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アニメ及び周辺文化に関する雑感

【Kanon】鯛焼きと羽根リュックをめぐる冒険 #12

2009年01月17日 | アニメ
遥か昔、
羽根リュックを背負った食い逃げ少女と、
鯛焼き屋のおじさんとの間に、
大きな戦いがあった。
それは、
あらゆる鯛焼きを消化する食欲の力、
「うぐぅ」をめぐる戦いであった。

(京アニの新シリーズですね)


 第12話「異形の円舞曲~waltz~」

【ストーリー雑感】

 今回の冒頭ナレーションは堀江由衣かな。
 一度に二つ三つは当たり前だとか言いながら、クレーンゲームで2000円もすってる幼い頃の祐一。最近はせこい店が多いから、あんまし取れそうな機械は少なくなったけど、この頃はどうだったんだろうな。
 ふと夢から覚めて廊下に出たら、そこには何かに驚いたあゆが。そういや、真琴の代わりに居候してるんだっけ。しかし、涙を浮かべながらオバケの話を怖がってる表情がかわいいね。

 クソ寒い夜中なのにベランダで星を見てるあゆ。高所恐怖症だからと下がってる祐一に自分も高いところは苦手だと言ってるけど、全然そんなふうには思えないな。ま、ベランダぐらいなら平気だと本人も言ってるけどね。しかし、名雪に憧れてるとか言ってるあゆだけど、自分と同い年だとは知らなかったのか? ま、あゆの年齢感覚は5年前のままなのかも知れないけどね。
 しかし、名雪とは違うあゆの良い所って……
  ・電車に子供料金で乗れる
  ・何年経っても昔の服が着れる
  ・お子様ランチを注文しても恥ずかしくない
 実際、あゆの外見で小学生として扱ってくれるのかな? 祐一は昔と同じ姿ぐらいに感じてるみたいだけど、回想シーンのあゆと今のあゆじゃかなり違いがあるから、客観的には中学生とは間違われても小学生には見てもらえないと思うけど。ま、羽根リュックをランドセルと勘違いされたら別かもしれないけど。パジャマ姿見てても多少は胸が出てるみたいだし。

 5時37分にケロピーを連れて寝ぼけながら起きてきた名雪。陸上部の朝練にしても早そうな気がするけど……と思ったら、出掛けたのは7時53分。起きてから出掛けるまでに2時間以上も掛かるのか、こいつは。いや、食卓の上で寝てたような気がするけど。
 ふと気付いたけど、雪国の玄関は二重構造になってるのか? それにしても、休みたいときに休んで良いし、好きな時間に登校して好きな時間に帰って良いって……そりゃすでに学校とは呼ばないと思うぞ。さて、この後、秋子さんはあゆをどう扱ったんだろうか、とても気になるね。

 登校途中で舞&佐祐理に出くわしてるけど、今日が舞踏会の当日だったか。しかし、上級生の舞を相手に相変わらず偉そうな口の利き方だね。
 相変わらず雪の積もった中庭でカップアイスを食ってる栞。見てるこっちが凍えそうになるから、頼むからやめてくれ。せめて暖房の効いた部屋で食ってくれよ。勧められた祐一だけど、さすがに躊躇するわな。しかし、常備薬を持ち歩いてるのはいいけど、何種類もビンごとってのは引くぞ。

 栞と別れた後、栞のクラスメイトの女の子に呼び止められてるけど、栞は一学期の始業式からずっと休んでるって話。ま、祐一が出会ってからでもかなり長期間休んでるのに風邪というのを鵜呑みにしてるのは暢気としか言いようが無いね。しかし、彼女、どうして栞のこと知ってたんだろ? 始業式から休んでるってことは高校に入ってからずっとってことだけど(その割には入学式とは言ってないよね。中高一貫性の学校なんだろうか?)、中学時代から知ってるってことかな……とか思ったら、始業式の日に倒れたって話ね。で、その子は栞が最初に話し掛けてくれた相手だったから印象強く覚えてたってか。
 その子の口から栞の苗字が「美坂」と教えられた祐一だけど……

 舞踏会の衣装だといってプレスリーみたいな格好をしてる北川。なんか勘違いしてると思うけど、こんなのが実行委員でちゃんと舞踏会やれるのか?
 2年になってから感じ変わったという香里。ちょうど栞が倒れたという頃だな。香里を追いかけて栞が妹だろうと確かめる祐一だけど、妹なんかいないという無碍な返事。親友の名雪も香里の家族のことは何も知らないみたいだし……。でも名雪って2年になってから香里と親しくなったのか? それ以前ならそんなに香里のガードは固くなかったと思うんだけど。

