隠れ家 ぶぶ茶漬け

好きモノだけしか来ない
真夏の京都の博物館の常設展示
なんか京都の旧い老舗のお店　
お店ほうがモッと活気があることはたしか
館内は空気が淀む

足音を殺すことが出来ないこと
初めて知った
気配というのかな
呼吸も

こちらは「無」だけど
やっぱり気配はさとられる
展示区画を入ってきて
ギコチなく　私の方に視線が
泳ぐっていうのかしら
つい
最初の時
お追従に笑ったら
完全無視された
なんか
モザイク処理された感じ
必要ないもんね
最初
シャットダウンの視線
むっ！としたケレど

だんだん
「消してもうテ！」と関西弁で
館内の監視おばさんと話していて
気配を消す
そして居るという極意

１日終えて
「ぶぶ茶漬け」

隠れ家 真夏の京都

私、一週間休みとったの。
それで旅行をした？
どこにって京都
真夏でもさすが観光地ね
その日は嵐山に行って
夏休みの家族連れ
その多い事
風物なんてどうでも
でも食べて飲んでね

で、本当の目的
京都の博物館
館内の監視係
広い展示室の一つに
ただヒタスラ座っているだけ
案内を乞うヒトなんていない
だいたいが夏の盛り
涼しくても来ないわね
好きモノだけしか
ほとんど来ないにひとしい
どんなに静かに来ようと
足音は響き渡る館内
なんかこれがいいのよね

外では広い空間て、至るとこにあるけど
建物の中ではソウソウにはね。
逆にいえば、来館者としては常に
一人とはいえ監視員がいる
でも壁の花の監視員は
一人の時間が絶対に長い
ひろいひろい空間を
展示物と過ごすの
これが大都市の国宝特別展示なんて企画されたら
押すな押すなの長蛇の列が
あっけらかんと在るの
美術品というか仏さんというか
あまり興味ないけれど
ドンと在るのね
本来のとこでないので
ちょいと居心地悪く
これがいいのよね
ちゅうぶらりん

隠れ家 監視員

知り合いに博物館員がいて
平常陳列の時ね
そこで見張り人をさせてもらうの
よこの繋がりあるから彼方此方に口聞いてくれるの
文字通り没個性で、座っているだけ
鑑賞の邪魔になるからね
「無」になりきる
けっこう飽きないわね
　お客のウオッチングもできるし
そりゃ毎日やったら
飽きると思うか
意外とはまるか

隠れ家 環状線で シャンパンを

駅ならそう目立たないつながりで
そう環状線にグルグル回る手も
最初の頃はね
通勤時間帯を過ぎれば
けっこう長閑なんだね
エラそうに股を広げて
新聞もガバッと広げ
応援団長らしいムサい学ランのが
それこそ腰元という感じの女の子を横に座らせてたり
OBに会ったりしたら　突然態度変わるんだろと
男尊女卑の絵姿なんていうの
といっても意外に強かなんだよね、こういう娘？（女）ていうのは

で、そこで出逢ったのが。荷担ぎ屋おばさん。
なんでいまのこの世でという姿。付いていったわよ。自分の背丈より高い網かごを重ねた荷を背負っているんだもの。それも、能天気ともいえる、ゆるりとこれから通学の画学生ポイのや、すこし早い眼の買い物客の街の、ノンビリといいつつ、けっこうヒトを避けければならないとこを黙々と歩いてゆくんだもの。
大通りの信号目かで
「フーッ」
駅の方に戻り
グラス、シャンパン呷っちゃった。

隠れ家 「駅なのヨ！」

ありきたりだけれど
駅なんだよね
ホームの上から、階段の下をのぞく
どれほど　子供の頃　このニュース画像を見ていたか
頭・頭・頭
足音・足音
濛々となにか立ち上っている
ひたすら
自身も日頃はそうなんだケド
堕天使として

とはいえ、ルシファーもキオクスの立ち食いソバを