言葉というものにあの方の復活が還元されてしまう時、人の言葉で納得することにまとめられてしまうことに、わたしは非常なる怖れを感じたのです。言葉という情報を総括する手段にその出来事が了解されてしまうとき、おそらくそのことの本当の出来事はそうではなくなってしまうだろうから。わたしの書いたその方の本当の物語はあの方の言われたとおり、世界の果てにまで及び読まれるかもしれない。だから、その思いは過去の言葉で完了されて分かってしまったことにしてはならないと思われたのです。わたしマルコは、よみがえったというその方に肉体的に確認できる意味で会ってはいないので、再び姿は消されるであろうその方をわたしのつたない言葉で、書き留めて完了としてその出来事を過去に押しやってしまうことは実に恐ろしいことだと思われたのです。そこで、わたしは福音書の終をこう締めくくり筆を折ったのです。「マリア達はあの方の復活を天使から告げられた時、おののき恐れながら墓からでて逃げ去った。人には何も話さなかった。恐ろしかったからである・・・」と。(後の読者たちが付け足してしまいましたが。)あの出来事、あの恐ろしさが、人の言葉の解釈の自己了解にあの恐ろしさの表現はどうしたものかと・・・。ガリラヤで待っておられ、そして父の住まいに帰られたあの方は、この福音が語られ、そして聞いた者たちが聞こうとすれば、その心によみがえられるでありましょう。そこで打ち切り書くのを中断して私の福音書が終わっている理由を、彼が再び来られるまで何年も何年かかろうとも、生きとし生けるすべての人々の普段の生活の中に。普段の生活・・・そう、ガリラヤで待っているとあの方は言われたのですから。彼は生きていると言われるのですから、まさに願う人には現われ、あの方みずからがよみがえってお話されるでしょう。あの方が再び来られるというその時まで・・・わたしはそれを信じたのです。このようなことを書くのは、ある二人のお弟子が姿を現されたあの方にであったという話を聞いてますますそう思ったからなのです。・・・
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