そそくさと帰ろうとして、ヒラリオンにも声をかけますが、ほっといてくれ、と邪険な返答。ひとりでこの悲しみに浸りたいんだ・・・という間もなく、禍々しい気配とともに強風が!
出た~と逃げ惑う人々、ヒラリオンはどうやら逃げ遅れた様子です。



精霊ウィリの女王、ミルタの登場。マリ=アニエス・ジローはその長身とはっきりとした顔立ちが存在感たっぷり。
ちょっと恥ずかしがりやで、でもイキイキと美しいシンデレラの面影はなく、恐ろしくなめらかなパドブレで横一直線にセンターまで現れて、そのまま滑るように舞台中央後方から前方に現れた瞬間、彼女が現世から切り離されたこの場を支配する立場にあるということがわかります。
彼女はソロでも素晴らしい存在感を発揮。
ミルタのジャンプは柔らかいアームスで精霊の浮遊感をキープしながら、舞台を小さく見せてしまうほどの圧倒的な迫力で、おぉ~さすがはマリ=アニエス!と見ていてワクワクしてしまいました。
ミルタのもとに馳せ参じたウィリたちが整列。
オペラ座のウィリ・・・特筆すべきはその衣装の美しさ。上質の薄い薄いシフォンを何枚も何枚も重ねていることによって動きにつれてふわりふわりとスカートが繊細に揺れる残像が輪郭を曖昧にしてなんとも幻想的なのです。コールドバレエとしての揃い方、などはロシアに軍配があがるかもしれませんが、このロマンティックチュチュは間違いなく世界最高ですね!
ドゥ・ウィリが上手と下手から現れます。
マリ=ソレーヌ・ブレとサラ=コーラ・ダヤノヴァの二人、柔らかいアームスの使い方がキレイ。照明が暗いので二人の判別が今一つつきませんが・・・。二人とも踊りは素晴らしかったです。

新たな仲間を招き入れる儀式。
ヴェールをかぶったウィリに向かってミルタが榊を振り、どこかに飛んで行ったヴェールの下の美しい姿があらわになります。
アニエスのジゼル。そのほっそりとした姿とクールな美貌で本当に美しい。
感情を表に出さない表情とひんやりとした佇まいで、すでにこの世のものではないことが一目瞭然。
ミルタに操られて踊るウィリとなった彼女。踊りながら消えていきます・・・・。



再び静けさを取り戻した墓前に現れたのは黒のベルベットの胴着に白いタイツ、腕に巻きつけたグレーのマントのドレープも麗しい貴公子アルブレヒト!このマントのドレープ具合、裏地のサテンの見せ方など、計算しつくされた絵のような美しさ、気品はなんともいえません。
白百合の花束を腕にゆっくりと歩を進める様は厳粛な悲しみを感じさせます。

おつきのウィルフリードが墓につっぷすアルブレヒトをマントで包んでさぁ、帰りましょう、と促すのですが、払いのけられ、心配しつつも立ち去ります。
ひとり悲しみに浸るアルブレヒトの前に現れた白い影は・・・
ジゼルです。気配を感じて、つと手を差し伸べるアルブレヒト、でもジゼルは目を合わせません。
手を伸ばしてもすり抜けてしまう・・・
リフトしても空気のようにふわりと飛んで、実体を感じることはできません。
ジゼルは白い花を一輪ずつ両手に持って現れ、二人はともに踊りながらすれ違い続け・・・
ジゼルはアルブレヒトに影のように寄り添います。精霊となり、実世界の人間のようには触れあうことができないまでも、心で寄り添うジゼルの姿に胸を突かれます。

ウィリとミルタが登場。
ヒラリオンをつかまえた模様です。
息も絶え絶えにジャンプを続けさせられるヒラリオン、幾度とない命乞いを簡単に拒絶するミルタ。
ディアゴナルに整列したウィリたちがヒラリオンをシェネで回転させて、最期はドゥ・ウィリが二人でとどめを。
奈落に落ちるヒラリオン。
そのまま冷静にすっと真顔で体勢を整えるウィリたちの統率のとれた動きが恐ろしさをいや増します。

さぁ、次はアルブレヒト!
ジゼルが彼の前に立ちはだかり、慈悲を乞います。
榊を掲げて死を宣告するミルタ・・・ですが、なんとその榊が二人を前にカクンと折れてしまいます。
あら・・・。ミルタの心にかすかに動揺が走りますが、そんな迷いを払しょくするように宣告します。
二人で踊りなさい。・・・その殿方が死に至るまで。
マリ=アニエスのミルタは威厳はあるのですが、冷酷にただただ拒絶する、というよりはどこか、ジゼルのアルブレヒトを思う気持をわかっていてそれでもなお、女王としての立場、裏切られて死に至ったジゼルを思いやる気持ちから宣告をする、という含みが感じられます。
より、役柄を掘り下げて彼女自身の内面から滲むものを感じさせてとても良い、と思いました。
マリ=アニエス、今まで見た中でもベスト・ミルタかも。

ジゼルのソロ。
幽玄の美しさに満ちた踊り。そして二人のアダージョ。



アルブレヒトのソロ。
これはローザンヌなどでもよく踊られる有名な踊りですが、とてもクリアで美しいジョゼの踊りには苦しさの中にも気品が感じられ、当然とはいえやはりコンクール出場者レベルをはるかに超えていますね。
息も絶え絶えに倒れこみます。
もちろんそれで許されるものではありません。
でも、ジゼルがさぁ立ちあがって、と促しても、もうアルブレヒトには力が残っていません。
ジゼルが静かに踊ります。アルブレヒトを救うために・・・。
アニエスのジゼルは表情の変化をごくごくデリケートにしか見せませんが、その踊りから、彼を救おうとする慈愛の心が静かに伝わります。

ここでウィリ軍団、斜めに整列、奈落落としへの体勢を整え始めます。

このシーンで、アルブレヒトが上手に控えるミルタに向かって高速ブリゼで進み出る・・という振付が良く見られますが、ジョゼはここでは歩いてでてきて命乞いをしそのままセンターでソ・ド・バスクからアントルシャ・シスを繰り返します。
うーん、美しい。足先まで本当にきれいな乱れのない踊り。今の充実したジョゼを今回2回主役で見ることができたのは本当に貴重な体験だったと思います。

そして、遂に力尽きて倒れるアルブレヒト・・・

その時、教会の鐘の音が夜明けを告げます。
ウィリは去り、ジゼルとアルブレヒトが朝靄の中、残されます。
助かった・・・ジゼル・・・
アルブレヒトが腕を伸ばします。ジゼルはそれに応えるように手を差し伸べますが、
静かにパドブレでお墓の後ろに去っていきます。

お墓に倒れるアルブレヒト、ジゼルの残した小さな白い花を手にして舞台中央の奥から
ゆっくりと前に進みでます・・・
ジゼルへの思い、感謝と改めて知る愛と深い悲しみがアルブレヒトの表情に滲み、
一歩一歩にその気持ちが刻まれるようなラストでした。







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