電脳アニメパス

アニメ及び周辺文化に関する雑感

【Kanon】鯛焼きと羽根リュックをめぐる冒険 #04

2007年08月31日 | アニメ
「手を突き出しても、祐一に届かない拳」
「あたしの手を離れて、遠のいていく鯛焼き」
「人はいつもそんな夢ばかり追い求めて惰眠をむさぼってしまいます」
「そして、いつしか魔物を追って……」
『これは、そんな私たちの一冬の物語』

(今回の元ネタは某子供と大人が入れ替わる作品)

 第4話「休日の奇想曲~caprice~」

【ストーリー雑感】

 今回も冒頭の夢の声は真琴みたい。時間が無いから早口であっという間に終わってるって感じ。

 7年前、泣き止まないあゆに困ってる祐一。その脇を走ってる市電……これって舞台のモデルは函館あたりだったか?
 泣いてた理由は空腹。お腹の鳴る音に恥ずかしそうなあゆの表情がなかなかいいね。で、祐一が鯛焼きを買いにいったって話。あゆが鯛焼きにこだわってるのは祐一との思い出があるからか。しかし、このガキの祐一は何か生意気でえらそうだな。
 で、翌日も鯛焼きを食う約束をしてるけど……実は名雪がスーパーで買い物をしてるのを待ってる約束をすっぽかしてた時の話だったってオチかい。
「うそつき」
 この私服セーラーの名雪もなかなか良いね。

 気付かれてるとも知らずに祐一の部屋に忍び込んできた真琴……夜這いかい。カエルの柄のパジャマ着てるのは名雪のお古なんだろな。
 いきなし祐一に飛び起きられてびっくりしてる真琴。いたずらに使おうとしたコンニャクを生のまま食わされる羽目になってるとは、哀れね。で、その騒ぎに起きてきた秋子さん。まだ夜食を作らされてるとはご苦労さんね。

 朝から段ボール箱の山を見てる祐一。こいつ、引越しの荷物、まだ片付けてなかったのか。
 弁当を忘れて部活に出掛けた名雪に届けに行く祐一。振袖姿の女性がすれ違ってるけど、冬休み明けだから初詣ってわけじゃないな。成人式か何かだっけ?
 陸上部は体育館で練習してるけど、雪国はこの季節じゃ外で走れないのか。しかし、見学していって良いかって……女子の練習見てるのって、絶対下心あるわな。昨今の世相じゃ、不審がられないか?
 帰るところで部活にやってきた香里と出くわしてるけど……ほんと、いったい何の部活やってるんだろ? 並大抵の文化系じゃ休日に部活なんかないだろうから、やっぱし体育系なのか? でも、そんな感じはしないんだけどね。ま、本人も言ってるように、家にいたら栞のことで辛くなるから、気晴らしに出て来てるようなもんなんだろうけど。
 それにしても、部活中のポニーテールの名雪がなかなか。

 商店街で秋子さんと出くわして、米を運ばされてる祐一。ご苦労さん。ま、どこぞの母親と違って、水瀬家は確かに米は要るだろうからね。
 そこにやってきたあゆ。祐一と激突して米の下敷きにでもなるのかと思ったら、その前に勝手に道でこけてるかい。想像の斜め前を行くやつだな。
 秋子さんに起こしてもらってるあゆ。互いを紹介する祐一だけど、あゆの名前を聞いたとたんに怪訝な反応を見せる秋子さん。ま、この人は7年前の事件のことも知ってるだろうからね。
 祐一の荷物の片付けに水瀬家に付いて来てるあゆ。玄関でまたこけてるあたり、ドジっ子属性全開だな。で、2階からその様子を恐る恐る眺めてる真琴。あゆを紹介するとか言われて、結局のところ祐一の片付けを一緒に手伝わされてるとは災難ね。
 祐一が荷物を取りに行って、部屋で二人きりになった真琴とあゆ……なんか微妙な空気だな。ま、それを鯛焼きで解消してるあたりがあゆらしいというか、真琴は食い意地が張ってるというか……
 それにしても、真琴と並べるとあゆって本当に良い子だな。真琴の方は人見知りするって感じで、途中で引っ込んでしまってるけど……

 貸したノートを返してもらいにやってきた名雪だけど、祐一は学校に置き忘れてるって話。明日学校で返すと言う祐一に、今晩宿題をしないといけないと言い張る名雪。宿題なんか超越してるという祐一と、そんなわけにはいかないという名雪。女の子らしいというか、几帳面だな。
 結局、もう暗くなってるのに学校まで取りに行くと言ってる祐一。そうなればそうなったで何だかんだと引き止めようとする名雪だけど、今晩中にノートが必要なら取りに行くしかないよな。

「すごい星だな」
 満天に銀河の見える夜空……大阪の夜空なんか見上げても月と金星ぐらいしか見えないからなぁ。
 意外とあっけなく夜の校舎に侵入してる祐一。目的を果たして帰ろうとしたところで、月明かりの差す廊下で剣を携えた舞に遭遇してるけど……いきなし祐一に向かって剣を構える舞。こりゃ、びびるわな。


