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かんたん解説 NBAなんでもとーく

エミネムがナゲッツを救う?

2007年03月19日 | お笑い系

マスコット:「よぉ~し、コービー。今日の作戦を伝授するぞ~。まずバイナムにはゴール下じゃなくてスリーを打たせろ。それからスマッシュ・パーカーにはフリースローラインからダンクさせるんだ。それとルーク・ウォルトンには『お前親父よりチビってどゆこと?(注①)』ってアドバイスしてやれ。そんでクワミ・ブラウンには『おい、ジョーダンが見に来てるらしいぜ(注②)』って耳元で囁くんだ。オドムには『お前もスノボやったら? 楽しいぜぇ~(注③)』って勧めてこい。」
コービー:「わかったよフィル。でも何か作戦が変じゃないか?・・・ってお前フィル・ジャクソンじゃないな!」
マスコット:「何言ってんだ、ホワイト! ホワイトぉ~(注:ソフトバンク風に)」
コービー:ドカッ!(後ろ回し蹴り一発)

※会話は全てフィクションです。

・注①…パパ・ウォルトン(ビル・ウォルトン)は211cmのセンター。息子ルークは203cmのSF。ちなみにそう言うコービー(198cm)もパパ・コービー(ジョー・ブライアント/206cm)の方がデカい。どないやねん。(だからフィクションです)
・注②…ジョーダンがウィザーズで現役復帰をした2001年にドラフト1位で入団。高卒初のトップピックとして大いに期待されたが、GMから選手へ転身したジョーダンの猛烈な闘争心と厳しい指導にプレッシャーを感じ、ウィザーズでの4年間は伸び悩んだ。
・注③…ラドマノビッチが、今年のオールスター休暇中にスノーボードをして肩を負傷し、現在戦線離脱中。スノーボードが契約で禁止されている危険なスポーツであったため、一時は契約が解除されるのでは?という噂まで立った。


え~さて前置き(前説?)はこれぐらいにしまして、今日はそのナゲッツの話題で。(コービーじゃなくてマスコットの方です、ハイ)

メロとアイバーソンという豪華コンビが誕生して以来、注目度が俄然高まっているナゲッツですが、何だか勝ったり負けたりでなかなかゴーンとチーム力が上がった感じがしないですね。
まあアイバーソンが足首の捻挫で一時戦列を離れていたことが大きな要因ではあるのですが、そのアイバーソンがケガから復帰してからもチームはやっぱり勝ったり負けたりを繰り返していました。

こういう状況が続くとどうしても、「やっぱりメロとアイバーソンはうまくいかないんだ」「本当は2人の仲は悪いんだ」な~んていう批判めいた噂が出てきてしまうんですね。
でもハッキリ言って、これはメロのせいでもアイバーソンのせいでもなく、もちろん2人の仲が悪いわけでもありません。
一番責められるべきはHCのジョージ・カールです。

カールはアイバーソンの復帰後、それまで先発PGを務めていたスティーブ・ブレイクを外し、アイバーソンをPGとして出場させるラインナップに変えました。
しかしこれが全ての元凶でした。
アイバーソンがPGとして先発した8試合の成績は3勝5敗。
アイバーソンにボールを持たせる時間を長くすることでオフェンスの活性化を狙ったものの、逆にボールがうまく回らず、1on1に強いメロとアイバーソンは高得点をあげるものの、周りのプレイヤーはさっぱりで、全体としてのチーム得点は落ちるという真逆の結果を招いてしまいました。

またアイバーソンと一緒に先発起用されたSGも、問題をさらに助長します。
リーナス・クレイザはPF上がりのSFで、まったくのフォワード選手。
ヤクバ・ディアワラはディフェンスのスペシャリストであり、オフェンス技術は未完成の若手。
どちらもボールハンドリングやアウトサイドシュートといったガードとしての役割は果たせず、アイバーソン1人にその負担が一挙にのしかかってきてしまいました。
相手チームは、アイバーソンの手からボールを放させてしまうか、囲んでターンオーバーに追い込むディフェンスをすればいいのですから、的が絞りやすくなります。

ナゲッツに最も必要なのは、ボールを分散させオフェンスをセットアップすることができる司令塔です。
アイバーソンとメロというリーグ最高のスコアラーを両ウィングに配置し、インサイドにも高さのあるネネとキャンビーが待ち構える布陣は、バランスも良く申し分ない攻撃力を持っています。
後はそのタレント揃いの布陣を生かしてくれる司令塔を、扇のカナメに置けばいいだけです。

つまりブレイクを先発PGに戻すことが最も必要なことでした。
ブレイクは非常に球離れが速く、ボールを運ぶと無駄なドリブルはつかずにすぐさまボールを回します。
左右に素早く大きくパスを振ることによって、コートを広く使ってフロアバランスを取り、ディフェンスの対応を遅らせます。
またインサイドにキラーパスを通せることで、ネネやキャンビーの得点機会を演出し、メロとアイバーソンに集まるマークの裏を突くことができます。
自らのシュートにはほとんど関心を寄せませんが、時折効果的なドライブインや3ポイントを見せることで、マークを引きつけておくことも忘れません。

先述のアイバーソンを先発PGにしたゲームが3勝5敗だったのに対し、その後ブレイクを先発に戻して以降はすぐさま4連勝と成績が好転しました。
4連勝中の平均得点は116.0点。
その前の5敗した試合の平均得点が94.8点ですから、その違いは歴然です。
ただここで誤解していただきたくないのは、アイバーソンにPGの能力がないと言っているわけでは決してありません。
先発ラインナップのバランスが悪いのでそれを是正しなければいけない、そのためにはブレイクを先発に戻すのがベストだと言っているだけです。

ブレイクはアシストパスもできますが、どちらかというと早い段階でパスをさばいてボールの動きを活性化させようとするため、直接アシストとしてカウントされないパスが多くなります。
そのためスタッツを見るとさほど目立たず、貢献度が数字に残りにくいタイプの選手です。
しかし優秀なタレントの力を引き出すには、こういうブレイクのような存在こそが必要です。
主役を陰で引き立てる有能な脇役が必要なのです。

顔はエミネム似だけど、中身は渋~い仕事人。
ブレイクこそが、ナゲッツの今後を占う重要なカギを握る選手なのだ。


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