銀座・松屋で開催されている「池田重子コレクション 日本のおしゃれ展」へ行った。
池田重子さんは、日本有数のアンティーク着物コレクター。その彼女のコレクションを展示したものだ。会場には、着物姿の女性もたくさんいた。
池田さんもお芝居好きと見えて、歌舞伎にちなんだ帯や着物が多く展示されていた。
私の目にとまったのは「歌舞伎定式幕写し帯締」。
この帯締は、歌舞伎の定式幕(じょうしきまく)の色である黒、茶、緑の3本の細い組紐をあわせたもので、池田重子さんのオリジナルなのだそうだ。
池田重子さんは、ご自身のブランドを作っておられるので、市販されていたら買いたい! と思ったのだが、よく見ると一つ気になることが。
歌舞伎の定式幕は、舞台の上手(客席から見て右)端から茶、黒、緑の順で並んでいる。「茶汲み」という語呂あわせで覚えるとよいのだが、この帯締は、端から黒、茶、緑の順番に並んでいた。そう、実際の定式幕と、色の並び順が微妙にちがうのだ。これじゃ「茶汲み」じゃなくて「くちゃみ」になってしまう……。惜しい!
いちばん印象に残ったのは、昭和初期のものとされる花嫁衣装。
裾引きの振袖なのだが、まったく同じ柄で地色が色ちがい(黒、赤、白)のものを作り、それを三枚がさねにして着るのだ。
おそらく、大きな商家の娘さんの花嫁衣装と思われるが、婚礼貸衣装が一般的となってしまった現代では、ここまでの贅沢はなかなかできないだろう。
こういったものこそ、アンティークの醍醐味といったところである。
裏地にも紅絹が使われているため、白地の着物の場合は裏の赤が表にすけて、とても美しい。
ちなみに、かさねる順番は、下から赤、白、黒の順である。つまり、いちばん上に黒が来る。
一枚一枚が薄手に作られているので、三枚重ねても重くなりすぎることはないらしい。
展示会場を出ると、同じフロアで着物や和装小物などの販売が行われていた。
そのなかに、池田重子さんのオリジナルブランドの着物もあったのだが、なかなかいいお値段だったので、「見てるだけ~」にした(笑)。
池田重子さんのコレクションにあるアンティーク着物を写したデザインの着物もあった。
歌舞伎の定式幕の帯締は、似たようなものはあったのだが、3色の紐の組み合わせではなく、1色で両端にほかの2色が入っているものだったので、購入はせず。
品物を見ていたら、近くにあった試着スペースから「いいわよ、すごくいい!」という大きな声が聞こえてきた。
お客さんに商品を試着させた販売員さんの声である。
いわゆる「呉服展示即売会」のようなノリで、押しの強そうな売り声だった。
試着していたお客さんは、30代半ば~後半くらいの女性で、販売員の女性よりも若い。
その後、「だからあ、この帯は、いろんな着物に合うんだからあ、絶対いいわよお、まちがいないって!」という声も聞こえてきた。
私は、いくら相手が年下だからといって、客に向かってこんなふうになれなれしい口をきく販売員が、非常に嫌いである。
売りつけようとしている帯をちらっと見てみたが、はっきりいって「どんな着物にも合う」とは言い難かった。たしかにシックな色ではあったが、おしゃれ着用という感じで、人によっては飽きが来るかもしれない。
そのお客さんが普段どんな着物を着ることが多いのか、どのくらいの頻度で着るのか、どんな場面で着るのかを考えて、どのくらいの予算でどんな品を買うのがいいのかを適切にアドバイスしながら売るのが、良い呉服屋さんである。
呉服屋さんならそんなふうにいろいろなアドバイスをしながら「身の丈に合った」着物をすすめてくれるのだろうが、こういう「展示即売会」のようなところの販売員さんだと、「とにかく売りたい」「ノルマを達成したい」というのが見え見えの売り方をしていることが多いように思う。
「とにかく高い着物を押しつけたい」と考えるなら、もっと相手を見るべきだと思う。
ふつうの、30代の女性で、数十万もする着物をポンと買える人なんて、そうはいないと思うのだが……。
そのお客さんは賢く断ったようだが、お客さんがいなくなった後、その販売員さんが「売れなかったわ」みたいな態度を示していたのも気に入らなかった。
はっきり言って、品のある販売態度とはお世辞にも言えない。
やみくもに売りつけようとするよりも、適切な説明やアドバイスをしながらすすめたほうが、お客さんの信頼も得られて、結果的には売れるかもしれないのに……。
やはり、どんな商売でも「誠意」が売り上げに通じるのだと思う。
その販売員さんは、期間中だけその会場にいる人なのかもしれないが、たとえその期間だけでも店やブランドの看板を背負っているのだから、もう少し自覚を持つべきだと思う。
その販売員さんの態度を見ているうちに購買意欲もすっかりなくなり、ウインドウショッピングをする気さえも萎えてしまったので、そのままデパートを後にして、次の目的地へ向かった。
池田重子さんは、日本有数のアンティーク着物コレクター。その彼女のコレクションを展示したものだ。会場には、着物姿の女性もたくさんいた。
池田さんもお芝居好きと見えて、歌舞伎にちなんだ帯や着物が多く展示されていた。
私の目にとまったのは「歌舞伎定式幕写し帯締」。
この帯締は、歌舞伎の定式幕(じょうしきまく)の色である黒、茶、緑の3本の細い組紐をあわせたもので、池田重子さんのオリジナルなのだそうだ。
池田重子さんは、ご自身のブランドを作っておられるので、市販されていたら買いたい! と思ったのだが、よく見ると一つ気になることが。
歌舞伎の定式幕は、舞台の上手(客席から見て右)端から茶、黒、緑の順で並んでいる。「茶汲み」という語呂あわせで覚えるとよいのだが、この帯締は、端から黒、茶、緑の順番に並んでいた。そう、実際の定式幕と、色の並び順が微妙にちがうのだ。これじゃ「茶汲み」じゃなくて「くちゃみ」になってしまう……。惜しい!
