良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

お受験という怪物

2008-10-20 12:30:25 | つぶやき
 小学校受験の考査日、目前に控えて。

 ブログを書いている場合じゃない・・・そうも思います。
けれど、いつかは、考査を目前に控えた日の「送り出す側の気持ち」を、書き留めておきたい、とも思っていました。
 その場が、公開されるブログであって良いのかどうか・・・は、判断がつきかねますが。
 
 私は、この「考査の日、直前」を迎えるのは、今年で16回目になります。
生徒を送り出す側として、16年。この歳月は、すでにこの仕事としては新米ではなく、ベテランの域に入っているということでしょう。 けれど・・・どんなに回数を重ねても、何年が過ぎても・・・この受験を目前に控える気持ち、に慣れることはありません。

 手塩にかけて育ててきた子ども達・・・
考査の前日にも会い、一人ひとりに声をかけ、注意をしたり、誉めたり、勇気づけたりして、ハグをして送り出します。
 でも、教室のドアを閉めたとたんに、また、子ども達の顔が浮かびます。
  
  苦手な問題を前にして、目に涙をいっぱいにためて、ペーパーを眺めている姿。
  まわりの子ども達が理解し、わかった!と笑顔で解いていく横で、どうしてもわからない・・・「なぜ僕はわかんないのかなあ?困った・・・どうしよう・・・」という引きつった顔。

 そんな姿を見ていると、ぎゅっと抱きしめ、「大丈夫!大丈夫!あなたには、先生がついているのだから。絶対に、あなたがわかるまで説明するから!」と笑顔で話し、元気づけ、心の底から「がんばれ!がんばれ!」と叫びたくなります。

  ひゃ~、わかった!できた!という、歓喜に満ちた満足げな笑顔。
  大きな喜びを顔や声には出さずに、チラリっと私のほうを見て、にたっと笑う子の顔。

 私は、そんな子ども達の喜びの顔も、ご両親よりも先に見ることができる存在です。
 私はときどき、こんな、子どもの成長そのものである「価値ある瞬間」に、私がまさに立ち会っているという事実に、ぶるっと震えるほどの緊張と責任を感じます。
 そして同時に、ご両親よりも先に、そんな貴重な時間に立ち会っていることを、ご両親に対して、とても申し訳なく思うことがあります。これは、私の特権なのですね。

 ここ7,8年、小学校受験というものがジワジワと浸透してきました。世の中が、「ゆとり教育」を提唱した頃から、そのことに懸念を抱く家庭が増えたことによって、それは加速度的に広まっていったように思います。 
 しかし、「受験生が幼い子ども」だからという理由で、小学校受験は昔から親のエゴ、親の身勝手、親のブランド思考・・・というふうに捉えられ、「お受験」という造語で揶揄され、受験準備をする家庭、準備のための教室などは、マスコミからおもしろおかしく取材されたり、無責任なことを書かれたり、報道したりされる悲しい現実があります。
 一時は、そのことに持って行き場のない憤りを感じたものでしたが、今では、もう相手にはしたくない・・・そう思うようになりました。

 実際、小学校受験をするご家庭の中には、そういう恰好の標的になってしまうような、受験産業に踊らされてしまっている家庭も多いわけですからね・・・
 ここで、違います!と声を高らかに抗議すればするほど、またまた笑われてしまう対象になってしまうでしょう。

 どんなに好奇の目で見られても、どんな世界にも、真っ当な人達はいるのです、そう、私の教室のご家庭のように。
 受験産業に踊らされず、ひたすら、小学校受験を我が子の成長のまたとないチャンスとして捉え、我が子の「人間力」ともいうべき、さまざまな力、自意識を高めてこられたご両親。
 そういう意識の改革は、とてもエネルギーを必要とするものだったでしょう。
 子どもの横に座って、怒鳴りながら数十枚のペーパー学習をさせるほうが、本当は親としては簡単だったかももしれません。
 子どもの真の力を伸ばすべく、日々の生活の中で言葉かけをし、辛抱づよく、根気強く、我が子をリードすることは、並大抵のことではありません。時には、自分達の生活そのものを見直し、修正する必要もあったでしょうから・・・


 私は、考査を明日に控えた今日、あらためて、そんなご両親のリードと大きな愛情に拍手を送り、労いの言葉をおかけしたいと思います

 そして、かわいい子ども達に。明日から、がんばれ
あなた達は、本当にすばらしい、ステキな、立派な子ども達だったと、心から伝えてあげたい・・・
 
 楽しいことだけをしていくのは、とても簡単。
ピーターパンのように、大人になりたくない、楽しいこと、好きなことだけをして生きていきたい!と言っていては、結局は、いつまでも、「より大きな喜び、より素敵な世界」を知ることはできないんだよ、という私の語りかけに真剣に耳を傾け、そのことを五感で理解し、私を媒体として、たくさんのことを学び、感じ、自分の真の力にして成長してきてくれた子ども達  

 自分の耳でしっかりと聞き、自分の頭でしっかりと考え、自分の力で行動できるようになったすばらしい子ども達に、私は心から感謝し、明日から始まる考査に向けて、大きな大きなエールを送ります

 小学校受験は、ひとつの通過点です。その通過点を、かけがえのない価値のあるものとするかどうかは、その家庭の力量、その両親の意識にかかっているのでしょう。

 私には、特別に帰依している宗教はありません。
けれど、私は信心深く、信仰は尊いものだと心の底から思っています。祈ること、感謝をすること・・・人が万能だと奢らず、こうべを垂れることこそ、人の生きる姿勢だとも思います。
 だからこそ、何か一つの対象にではなく、大きな力に対して、私は手を合わせて祈ります。
  どうぞ、私の生徒達だけではなく、一生懸命に準備をしてきた子ども達、そしてそのご両親達の努力が実を結びますように。子ども達とご家庭にとって、最も幸せになる道へと、正しくリードをしてくださいますように・・・


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