 昼休みに佐祐理からタキシードを受け取った祐一。放課後、普通に帰宅してるんだけど、舞踏会は夜になってから出直すのか。近所のやつらはいいけど、遠距離通学者は大変だろうな。いや、さすがに間に合わないぐらい遠けりゃわざわざ帰宅してから出直したりはしないだろうけどね。
 時代劇を見ながらうとうとしてる祐一。また幼い頃の光景だけど……名雪にせびってるのは冒頭クレーンゲームで使い果たした分のお金か。しかし、この幼い名雪がなかなか凛々しくていいね。結局、名雪からせしめた1000円でリベンジしてあゆにくれてやったのか。この天使のクレーン人形があゆの探し物だって話だな。

 案の定、寝過ごして舞踏会に遅刻する祐一。そこにいた舞のドレス姿に思わず見とれてるけど、褒められたらツッコミを入れてるのがおかしい。ま、舞らしい照れ隠しではあるけどね。しかし、本当にあの格好で壇上に上ってるのか、北川。誰からも相手にされてないというか、香里がいないから自棄になってるのか。
 舞に皮肉を言いに来た生徒会長の久瀬だけど、自分を知らないからって転校してきて間が無い祐一を胡散臭がってるとは、ろくなやつじゃないな。ま、生徒会長とかクラス委員長を歴任するやつってのは、本当にまとめ役として信頼されてるやつか、こういう自己顕示欲の強い政治家タイプの生徒なんだけど、得てして後者の方が多いんだね。それでいて自分を前者だと主張するから始末が悪い。
 舞に嫌味を言う久瀬にむかっ腹を立てて料理を自棄食いする祐一。舞に踊って来いと言ってるけど、さすがに北川は(あの格好だし)拒否するだろ。で、祐一と踊りたいというけど……モンキーダンスしか踊れないと言ってた割にはちゃんとエスコート役はこなしてるな。
 しかし、いきなし魔物が襲撃してきて舞踏会場はメチャクチャ。おまけに佐祐理が叩き飛ばされてるって最悪の状況。舞は剣を取り出して魔物と戦い始めるけど……そんな物騒な物、会場に持ち込んでたのか?(と言っても学校の体育館だから、たまたま近くに隠し場所があっただけかもしれないけど)
 でも、いくら奮闘しようとも魔物の姿は舞にしか見えてないからねぇ。傍目には乱心して剣を振り回してる凶暴な女だとしか映ってないんだよな。
「やってくれたな、川澄さん」
 会場の惨状を見て久瀬が舞に文句を言ってるけど……被害の大半は舞が剣を取り出す前に起こってるだろ。まさかそれを見てなかったとか言うんじゃないだろうな。


【サブタイトル解題】

 今回は捻りが無くてストレートなサブタイトルですね。「異形」は魔物のことで、「円舞曲」は舞踏会で掛かってるワルツのことです。もっともワルツそのものを指してるというよりは舞踏会の婉曲表現だとは思いますが。
 3拍子の舞曲としてはワルツの他にもメヌエットとかスケルツォとかありますが、メヌエットとかは基本的に舞台で踊り子が踊るための音楽なのに対して、ワルツは舞踏会でダンスを踊るための音楽という感じですね。
 ところで、これ「異形」を魔物じゃなく舞自身と解釈することもできるんです。つまり久瀬のような連中から見た、舞が踊ってる光景なんですけど……作り手がそういう解釈を望んでいると考えるのは穿ち過ぎでしょう。


【使用BGM】

01.「約束」
  あゆの声による夢の光景。
02.「Last Regrets」
  OP
03.「冬の花火」
  クレーンゲームをする幼い祐一
04.「pure snows」
  サブタイトル~ベランダのあゆと祐一
05. 「2 steps toward」
  登校中の舞と佐祐理
06. 「笑顔の向こう側に」
  栞とアイスクリーム
07.「冬の花火」(アレンジ版)
  栞の同級生
08. 「Last regrets -acoustic version-」(末尾)
  妹を否定する香里
09.「冬の花火」
  名雪に金をせびる幼い祐一
10.「ワルツ」(『眠れる森の美女』より)
  舞踏会(現実音楽)
11.「ワルツ」(『眠れる森の美女』より)
  舞と祐一のダンス(現実音楽)
12.「兆し」
  魔物の襲撃
13.「少女の檻」
  剣を振るう舞
14.「風の辿り着く場所」
  ED
15.「Last Regrets」(イントロ)
  予告

