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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組「ロミオとジュリエット」東京公演 Aパターン

2013-08-04 02:33:48 | TAKARAZUKA
絶賛上演中の星組「ロミオとジュリエット」公演@東京宝塚劇場

3年前の夏、梅田芸術劇場の星組による初演を観て、本格的に遠征も含めて活動する能動的な(笑)宝塚ファンになった・・・と自覚するわたくし、更なる進化を求めて博多座公演にも足をのばし、その後の雪組、月組での再演、東宝版での城田ロミオ@アクトシアター、フランスCASTの引っ越し公演@シアターオ―ブと一応ロミジュリ公演は全て押さえている身としては、ティボルト役だった凰稀さんを欠いているものの、ほぼ初演時の主要メンバーを保持しつつ、更に役替り公演という美味しいオプションをつけた今回の公演は見逃せるはずもなく・・・。

それにしてもチケット難っぷりがスゴイですね!
AB両パターンを2回ずつ&新公を押さえた時点で取りあえず安心しましたが、諸々、入手するまでに非常にハラハラさせられたチケット手配でありました。
初演で、あんなに話題になったのにも関わらず、東京のファンは完全においてきぼり・・・でしたからね。
星組の初演版、というのがその後、作品人気で短期間に再演を繰り返すうちに伝説化して・・・の待ちに待った東京公演ですから、これは想定内ではありますが・・・^^;



まず、Aパターンを観たのは7月28日(日)11:00 阪急交通社貸切公演でした。

ロミオ 柚希 礼音
ジュリエット 夢咲 ねね
*~*~*
《役変わりの人々》
愛 鶴美 舞夕
死 真風 涼帆
ティボルト 紅 ゆずる
マーキューシオ 壱城 あずさ
ベンヴォーリオ 礼 真琴
パリス 天寿 光希

《赤チーム》
キャピュレット卿 一樹 千尋
キャピュレット夫人 音花 ゆり
乳母 美城 れん
ピーター 真月 咲

《青チーム》
モンタギュー卿 美稀 千種
モンタギュー夫人 花愛 瑞穂

《中立》
ロレンス神父 英真 なおき
ヴェローナ大公 十輝 いりす

AパターンとBパターンを比べての考察・・・というような客観的な記事は別立てにしたほうが良さそう。。。
自分でも驚くほど、初演が蘇り、その思い出と目の前で繰り広げられている星組のパワーを感じることが自分の中で交錯し・・・
美城れんさんの乳母の歌で泣かされ、そのまま、思い出ゾーンに自分が勝手に突入し、場面がすっかり変わっているのにまだ涙がとまらないという困った事態まで発生してしまいました^^;

やはり・・・作品の完成度が高まっていること、3年前の初演メンバーの多くが星組にとどまり、更に力をつけて役を生きていること、歌ウマの下級生がコーラスを支えて、半分の人数だった初演の倍の群舞で、役名のない若手・中堅スター格の生徒を軸に、1人1人が自分の個性を見せようとしっかり演じていることなど、色々な意味で眩しい舞台。

個別に感想を。


■ロミオ(柚希礼音)
もう5年、人気トップとして星組人気を牽引しているTOPスター。
3年前、すでに大人の男役が似合う彼女が純真なロミオ??という周囲の心配をよそに、タンポポの綿毛をフーッと吹いて夢見る瞳の金髪の美少年として現れたあの衝撃の登場から、パワフルに踊り歌い完成された青春ドラマを見せてくれた柚希さん。
それが、様々な大人の役をこなした今、再びの純真ロミオ??
・・・というまたもや!の周囲の心配を覆し、今度は勢いではなく繊細にコントロールされた役作りで、2パターンのロミオを作り上げてきました。
ダイナミックなダンスやハスキーボイスの歌でその魅力が語られがちですが、実は演技の作り込みも相当しっかりしています。特に対話のシーンで相手のト―ンに呼応して心を伝える演技が秀逸。
ヘアスタイルを前回のエクステをつけて襟脚を長めにとった甘い感じから、ツーブロックで長めの前髪の短髪でアシンメトリーな感じに仕上げてより躍動感を出しているのも研究熱心な彼女ならでは。

■ジュリエット(夢咲ねね)
前回の華やかな美少女から、より原作や映画のジュリエットに近いVISUALに、ヘアスタイルもストレートに近いセンターパーツで流行の編み込みをサイドにあしらって衣装もシンプルに。
ややぶりっ子に見えないでもないはしゃいだ感じをぐっと押さえて、上達した歌できれいな高音を響かせた伸びやかな歌唱にこの数年の娘役としての経験と彼女自身の精進が見えるようなジュリエット。全CAST中一番の進歩を感じさせてくれました。
天国でのデュエットダンスは変わらぬ愛らしさ。
素晴らしかったフィナーレナンバーについては別記事にしたいと思います。

