marcoの手帖

永遠の命への脱出と前進〔与えられた人生の宿題〕

世界のベストセラーを読む(543回) (1)カルロス・ゴーンさんの語録「解のない問題はない」(「ルネッサンス」から)

2019-02-12 21:09:14 | 日記
解のない問題はない

 収益の上がる会社にしたいなら、マネージャーには問題の核心を見抜く能力が不可欠である。これは私が学んだ大切な教訓のひとつである。
これまで経営難に陥った会社を任されたときに、あらかじめ解決策が分かっていたことは一度もない。だが、ありがたいことに打開策を見つけられなかったことも一度もない。これはひとえに、機能不全で異常としか言いようのない事態に何度も遭遇したおかげで、どんな問題でも、核心を見抜くことができれば解決できるという自信が植え付けられたからだろう。「解のない問題はない」という格言の正しさを経験が実証してくれたのである。

 私のスタンスはこうだ。試練を恐れない。危機的状況に対応できる。仕事には緊張感を求める。・・・緊張感はゴーン流マネジメント・スタイルの必須条件だ。
では、危機的でない状況ではどうすればいいのか。私は新しい目標レベルを設定したり、新たな挑戦の機会を与えるといった方法で緊張感を作り出している。会社こういう形で危機意識を持続することができなければ、社員のモチベーションは明らかに鈍り、真の収益性にとって大切なことを軽視するようになるだろう。・・・緊張感はトップが作り出さなければならない。これも私が身をもって学んだ教訓のひとつである。


神父の教え
 
 S・J・ラグロヴォール神父はイエズス会神父で、その後の人生にも十分通じる教訓を与えてくれた。物事には明確さ、簡潔さが必要だという教訓である。又、正しい人生を追求することがいかに重要かということも語ってくれた。

 「アマチュアは問題を複雑にし、プロは明晰さと簡潔さを求める」
 「まず、耳を澄ませなさい。考えるのはそれからです。大事なのは、自分の考えを可能な限り分かりやすい方法で表現するよう務め、何事も簡潔にし、自分でやると言ったことは必ずやり遂げることです」 

 ラグロヴォール神父は私に深い影響を与えた。彼にフランス文学を習い始めたのは私が14歳のときで、ちょうど人生の手本となるような人間を探し始める年ごろだった。彼は明らかにそういう人間のひとりだった。しかし、ひとりの人間に自分が求めるあらゆる特性が備わっているわけではない。人はさまざまな人間にで出会い、それぞれの長所を学び取り、それを再構成して自分の中に組み込み、独自の個性を作り上げていくものである。

 彼が私の中に残してくれた影響がどれだけ強いものであったかに気づいたのは、あれから30年もたって日本に来てからだった。彼は多くの教訓を与えてくれた。「分かりやすい人間であれ。明晰な言葉で説明せよ。やると言ったことはやり遂げなさい。」いずれも日産の再生を目指した私の姿勢に反映されている。
  
・・・彼の教えは今でも私の中に息づいている。  ・・・・  続く