九月三十日
午後三時五十分。風がでてきて降ってくる雨が横なぎに波打だしています。そして木々がそれを煽るかのようにスタンディングウェーブ。見巧者の木々の梢たちは自身の身に災難が及ぶやもしれぬのに、えらく立騒いでおります。おやおや、一足早い「葉の舞」まで。いまのところ風雨の神のこの地の託宣は有り難き、雨でございますと。多少、横殴りの雨を見ておりますと眼がくらみ、心穏やかではありませんが。九月終わりの渇水期に有り難き天の恵み水と。
ありったけの水を溜める風呂桶•ゴミバケツ四つ、超大きな寸胴•数十本あるペットボトルは常日頃こういう時のために置いてあります。四リットルのペットボトル十本で４０リットルですよ。わが家は生活水としてまあ四本でまかなうことができます。で、水を入れるのにクタクタ。
今日はたしかに台風が怖いのですが、もたらして呉れたものもあるので。どちらかといえば明日から何日か少し安心寝！に。
九月二十九日
旗が靡きだしました。
前宣伝は１５時与論島付近、そして３０日三時には種子島、１５時には潮岬などという口上が。いまこちらは時折雨戸を鳴らす程度、雨もまだ。台風サーカス１７号一座の興行間近なのでしょうか。いまのトコロ、アナウンスはあれどチラシは飛ぶ事はありません。でも空は雨雲ドームが朝から張渡され始めていました。もちろん常席・昼興行の真打ち•太陽殿下の登場もありましたが。しかし、台風サーカス一座の南洋育ちの上昇気流の勢いに逆らえません。
ハーイ、お代は見てのお楽しみ。くれぐれもお手をお出しにならないように、いたって気象•気性の荒い台風サーカス一座です。水害•風害は天興行としては已む無しとのさる方が。
九月二十八日
今日も薄い青空。まるで映写時間の来ない映画のスクリーン。ここ三日ばかりそう。太陽の強いライディングだけが、アラビアのロレンス。ピーター•オトゥールみたいに眼が海みたいなブルーになったらしめたものですが。近眼老眼のメカチンの眼は頭痛だけをよぶだけ。そして、薄い青空はようよう濃い藍色に。そろそろ月のメールがくるころ。今宵のメールは台風の派手な前宣伝を入れてるかな？
九月二十七日
今日も雲無しの青空で始まりました。昨日も。たしかに空の端には遠巻きにするように、お手手つないでのように遠慮がち雲は移動しております。でも青空広場は太陽王の独壇場。その太陽王もいま西の空に。
昨日、午前に山越えして京に久しぶりに。用事さえ済ませれば、もう何の用もない街になっているコトを痛感。鴨川沿いを南にくだり、また北に戻り、そして山中越え。しかし、陽射しはいささかも容赦なく。行き帰り。大洋を風任せに漂う船の心地、私は頭にラー船の戴いてしまいました。
「太陽神の偏頭痛」二日にわたり航海中。
九月二十五日
雲の少ない陽射しの強い一日。朝歩いていてきて気づいたのは、刈り入れの終わったダンダン田圃の畦の苅払い機で執拗な位草刈りされていたシャープだった土色の見えていた線が面が、猫じゃらしの飛び跳ねるような好き勝手な生えかたと若草色で、柔らかな線を描くようになっている。役目を終えた稲田のこれから長い長い休みを迎える秋の陽射しの一時と。「秋刈田の猫じゃらし線」なにかもっとエエ表現ないやろか。それと、ついつい印象派の絵おもい浮かべてマウところが、つらいナー。「猫じゃらしの印象派」でもエエか！田圃にご苦労サン、来年も頑張ってヤ！
やっぱり、絵より餌やな！
陽が翳って、もみ袋にいっぱい籾殻もらってきました。土にすきこみます。