■ティボルト(紅ゆずる)
月組の龍まさきに近いフロントをつまんでポンパドールにしたロングヘアで華やかできれいなティボルト。
メイクはダブルラインをハッキリと赤ラメで描いているのがちょっと京劇っぽくて・・・もっと似合うメイクがありそうですが^^;
荒々しさはあまりなく、悩める青年・・・といった風情。
パリス伯爵が求婚に訪れたときも、あまり周りで騒ぎ立てず、ショックを受けつつも、状況を見守っている感じ。
周囲が求めるキャピュレット家の頼れる後継ぎを演じ、叔母の相談相手になっているうちに情を通じるようになったのも、断れない優しさゆえか・・・。優柔不断と葛藤、が紅ティボルトの印象です。
女遍歴を歌う「15の夏・・・」の赤チーム女子と絡む場面も、ウイスキーの携帯ボトルをあおりつつ・・・なので、もしかすると、いつも角つけあわせているマーキューシオを殺めてしまったのも、ジュリエットの結婚に動揺して飲み過ぎたせいか・・と思わせる、彼女独自の役作りが感じられるティボルトでした。

■ベンヴォーリオ(礼真琴)
注目の!!!95期からの大抜擢!
歌も上手いからさぞや・・・と雪組でのまっつ(未涼亜希)のインパクトを期待する向きも多かったのですが、彼女の歌声はケレン味のない素直な歌唱が魅力なので、ちょっとドラマチックさという点では期待値が高すぎたかも。
あと、初演の涼さんを意識したのかプラチナブロンドの短髪にしていたのが丸顔の彼女をピヨピヨのひよこちゃんのように見せ、一層ロミオ役の柚希さんとの学年差を思わせてしまう結果になったのかも・・・・。
仲間、と言われても、何度もそういう親友役などをこなしてきたBパターンの紅さんと比べられても可哀そう・・・でしたけど。
それが!Bパターン愛と新公のロミオを経た後、楽の1週間前に再びのAパターンを観たら・・・
若さって素晴らしい。人は進化するのですね。しかし、この短期間で・・・
ヘアスタイルもフォワード気味に作って丸顔が目立たなくなり、ロミオを常に思いやり、仲間を大切にする、静かに情の豊かな男をしっかりと造型していました。
あと・・・わたくし的ツボは女性に対してジェントルマンなところ。
仮面舞踏会、仲間たちとの戯れなどで、結構カップルの女性を奪ってキス、ポイ捨て・・・的な振りがあったりするのですが、琴ちゃんは、女性の扱いがやさしい。ちょっとからかった後は、優しくもとのカップルの男性に渡したり、うんとのけぞる振りをしている女性を後ろからさっと支えてサポートしたり・・・をチェックしてはワクワクときめいておりました
あの「どうやって伝えよう」の熱唱も丁寧に言葉の中のベンヴォーリオの真意を拾い出すような歌い方で。自分や歌に酔って酔わせて・・・というよりは、ロミオに寄りそい、マーキューシオと相似形でありながら、端正で物静かに仲間を引いて観ているベンらしい繊細さとロミオへの静かな傾倒を感じさせるものでした。
それだけに、静かに思いやりをこめて伝えた「ジュリエットは・・・亡くなったよ」からの彼の慰めを拒絶するかのような激しいロミオの悲しみをどうすることもできなかった無力感は大きかったのではないかと。

■死(真風涼帆)
初演から似合いすぎて素晴らしかったマカゼの「死」がバージョンUP!
衣装も黒なのにキラキラがたくさん・・・たくさんついている・・・^^;
だけでなく、表現力も増したのかしら。
運命を操るように大きく動く場面だけでなく、そっとその場に忍びこんでいる・・という風情で舞台にいるときの存在感がスゴイ。いえ、ただ壁を撫でながらすべるように掃けていっているだけだったりするのですが、なにかうごめいているとつい観てしまう、そんな嵐の前触れのような真風の死、です。
彼女の独特のストレートで凹凸が少なく長い手足や細くて同じく凹凸の少ない胴まわり、面長の顔に似合う長髪・・・といった持って生まれたVISUALが、活き活きと今を生きる若者たちと次元の違う生物(生きている死←矛盾している・・・)のよう。その対比はロミオの「ぼくは怖い」でピークに達するのでした。
お見事の一言。
もう、これから、星組の全作品で、主人公が死の世界に憧れるような出来事が起きたら、もれなくマカゼの死に登場してもらいたい!と思うほどのハマり役です。

