mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

蒼き狼 地果て海尽きるまで

2007年05月03日 | Weblog
監督: 澤井信一郎
製作総指揮: 角川春樹
原作: 森村誠一
脚本: 中島丈博 、丸山昇一
音楽: 岩代太郎
キャスト:
反町隆史 (テムジン/チンギス・ハーン)
菊川怜 (ポルテ)
若村麻由美 (ホエルン)
袴田吉彦 (ハサル)
アラ Ara (クラン)
野村祐人 (ポオルチュ)
松山ケンイチ (ジュチ)
平山祐介 (ジャムカ)
池松壮亮 (テムジンの少年時代)
保阪尚希 (イェスゲイ・バートル)
榎木孝明 (デイ・セチェン)
津川雅彦 (ケクチュ)
松方弘樹 (トオリル・カン)

2006/日本=モンゴル/2h16m  ☆☆☆☆

 モンゴル帝国を統一した、英雄チンギス・ハーンの生涯を描いた歴史超大作。モンゴル建国800年記念作品であると同時に角川春樹事務所創立10周年記念作品として、製作費30億円をかけオールモンゴルロケを敢行。製作は角川春樹が務め、“蒼き狼”と呼ばれたチンギス・ハーン役を『男たちの大和/YAMATO』の反町隆史が熱演。共演者には菊川怜や松山ケンイチら若手のほか、津川雅彦や松方弘樹といったベテラン俳優が勢揃いしました。モンゴルの大地の壮大な映像美も圧巻ですが、チンギス・ハーンの人柄に触れる人間ドラマも見応えがあります。長期にわたるモンゴル・ロケで12世紀から13世紀にかけて、西はペルシャ湾、東は中国に至るまでの広大な帝国を築き上げた草原の雄チンギス・ハーンの夫婦、親子の愛と憎しみのストーリーや、部族内での権謀術数など、幾重にも積み重なっていくエピソードを、反町隆史や松山ケンイチなどの男気溢れる演技で目頭を熱くさせてくれます。加えてもうひとつの主役は何と言っても美しいモンゴルの風景。どこまでも続く平原に、モンゴル軍兵士を含む2万人のエキストラが集まった即位式のシーンは見事という他はありません。
 部族間の闘争が激化していた12世紀のモンゴル。モンゴルのボルジギン族の長であるイェスゲイ(保阪尚希)と妻ホエルン(若村麻由美)の間に、男の子が生まれテムジンと名付けられた。後にチンギス・ハーン(反町隆史)となるその子どもは、鋭い眼差しの持ち主で、手には赤い斑点(はんてん)がついていた。14歳になったテムジン。父親を対立する部族に殺害されると、母親が敵から略奪された身である事を理由に、部下たちから見捨てられてしまうが、テムジンは“蒼き狼”の血を受継ぐ者としてたくましく成長してゆきリーダーとしてのカリスマ性を発揮。そしてホルテを妻に迎え、次第に勢力を拡大するのだった…。
 残念ながらこの作品、製作費30億円を投じた邦画最大規模の大作だったのですが、興行収入は14億円に留まる厳しい結果だったそうです。モンゴル人のチンギス・ハーンの生涯を描いた作品であるにも関わらず、メインキャストは殆ど日本人であり、演技や台詞回しも日本的な湿気性の多いもので、大陸的な乾燥したチンギス・ハーン、及び周囲の人間像とはかけ離れたもの(美化!?)となってしまった。加えて、長い生涯を一本の映画にするのは無理があり、少年期に割いた時間も長過ぎ、その後の内容が薄いまま忙しく進展するストーリーは観客を疲れさせるものであったらしい。確かに最初、見ていて全編日本語なので二ヶ国語の上映かと思ってしまいました。
 忘れてはならないのが、途中から若くして「女である事を忘れてくれ」とテムジンに進言し、側近のように連れ添って戦火を共にする他部族の女兵士クランを熱演したアラで、弱冠16歳にして角川春樹事務所とエイベックスが実施したオーディションで約4万人の中からグランプリ受賞した、今後の活躍が期待される韓国出身の女優さんです。(p.s.2月生まれなので3月の映画公開時は17歳です)