【サブタイトル解題】

 奇想曲とは、軽快で自由な器楽曲とのことですが、嬉遊曲なんかとどう違うのかが良くわからないところです。ま、嬉遊曲は目的を指した分類で、奇想曲は性格を指した分類というところかな。軽快で自由って言ったってクラシック音楽の世界の話ですから、ポピュラー音楽の感覚で捉えても違和感があるかもしれません。
 サブタイトル的にはまだまだ本筋には入ってないというところで、休日のヒロインたちの快活な日常を描いてるってところでしょうか。


【使用BGM】

01.「約束」
  真琴の声による夢の光景。
02.「Last Regrets」
  OP
03.「冬の花火」
  泣いているあゆあゆ。
04.「約束」ピアノアレンジ版
  あゆと鯛焼きを食べる約束
05.「the fox and the grapes」
  祐一を襲う真琴
06.「雪の少女」
  陸上部の部活をしてる名雪
07.「日溜まりの街」
  あゆと秋子さん
08.「木々の声と日々のざわめき」
  あゆと真琴
09.「2 step toward」
  名雪のノート
10.「少女の檻」
  夜の校舎にいる舞
11.「風の辿り着く場所」
  ED
12.「Last Regrets」(イントロ)
  予告

 今回は栞の登場無しで、代わりに他の4人のテーマ曲が揃い踏み。特に舞のテーマである「少女の檻」は4話目にして初使用。ま、舞のテーマといっても佐祐理さんと弁当食べてるような普段の舞には使えない曲ですからね。
 物語の構成上、アニメでは使いにくいかと思った「雪の少女」だけど、とりあえず使える場所があって良かったですね。物語が進むにつれて使いにくくなってくるのは確かだとは思いますけど。

 「雪の少女」というと、サントラ盤では隠しトラックに普通のロックバンドのインストゥルメンタルを使ったアレンジのバージョンが収録されてますが、これ、「雪の少女」だと気付かない人が多いのか、サントラ盤のレビューを載せてるうちの別のブログのアクセス解析を見たら、それ目当てと思える検索フレーズでのアクセスがコンスタントにあったりしますね。
 これ、けっこう良い曲なんだけど、鉄琴系の寒色音が主体のサントラの他の曲と比べたらあまりに世界が違いすぎますから、作品中で使われることは無いでしょうね。


【香里の部活を探せ!】

 今回は謎多き、美坂香里の部活を考察してみます。やはり謎ジャムと同様、『Kanon』を語る上では避けて通れない大問題です。
 成人の日と思わしき休みの日に、陸上部の練習に出てる名雪に弁当を届けるために登校した祐一が、帰りに登校してきた香里と出くわしています。その時の様子では、休日にわざわざ出てくるような部活ではないけど、家にいたくないから出て来たという感じでしたね。
 一般的に運動系の部活は拘束が厳しいから、休日とはいえ出ても出なくてもいい活動なんてのはあまり無いでしょう。ま、香里が自主的に練習しに来ただけって話もありますが、そういう自由度は文化系の部活の方が大きいと思われます。
 ただ、文化系の部活の場合、学校にもよるだろうけど、きちんと部室が割り当てられてる部もあれば、活動の時だけ教室を借りてやってるような部も多いと思われます。かの北高では文芸部にも専用の部室がありましたが、多くの学校では文芸部なんて部室の無い部活の筆頭のような気がします。休日にわざわざ出てきて活動できるということは、きちんと部室のある部活の可能性が高いでしょう。
 また、祐一の転校初日の放課後、校内で迷子になったところを助けてくれたのは香里でしたが、用事があると言って部室に行ってたはずの香里が現れたのは校舎の中でした。ま、その先に体育館があってそっちの方から来たという可能性が無いわけではないですけど、普通は運動部の部室は教室のある校舎とは別棟にあると思います。他に教室に用事があったんなら別ですが、別棟の部室に寄ってから校舎の中に戻ってくることはあまり無いと思われます。やはり運動系よりも文化系という感じですね。

 香里は祐一のクラスの委員長をやっていて、名雪たちの人望は厚そうです。正確もきっちりしてる感じです。(きっちりしすぎてるのが物語上では問題になってるわけなくらいですが)
 では、そんな香里がやってそうな、専用の部室が存在する文化系の部活とは何でしょうか? 放送部とか新聞部とか、その責任感において社会的使命を発揮できそうな部活も存在しますが、香里のタイプからすればそんなものを部活に求めたりはしないと思います。科学とかの実験をするのも違いそうですね。特に部活の道具を持ち歩いていないところを考えたら音楽バンドとか美術系でもなさそうです。

 香里が休日にわざわざ出て来てるのは部活としての活動としてよりも、家庭の件の気晴らしだということですから、そういう精神的効果のある部活だと考えた方が良いかも知れません。
 宗教系の学校なら直截的に神に救いを求めたりするような部活もあるかもしれませんが、そういうのは考えないことにしておきます。普通の高校にある部活で、どちらかというと精神面の修養を目的としてるものといえば、茶道とか華道の類でしょうか。華道は花の用意がないと出来ないから、休日に手ぶらでやってきて出来るなら茶道の方が現実そうですね。
 香里の落ち着いたキャラから考えても、茶道部というのはいかにもありそうな話だと思います。ま、物語は始まったばかりなのでこの先、矛盾する描写が出てくることがあるかも知れませんが、その時はまたその時ということで……

(いや、実は香里の部活はエクストリーム同好会で部員1名とかいうネタで引っ張ろうかとも思ったんだけど……声からしたら真琴向けのネタだからね)