いちばん印象に残ったのは、昭和初期のものとされる花嫁衣装。
裾引きの振袖なのだが、まったく同じ柄で地色が色ちがい(黒、赤、白)のものを作り、それを三枚がさねにして着るのだ。
おそらく、大きな商家の娘さんの花嫁衣装と思われるが、婚礼貸衣装が一般的となってしまった現代では、ここまでの贅沢はなかなかできないだろう。
こういったものこそ、アンティークの醍醐味といったところである。
裏地にも紅絹が使われているため、白地の着物の場合は裏の赤が表にすけて、とても美しい。
ちなみに、かさねる順番は、下から赤、白、黒の順である。つまり、いちばん上に黒が来る。
一枚一枚が薄手に作られているので、三枚重ねても重くなりすぎることはないらしい。
展示会場を出ると、同じフロアで着物や和装小物などの販売が行われていた。
そのなかに、池田重子さんのオリジナルブランドの着物もあったのだが、なかなかいいお値段だったので、「見てるだけ~」にした(笑)。
池田重子さんのコレクションにあるアンティーク着物を写したデザインの着物もあった。
歌舞伎の定式幕の帯締は、似たようなものはあったのだが、3色の紐の組み合わせではなく、1色で両端にほかの2色が入っているものだったので、購入はせず。
品物を見ていたら、近くにあった試着スペースから「いいわよ、すごくいい!」という大きな声が聞こえてきた。
お客さんに商品を試着させた販売員さんの声である。
いわゆる「呉服展示即売会」のようなノリで、押しの強そうな売り声だった。
試着していたお客さんは、30代半ば~後半くらいの女性で、販売員の女性よりも若い。
その後、「だからあ、この帯は、いろんな着物に合うんだからあ、絶対いいわよお、まちがいないって!」という声も聞こえてきた。
私は、いくら相手が年下だからといって、客に向かってこんなふうになれなれしい口をきく販売員が、非常に嫌いである。
売りつけようとしている帯をちらっと見てみたが、はっきりいって「どんな着物にも合う」とは言い難かった。たしかにシックな色ではあったが、おしゃれ着用という感じで、人によっては飽きが来るかもしれない。
そのお客さんが普段どんな着物を着ることが多いのか、どのくらいの頻度で着るのか、どんな場面で着るのかを考えて、どのくらいの予算でどんな品を買うのがいいのかを適切にアドバイスしながら売るのが、良い呉服屋さんである。
呉服屋さんならそんなふうにいろいろなアドバイスをしながら「身の丈に合った」着物をすすめてくれるのだろうが、こういう「展示即売会」のようなところの販売員さんだと、「とにかく売りたい」「ノルマを達成したい」というのが見え見えの売り方をしていることが多いように思う。
「とにかく高い着物を押しつけたい」と考えるなら、もっと相手を見るべきだと思う。
ふつうの、30代の女性で、数十万もする着物をポンと買える人なんて、そうはいないと思うのだが……。
そのお客さんは賢く断ったようだが、お客さんがいなくなった後、その販売員さんが「売れなかったわ」みたいな態度を示していたのも気に入らなかった。
はっきり言って、品のある販売態度とはお世辞にも言えない。
やみくもに売りつけようとするよりも、適切な説明やアドバイスをしながらすすめたほうが、お客さんの信頼も得られて、結果的には売れるかもしれないのに……。
やはり、どんな商売でも「誠意」が売り上げに通じるのだと思う。
その販売員さんは、期間中だけその会場にいる人なのかもしれないが、たとえその期間だけでも店やブランドの看板を背負っているのだから、もう少し自覚を持つべきだと思う。
その販売員さんの態度を見ているうちに購買意欲もすっかりなくなり、ウインドウショッピングをする気さえも萎えてしまったので、そのままデパートを後にして、次の目的地へ向かった。
着物って、やっぱり高価なものだから、よぉ~く考えて買いたいのに、横からゴチャゴチャ言われると「五月蠅い!」って一喝したくなります。そういう店には二度と足を踏み入れなくなります。
私もそういう経験、何度かありますよ。
ただ「いいですよいいですよ」の一言で売りつけられそうになると、却って引いてしまいますよね……。