■愛(鶴美舞夕)
初演の礼真琴ちゃんはBパターンの「愛」。
それぞれの言葉をそのまま体現していたかのようなコンビが解体して、真風「死」と組むことになったのは、星組ダンサー専科の上級生男役、バトントワリング界での実績が素晴らしいだけでなく、宝塚入団後の精進が一目で観てとれる素晴らしいダンサー体型をしている鶴美さん。
彼女の描く「愛」はとても抽象的な存在。表情とまろやかな体型でフェミンな柔らかさで若者を導いた初演の礼「愛」とは全く異なるアプローチ。
鶴美さんの「愛」は若者たちに積極的にかかわって彼らの運命を導く女神・・・というよりは、忍びよる真風「死」から人々を守る守護神的な存在と感じました。
振付の意図を理解してストイックに身体の動きだけで「死」と戦う「愛」を誠実に演じるいぶし銀的存在で初演と異なる化学反応を見せてくれます。

■マーキューシオ(壱城あずさ)
粋がってキャンキャン言って・・痛いところ突かれて逆上して引くに引けなくなって・・・・という弱さと愚かしさが痛みとなって感じられるマーキューシオ。
星組のマーキューシオは踊り手と歌い手が比較的役割分担をしているように見えた雪・月バージョンに比べて踊って歌っての間に休みがないのでハードであるとは思うのですが・・・。ちょっと息が上がっているように聞こえるところや踊りがぐらつくところなど、観劇初回はちょっと気になってしまいましたが、Bパターンを経ての最終観劇では、そんなダメなところも含めて、マーキューシオらしくていいじゃないかと思えてきました。
ロミオ母と仲良しで大人と若者の橋渡しができる落ち着いたベンヴォーリオとは違って、子供時代ならではの若者の仲間意識、刹那的な生き方など、ある意味象徴的な存在であるマーキューシオはちょっと技術的に足りないところを気合い?でなんとかしようと頑張るしーらん(壱城)らしい役どころと言えなくもないかも?
安定したダンスと歌の礼くんベンヴォーリオとシンメで並ぶと、落ち着いたベン、子供で尖っているマキュの対比が見えてきて、これはこれで役として合っている2人だな、と。

■乳母(美城れん)
素晴らしくて泣いた!
いえ、初演の清らかでひたすらにジュリエットの幸せを願うレミ乳母にも大泣きしたのですが;;
美城れんさんの乳母は演技の緩急がすばらしく、どの台詞どのジェスチャーも全て、意味があり、誤解を招く隙がない。今までの乳母で気になっていた
・ 薔薇の花をロミオから自分への贈り物と勘違いして喜ぶ
・ ジュリエットの「今までありがとう」「ありがとうだなんて言わないで」のやりとり
・ ロミオが追放された後、パリスとの縁談を強行しようとする両親の固い意志を見てとり状況の変化にあたふたしつつも、ジュリエットにとって現実的と思われる未来へ軌道修正をするところ
がわかりづらい、という難関を軽々と乗り越える的確な表情とセリフ回しと間!
VISUAL的にも、ふくよかな肉布団入りの衣装に違和感の少ないまろやかな程よく美人なお顔立ちとわざとらしく道化師役を強調しないリアルな役作りが、ベテラン専科女役といっても通用するレベル。
これがあの「南太平洋」で調子の良い商売人男を演じていた星組ベテラン男役とは・・・。
歌も、初回観劇では高音の伸びが今一つと言われればそうかしら?くらいの感じが、最終観劇では全く問題ないどころか、歌い上げすぎない歌詞を大事に心で歌う歌唱に更なる好感。
ロミオを訪ねてモンタギューの若者たちにもみくちゃにされる場面、今までは、年配の女性に対してあんまりだ・・・レベルの悪ふざけ&ポイ捨てっぷりに心を痛めていたのが、美城さん乳母は余裕でいなし、楽しみ、豪快に笑い飛ばして、若いものが束になってかかっても乗り越えられない存在感を示して流石の貫録。
その分モンタギュー若者チームのチャーミングさを素直に楽しめて、この場面の魅力が増した功労者でもあったかと。
とにかく情の豊かな細やかな演技が印象的な乳母でした。

■ヴェローナ大公(十輝いりす)
長身と彫の深い美貌が映える、重厚な存在感の大公閣下。
初演の水輝涼さんが若いVISUALながらも歌はクォリティが高かったことを思うと、歌うまというわけではないまさこさん(十輝)にはどうかと懸念する声もあったけれど、問題のないレベル。
とにかく押し出しが素晴らしく、両家の対立の構図を引き締める役者ぶり。
台詞の声にも深みがあり、歌も心配のないレベル。少ない出番でもしっかり舞台を〆てきてくれました。

