marcoの手帖

永遠の命への脱出と前進〔与えられた人生の宿題〕

世界のベストセラーを読む(358回目)世界を形成する歴史認識の通奏低音(Ⅲ)

2017-06-05 07:43:39 | #日記#手紙#小説#文学#歴史#思想・哲学#宗教
◆今回掲載はヨルダン社から初版2000年2月25日第一刷発行の伊佐正敏著「パウロの伝道と神学」の第一論文「使徒会議について」の序論からである。

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 私たちがある史実を歴史研究の主題として選定する場合、その史実は、少なくとも次の二つの条件を満たさなければならない、と考えられる。すなはち、その条件とは、
 1.その史実は、ある特定の国家なり民族が当面している、その時代特有の経済的・社会的・政治状況を、集約的に暗示、示唆するものでなければならない。さらに、
 2.その史実は、問題とされている民族なり国家が果たす、それ以後の歴史的発展あるいは歴史的現象に何らかの役割を果たすものでなければならない。
 なぜなら、ある史実が、単に歴史的事実にとどまることなく、その時代の諸々の要素を集約的に表現しているとともに、未来を構成する要因を内含している時にこそ、その史実は人間の歴史として普遍的意義を獲得するであろうからである。
 思想を含めて、いかなる歴史的事件もそれを生み出した物質的、精神的背景と無関係に論じることは現実性を欠き、また、過去の出来事が過去のものとして留まっているかぎり、その出来事に関する知識がどれほど豊富であったとしても、それに関する研究は趣味の限界を抜け出ていないことは明らかである。 (p13)
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◆この方は、専門の神学者ではない、牧師でもない。明治学院東村山高校に就職。明治学院大学の兼任講師として20年間、キリスト教学特に倫理学を講じた。・・・聖書学の大家 関根正雄教授に学び同級生に並木浩一氏がおられたと。後書きに経歴紹介がありました。1934年11月2日群馬県伊勢崎市に生まれ、1999年10月14日没。かなり専門的な内容ですが面白く読み、再読し、この一番の冒頭が僕が書いてきた内容(時代によるその他諸々の諸条件による制約を受けていることの)にぎにぎしい権威付けのような文章で気に入ってましたので)今回、掲載させていただきます。すべてにわたり、キリスト教の神学を学ぶときは、この考えが大切だと思っています。・・・続く 


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