まど

細く開いた窓を覗いてみると、そこにはNikonD70Sを前に困惑している女がひとり・・・

人間も負けてないよ!

2007-11-03 21:53:02 | Weblog

鳥獣戯画がやってきました!
待ってました。
鼻息も荒く、初日に駆けつけました。
企画展で初日に馳せ参じるのは生涯初めてのことです。

鳥獣戯画を本気で見たのは高校生の時でした。
美術の時間、好きな場面を模写するようにと数枚のコピーを渡されたのです。
私が選んだのは蛙と兎が相撲をしている、この場面です。

 

筆を扱うことには慣れているし、デッサンもやってるし、「カンタン、カンタン。」(←馬鹿です。恥ずかしすぎる。若気の至り。)と取りかかったら・・・・・・。
描けども描けども、ちっとも似ない・・。
形が取れたとしても、線が違うとまるっきり違う絵になってしまいます。
打ちのめされた私はもらった数枚のコビーに見入りました。
いつか、本物を見たい。
それからウン十年、ついにその日が来たのです。

本物の持つ力はよく判っているつもりでしたが、ああ、来て良かったと思いました。
当たり前か!


有名な、動物達が擬人化されている巻はもちろん素晴らしかったのですが、動物が本来の姿で登場する巻も面白かった。
通常、鼻づらの長い動物の正面の顔というのはあまり描かれないものですが、 牛や馬の顔が正面から茶目っ毛たっぷりで描かれており、作者が楽しんで描いているのが伝わってきます。
また、人間が描かれている巻があり、見るまではあの動物たちの可愛さに比べたら見劣りがするのではないかと思っていましたが、とんでもありません。
たくさんの人の楽しい顔、こんなにたくさんの人が笑っている絵は他にあるのでしょうか。
現代の私たちはここでやっている事を実際に見てもこんなに笑えないでしょう。
遠い昔の、この絵の人たちは、単純でささやかな遊びに心から興じ、楽しんでいます。
いじらしくもかわいい彼らの様子は、見ている私たちにも微笑みを与えてくれます。

一体誰が、何の為に描いたか、そんな疑問は専門家にお任せして、素直に楽しみ、温かい気持ちになって帰って来られる、そんな展覧会でした。
後期も行かなくっちゃね、サントリー美術館さん。

図録を特製エコバックに入れてくれる。モッタイナイから使わない。(笑)


 


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4 コメント

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懐かしの模写・・・ (tarutaru)
2007-11-05 15:39:04
>美術の時間、好きな場面を模写するようにと数枚のコピーを

僕は大学の時にやらされました。思い出したくありませんが・・・そう僕も最初は模写なんていまさら絵のお稽古なんてやってられるかと、本音で抵抗しつつ向かいましたが、奥深さに打ちのめされました。

一見単純そうに見える、これらの線に量感や動き、質感、空間すべてが含まれていることをあらためて思い知らされたのです。

それにしてもエコバックとは今時のアイデアですね。
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私の場合はちっともエコになりませんが。 (うしろの正面)
2007-11-06 13:19:45
tarutaruさんもやらされたのですか!
うーん、高校の美術教師、芸大と同じことをやらせるとは!

やっぱり模写っていうのは創作の第一歩なんですね。
じゃなきゃ美術館でイーゼル立てて模写する人がいるわけありませんものね。
油絵なんかでは実際どんな色の使い方をするのかとか、非常に勉強になるだろうと思いますが、墨と筆の世界でも別の意味ですごく勉強になるんだなあ。
今回、鳥獣戯画の写本や、前後の年代に作られた同じような主題のものの展示もあったのですが、写しの時点で、もう全く別物になってしまうのだと思いました。
墨と筆を使い慣れた昔の絵師が模写してもこれなんですから、私は下手で良かったわけだ!と安心しました。
tarutaruさんも,安心して下さい?(笑)
しかし、いつ見ても、たとえ印刷のものでも、楽しい絵巻です。
これのパロディでいいから、山口晃さんが現代版鳥獣戯画作ってくれないかな。

かわいいエコバックなんですけど、もったいなくて使えませんよー。汚れたら嫌だもの!
永遠に図録を包んでもらいます。
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と、名乗るのもおこがましいですが ()
2007-11-06 21:49:27
 うしろの正面さんの 興奮ぶりがよく伝わりました。 線は魔物、すでに、おふたりで言い尽くされていますが。真似ても無理です。 呼吸も心理状態も、健康やら何もかも原作者に合わせたって、こうはいかない。 気候による乾きや潤いがものを言うかも知れないし。 油彩の模写も同じです。なんとなく勢いが違う。 見破られます。

 ここの蛙さんたち 同族とは思えません。俊敏でおかしくて 可愛くて 賢くて…
  急いで行かなきゃ…  ああ 忙しい!

 うしろの正面さんの 感性も好きですよ。切れのある文章も。
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友達が待ってるなんていいなあ! (うしろの正面)
2007-11-08 17:53:16
ああ、蛙さん、私はたくさんのお茶目な蛙さんを見て、思い出しておりましたよ!
この絵師は蛙が好きだったんでしょうね。
猿や兎とは大きさが全く違う生き物なのに登場させて・・・。

しかし、模写というのは本当に難しいものなのですね。
全ての条件を同じに出来るわけもなし、たとえ同じにしても、おなじ線が引けるとは限らないのですね。
確かに、それが出来たら国宝がいくつも出来ちゃう。(笑)

蛙さん、どうか楽しんでいらして下さい。
たくさんの友達が待っています。
記事も楽しみにしておりますよ。
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