■ジュリエット母(音花ゆり)
初演と同じ役ですが、さすがに3年の時を経て更に美しく、怖く、バージョンUPした母でした。
初演時の衣装が、長袖で襟もとも詰まっていて赤なので、丸顔で頬骨の高い音花さんのお顔のクセを際立たせてしまっていて残念だったのが、今回はデコルテをキレイに開けて、ウエストラインに向けて金の装飾でラインを際立たせ、袖も7分袖で、スタイル良く美しく見えるデザインに。これだけで随分印象が変わります。お衣装は大切。
歌も演技も安定していて良かったです。

■ジュリエット父(一樹千尋)
退団された未沙のえるさんと初舞台が同じ年・・・ということは一樹さんの退団も近いということでしょうか・・・。
まだまだ演じ続けていただきたいと、今回の舞台を観て一層強く思いました。
濃く深みのあるお顔立ちは目の下の皺さえも渋みと重厚感となって、位の高い年配のヨーロッパ人男性役として入ってくださるだけでお芝居のクォリティとリアル感がグッと増す貴重な存在。
3年前と同じ役ですが、ヘアスタイルを短めに立てて前髪を下ろした若々しいバージョンにされていて、妻とのバランスも良く、ジュリエットに手を上げてしまってから、父と娘の相互理解の難しさを歌う聞かせどころの「娘よ」もしっとりとした場面でした。

■ロミオ母(花愛瑞穂)
花愛さんは3年前と同じお役で、ドレスも同じ。変らぬ”過保護な”と揶揄される息子への愛情豊かな母親です。
低めの落ち着いた歌声はキ―がしっかりとしていて、両家の母のデュエット「憎しみ」、そして霊廟での和解の歌の歌いだしも、花愛さんらしい安定感で、安心して要所要所をしめてくださる歌姫として長く活躍されましたが、この「ロミジュリ」で退団されることとなり・・・。
ムラの千秋楽で恒例の同期からのお花渡しには、宙組TOPスターの凰稀かなめさんが、そして組からのお花は星組TOPスターの柚希礼音さんが・・・と、退団者娘役として最高の布陣にハグされての豪華な幕切れを見せてくれました。(東京では、元星組スターの彩海早矢さんが^^)


初演に続いてのロレンス神父、英真なおきさんが、組長から専科にポジションを変えて、でも安定の同じお役で、ロミオをしっかりと支え、スター格の音羽みのりちゃん、早乙女わかばちゃん、妃海風ちゃんらバウヒロイン経験者、麻央侑希くん、十碧れいやくんら新公主演経験者が脇に回り、それぞれが「キャピュレット女」「モンタギュー男」といった無名の存在ながらもしっかりと自分の役を作ってきていて・・・。
3年前のロミジュリの群舞で、金髪をひとつに束ねたロングヘアの長身ダンサーとしてプチブレイクした汐月しゅうくんも同じ髪形で、また人目を惹き^^冒頭で引き離される対立する両陣営からの許されざる恋人・・・を演じた優香りこ(REONのときの白華れみちゃんのような金髪サイドパーツショートボブで目立ってました)ちゃん、海隼人くんペアがまた同じポジションを演じ・・・と、今回の星組総力戦だからこその贅沢な配役と、前回を思い出させる配役がMIXしているのもまた心にくく思ったことでした。

組長の万里柚美さんが、Partyのアトラクションのフラメンコダンサーを演じて一瞬の出番でしたが、きれいなパタ・デ・コ―ラさばきを見せてくれました。美人なので、映えますね。
ただ、初演時の鶴美さんの神業バトンさばきを超えるバージョンには未だお目にかかれていませんが・・・^^;

そうそう!Aパターンを観た初回、観終わった興奮さめやらぬ観客のつぶやき・会話を聞くともなしに聞いていると・・・
「やっぱり星組は歌が上手くて安心して聞けるわね」

・・・エッ
:::星組が安心して聞ける・・・歌・・・??

本当にそれって星組のことですか??(←失礼)
いや~でも、今は礼くんもセンター付近で活躍しているし、夏樹れいくん、夢妃杏瑠ちゃん、白妙なつちゃんら歌自慢もいれば、スター格の紅・真風の上達も目覚ましい(本人比)し、もしかすると、本当にこの褒め言葉、本気にしても大丈夫かも?

・・・それにしても・・・感慨深い。
星組がこんな言葉で評価されるのを聴く日が来るなんて。。。









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