本朝徒然噺

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桜めぐり

2005年04月09日 | つれづれ
冒頭の写真は、京都のお茶屋さんの窓から見た桜である……と言いたいところだが、実はそうではない。

では、一体どこなのかというと……新宿御苑のお茶室である。
新宿御苑にあるお茶室の前には、大きなしだれ桜が2本植えられている。
それをお茶室の中から見ると、こんな感じになるのだ。
思わぬところで風情のある絵が見られて、よかった。

この日は、天気のいい土曜日だったので、朝早く起きて東京のお花見スポットを回って歩いた。

まずは、北区・王子にある「飛鳥山公園」へ。
飛鳥山は、上野の山(上野公園)と同様、江戸時代から東京の花見の名所であった。
まだ早い時間だったので、人もまばらで、空気も清々しかった。

飛鳥山公園
↑飛鳥山公園の桜


飛鳥山公園を後にして、千鳥ヶ淵へ。
ここは、朝からすでに大変な人出になっていた。ボート乗り場にも長蛇の列ができていた。
千鳥ヶ淵
↑千鳥ヶ淵の桜

千鳥ヶ淵沿いの緑道を人の波に乗って歩き、英国大使館の前を通って、四谷まで歩いた。
英国大使館の前の道にも、桜並木があってきれいである。
満開になって幾日も経っていないというのに、風が吹くともう花吹雪が舞っていた。


四谷から地下鉄に乗って、新宿御苑へ。
新宿御苑前駅に着くと、着物(訪問着などの盛装)を着た女性やスーツを着た男性がたくさんいたので、近くで結婚式でもあったのかと思っていたら、どうやらこの日、朝から新宿御苑で内閣主催の「桜を見る会」が行われていたらしい。それに招かれた人たちだったようだ。
そのため、通常より少し開園時間が遅くなっていたのだが、入場券の販売機の前には、一般の花見客で長蛇の列ができていた。

園内にはたくさんの桜が植えられており、一面がピンク色に染まって見えるようなところもあった。
都会の真ん中にある公園らしく、下のような風景も見られた。

新宿副都心の高層ビルと新宿御苑の桜
↑新宿副都心の高層ビルを背景にして咲く、新宿御苑の桜


新宿御苑の桜を堪能した後、大移動して、隅田川へ。
浅草側、向島側それぞれの川岸に、桜並木が続いている。
まずは、向島側を歩いた。
ここでは、向島の芸者さんや半玉さん(はんぎょくさん。京都でいう「舞妓さん」にあたる人。向島では「かもめさん」という)による茶店が出ていて、芸者さんたちがお団子やお茶を運んできてくれる。
向島では半玉さんも含めて、日本髪の場合は通常かつらを使用するが、中に一人、地毛で桃割れを結っていた半玉さんがいた。
東京の花柳界でも、以前は半玉さんの髪は地毛で結っていたそうだが、今ではかつらが主流になってしまっている。地毛で結うほうが自然な感じがしてよいのだけれど、現代の生活ではなかなか難しいのだろうか。

ひとしきり川岸を歩いた後、ちょっと早めの夕食をとりに浅草の観音裏へ。
食事を終えて店の外に出たら、芸者さんが歩いていた。

その後、水上バスの「夜桜見物船」に乗った。1時間弱で隅田川を周遊するコースで、船から両岸の桜を見物できる。
川には、屋形船もたくさん出ていた。

夜桜見物船には、浅草の「振袖さん」が乗船していた。
「振袖さん」は、半玉さんと同じ格好をしているのだが、見番(花柳界の組合のようなもので、芸者さんは通常これに所属する)には所属していないため、半玉さんや芸者さんとは少しちがう。
浅草の観光振興のため、様々なイベントに出席したり、宴席で踊りを披露したりするのだ。
この「振袖さん」を卒業した後、浅草の見番に所属して芸者さんを志す人もいるという。
船内では、振袖さんの踊りも披露された。

大移動の一日だったけれど、短い花の盛りを満喫できた日だった。