先日も、たまたま見つけて入ったリサイクル着物店で羽織を見ていたら、「それいいですよいいですよ」と店員さんがやって来たのですが、寸法が書かれてなかったので寸法を聞いたら、何と「だいたい大丈夫だと思いますよ、着物の上に着るんですよね? だったら、だいたい大丈夫だと思いますよ」という返事が返ってきて、あぜんとしてしまいました……。
「まあ、どてらじゃなくて羽織ですから、普通は着物の上に着ますねー。だから、自分の着物の寸法と合わないと着物の袖口が思いっきり出てきてみっともないんでー」と言ってそのまま店を出てしまいました……(涙)。
最後の精算で、若い店員の方が「お着物すきなんですか?お若いのにいいですね」とおっしゃってくれたのが救いでしたが。
裾回しの柄も豪華なのでしょうか。
販売の方は、小物は安いものもありましたが、どこにでもあるようなものが多く、私は買うほどのものはありませんでした。
草履屋さんの鼻緒は、すてきでした。
リサイクルショップでは、着物を売り物にしているのに、尺の定規もメジャーも置いてなかったりすると、がっかりしてしまいます。
「羽織ってみたら分かりますよ」とか言われますが、洋服の時だと、手持ちの着物と合うかどうか分からないですから。
何枚も羽織るのは疲れるので、メジャー持参で自分で図るのが一番楽だと思うこのごろです。
(お返事たいへん遅くなりまして、申し訳ございません……)
そうなんですよねーー、デパートのフェアだと、どちらがお客さんだかわからないような応対のしかたをする販売員さん、結構いますよね……。
もちろん、そうでない方も多いのだとは思いますが、「展示会や着物フェアは、強引に売りつけられそう」というイメージが固定してしまうと、結果的に販売員さんたち自身が困るのになあ……と思ったりします。お店や店員さんの印象ってやっぱり大切ですよね。
とりとめのないブログではありますが、これからもぜひのぞいていただければ幸いです。
rukaさまもいらっしゃったのですね~~!
もしかして同じ日だったのかも……奇遇ですね~!なんだかとてもうれしいです。
3枚のかさねは、ほんとにあこがれますよね。
裾回しにも、表の柄が続いているみたいです。昔の着物は、そういうところも凝っていて、いいですよね。
今ではめったに見られない「かさね着」ですが、舞妓さんの着物なんかは、冬の間、「2つぶき」といって、裾に綿の入った着物を2枚重ねて着るんです。けっこう重いらしいんですが、昔の人は、そうやって寒い冬を乗り切っていたんでしょうねぇ……。
リサイクルショップも、ていねいなところだと、着物につけられている札に寸法を書いてくれていたりするんですが、多少の誤差もあるでしょうし、そこまでしてくれないところも多いので、鯨尺メジャー持参がいちばん良さそうですよね。
リサイクルショップに行くときの必携品にします!
小千谷ちぢみを買おうと検索に掛けたところ偶然こちらのプログに出会いました。
とっても読み応えのある文章で昼飯食べながら過去のものから全て一気に読んでしまいました。
なんか作家の書いた着物本よりも解りやすく、共感しやすく、そしてとっても勉強になりました。
これってまとめたら初心者向けの一冊の本になりますね!マジで。
オークションの失敗や呉服屋店員の嫌なバージョン。
そして、欲しい着物を前に囁きかける、悪魔の誘惑とそれを阻止しようとする天使の戦いなんて「そうそう同じ、同志やわ~」とワカル、解ると頷きながら読ませていただきました。
阪神ファン、京都好きなとこも親近感大!
因みに、僕はまだまだ少ない着物好きな男です。
これからも、素敵な日記を楽しみにしてます。
有難うございました。
お越しくださってありがとうございます!
そして、身に余るお言葉、本当に光栄ですーーm(_ _)m
これからは仕事の合間をぬって文筆活動にいそしんでみようかしら……と、調子に乗っている私です……(笑)。
小千谷ちぢみ、いいですねー!
私も昨年小千谷ちぢみを買ってみたのですが、涼しいし家で洗えるし観劇にも着て行けるしと、とても重宝しています。
小千谷ちぢみのシックな感じは男性にぴったりで、素敵ですね~。ぜひぜひお召しになって、夏の着物を満喫してください!
同じ趣味をお持ちの方にこうしてお越しいただけて、本当にうれしい限りです。
とりとめのないブログではございますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします(^^)