北岳山麓合唱団

ソウルジャパンクラブ(SJC)の男声合唱団です。毎週火曜日、東部二村洞で韓国の歌と日本の歌を練習しています。

カラマーゾフの兄弟

2014年06月22日 19時25分50秒 | その他

個人的な話題ですが、私の積年の宿願だったのでお許しください。

先日、とうとう「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)という長編小説を読了致しました。村上春樹さんをはじめ、幾多の人々が、人生でめぐり合った最も重要な本としてあげておられる名作です。

この本を読むことは、高校生の頃からの宿願でしたが、登場人物の多さや、複雑なストーリー展開で、少なくとも5回、挫折し、思いを遂げることができませんでした。

今回も、会社の仕事や出張等で何度も中断し、一時は諦めかけたのですが、なんとか完走することができました。

読了後の感想ですが、世評は伊達じゃない。期待にたがわず、というところ。

東京大学の教員を対象にしておこなった「新入生に読ませたい本」というアンケートでも、「カラマーゾフの兄弟」が一位になったそうです。正直、ある程度の人生経験がないと、理解しにくい内容ですが、ぜひ広くおすすめしたいと思います。

写真は、米川正夫訳によるカラマーゾフの兄弟。(岩波文庫1927年初版)。芥川龍之介が世を去った昭和二年の翻訳。いかにも古典文学という感じの格調高い訳文が特徴。日本語が古い。活字が小さい、難しい漢字が多い、訳注が少ない、といった欠点がありますが、有名な「大審問官」の章などは、米川訳で読まなければ、逆に理解が難しいと思います。

 

これからカラマーゾフに挑戦される方のためにアドバイスさせていただくと、

1.ネット上の人物相関図を利用する。

この小説に挑戦する人がまず苦労するのが、登場人物です。登場人物が多い。ロシア人の名前が覚えられない。人物の相関関係が分からない。忘れた頃に、突然、再登場する人物が多い。

そんな時に助かるのが、人物相関図です。インターネット上で、いろんな人が作成した人物相関図が入手できるので、ぜひ御参考下さい。

最後まで読みきると分かりますが、小説は極めて論理的に構成されており、登場人物もストーリーにあわせて、きちんと配置されています。

 

2.自分にあった訳文を選ぶ。

カラマーゾフの兄弟は世紀の名作だけあって、色々な翻訳版が出ています。

現在、入手しやすいのが、原卓也による訳(新潮文庫。1978年初版)。それから、マスコミでも話題になった亀山郁夫による新約(光文社文庫。2006年初版)。そして、先にあげた米川正夫による訳です。

私は子供の頃から岩波に強いこだわりがあり、今回も米川版でスタートしましたが、途中で人物相関が分からなくなり、米川版をリタイア。亀山版による平易な新訳で冒頭から読み直して、やっと理解しました。

ベストセラーにもなった話題の亀山版については、誤訳が多いといった専門家による指摘もあるようですが、最新訳だけあって訳文もこなれており、「とっつきやすさ」は抜群。読者の理解を助ける読書ガイドも用意されているので、まずは亀山版からスタートされてみては。

カラマーゾフの兄弟は1500ページを超える長編です。もし途中で行き詰ったら、他の訳で読み直してみることをおすすめします。私も、米川版でスタートし挫折-亀山版で最初から読み直し-原版に切り替え-再度、米川版に復帰し、最後まで完走となりました。

写真は原卓也による訳。亀山版同様、読みやすい。(あくまで個人的見解ですが)私にとっては、亀山版よりもこちらのほうが、自然な日本語でした。

 

3.時間をおいて、読み返す。

私はまだ一回しか読んでいませんが、先人によると、時間をおいて読み直せば新しい発見があるそうです。

私も同感です。高校時代に意を決し、50歳での読了までに30年以上の歳月が経過しましたが、仮に10代で読んでいたとしても、どの程度理解できたか?はなはだ疑問です。

いつになるか?分かりませんが、またぜひ読み直してみたい。そんな気持ちにさせてくれる、稀有な作品です。


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