 川澄舞編が本格的にスタートってことで舞のテーマである「少女の檻」もいよいよ本格的に使われ始めた感じです。(今までは第4話で1回流れただけだから)
 でも、今回印象的なのは「冬の花火」でしょうか。真琴編では普通に現実シーンの音楽として使われていたものが、今回は回想シーン2つと、アレンジ版が栞のクラスメイトのシーンに使われています。クラスメイトの話も始業式の日に倒れた栞の記憶がメインと考えれば、過去関係のシーンにしか使われてないんですね。
 舞踏会の音楽はチャイコフスキーの『眠れる森の美女』から文字通りの「ワルツ」。ま、魔物を追い続けてることで現実を見失ってる舞を「眠れる森の美女」に見立てた選曲なんでしょうけど、同じ曲を続けて使うというのは実際の舞踏会の選曲としてはどうかと思うところですが……


【あゆの良いところ】

 本編中で名雪を羨むあゆに祐一が挙げたものですが、じっくり検証してみましょう。ここでは幼い頃の事故で眠ったままのあゆの本当の姿を知ってることを前提とします。

(1)電車に子供料金で乗れる

 あゆ自身が嬉しくないと言ってるのは、実際の生活上であゆにとって電車に乗る機会はあまり無いからなのでしょう。ま、雪国の大きく無さそうな地方都市ということを考えると、都会のように公共交通機関が発達してないので余計に乗る機会が無いのでしょう。祐一が何気なく話題に出してるのは、祐一は都会に住んでたから電車は身近なものだったということで、別に他意は無いと思います。
 事故で眠ったままの現実のあゆも別に成長が止まってるわけじゃないから、もう小学生と偽って乗るのは無理でしょうね。成長しても身長は小学生並みという話もあるかもしれませんが、小学生と高校生じゃ顔付きが全然違います。(ま、欧米人から見たらアジア人の子供は見分けが付かないかも知れませんが、駅員さんとかは普通に日本人ですからねぇ)
 ま、自動改札なら顔を見られなければ大丈夫かも知れませんが、そこは交通機関未発達の地方都市です。自動改札なんてコストの嵩む物を導入してるわけはありません。

(2)何年経っても昔の服が着れる

 これはあゆ自身が言ってるように、祐一から見たらいつまでも小さいままでも、あゆ自身は成長してるから同じ服を着続けることは出来ません。現実のあゆのように病院で眠ったままなら最低限の衣服で済みますが、そうでなけりゃ子供の成長期って服代が嵩むんでしょうね。
 じゃ、成長期が過ぎて大人になったら何年も同じ服が着られるかというと……背丈は伸びなくなっても大人は横方向に成長するんですね。(おい)

(3)お子様ランチを注文しても恥ずかしくない

 あゆはこれにはメリットを感じたみたいですが、実際はどうなんでしょうね。傍目には年齢を誤魔化しにくいというのは電車代のところで言ったとおりですが、それは駅員さんが絶えず不正乗車がないか注意深く見張ってる場合の話です。デパートの食堂とかでは、(レディースサービスとか特定の客層向けの限定サービスでもない限り)誰が何を注文しようと構わないわけですから、そんなに注意を払ったりしないでしょう。
 そりゃ、いかついおっさんがお子様ランチを注文したら変に思うでしょうし、周囲の客が笑うかも知れませんが、小柄な女の子が注文したぐらいじゃ、あまり気に留めないと思います。だから問題は自分が恥ずかしく思うかどうかなんですね。
 じゃ、実際に今のあゆがそのメリットを享受できてるかというと、おそらくお子様ランチを食う機会なんか無かったでしょう、なんせ鯛焼きを食い逃げしていたくらいですから。多少は小銭を持ってた真琴と違って(これもどうやって手に入れたのかは謎なんですが)、あゆは正真正銘の文無しだったと考えたほうがいいですね。
 でも、メリットと受け取ってるということは、あゆ自身は(おそらく現実のあゆの無意識の願望として)お子様ランチを食べたいと思ってるのではないでしょうか。おそらく事故が起こったときのままの嗜好なんでしょうけど。


【後書き】

 ずいぶん間が開いてしまいましたが、なかなかじっくり見る時間が無いし、中途半端で中断すると続けにくいんですね。時間だけじゃなく気力も要るから、生活環境とかバイオリズムとか好条件にならないと手が付けられないです。
 ま、放映期間中にリアルタイムでやってると、無理してでもモチベーションが上がってくるんでしょうけど、もう2年も遅れてたら、さらに遅れてもどうでもいいやって感じです。
 取り掛かった以上は最終回までやりたいけど、まだやっと半分までたどり着いたところですね。気力が持てば良いんですが……