まど

細く開いた窓を覗いてみると、そこにはNikonD70Sを前に困惑している女がひとり・・・

阿佐ヶ谷住宅のあした

2007-02-14 21:54:05 | Weblog

東京にも久々に傘を使うような雨が降りました。
春の訪れを予感させるような雨です。なにしろ春一番をともなってきたのですから。
今年は雪を見ることなく春を迎えてしまうのでしょうか。

私が子どもの頃はよく雪が降りました。
そのころまだ傷みのない阿佐ヶ谷住宅も雪に埋もれ、広場では子どもたちが雪合戦をしたことでしょう。
雨に濡れた風情もよし。雪に埋もれた佇まいもよし、晴れたらもちろん言うことなしの阿佐ヶ谷住宅です。
私はとうとう雪の阿佐ヶ谷住宅を撮れませんでした。

TOTANGARELLYにはその主催者がお住まいのようですが、ギャラリーでお話を伺った方の中にも阿佐ヶ谷住宅に越してきたアーティストがいらっしゃいました。
「設備関係が相当キツイんじゃないですか」と聞いたら、
「バランス釜だけは取り替えましたけど、あとほんの手直しで20万円くらいで済みました。あと20年くらいはいけるんじゃないかという話です。」とのこと。
そうなんだ!?じゃあやっぱり勿体ない・・・・。
でも、事態は動き出してしまった。もう、同じ姿での再生は望めない。
どうか、ここに居る間にこの環境からたくさんの刺激を受けて、次の活動に生かして下さい。

TOTANGARELLYの玄関前にかかっていた巣箱。
ここも空き家のようです。



 もう阿佐ヶ谷住宅には次の冬はやってこないでしょう。
でも、雪合戦をした子どもたち、ここが気に入ってわざわざ越してきたアーティストたち、そして私もずっとここのことを忘れないし、時々「こんな素敵な場所が東京にあった」と思い出して暖かな気持ちになれるでしょう。
阿佐ヶ谷住宅のあしたは、ここに来たことのあるみんなの記憶の中にあります。


阿佐ヶ谷住宅のあした  フタボンコさん

2007-02-13 12:54:08 | Weblog

阿佐ヶ谷住宅にあるギャラリーはTOTANGARELLYといいます。
HPによりますと、「プロジェクトそのものが1つのインスタレーションである」とのことです。
若いコたちはほんとに行動するね!!おばさんは感激。

TOTANGARELLY  http://www.totan-gallery.com/

さて、初めて足を踏み入れる阿佐ヶ谷住宅の中・・・、
でた。いきなり階段室です。

ヨダレがでそうです。
居室と踊り場の上の隙間が泣かせる。
階段は急です。天井高が低いのにこの急な階段。プランの都合で仕方がなかったんでしょう。

さて、おそるおそる展示室の引き戸を開けると・・・、

そこは無限の、異次元の、ジャングルでした。

写真は撮って良いけれど、何かに出すならこの展示が終わってからにして下さい(それにしても太っ腹!)とのことなので、今は出しません。でも、HPで見られます。(上記HPの定点観測の項)
なので、こちらの写真と印象についてはまた後日。

 

さて、先ほど砂場でお会いしたうつくしげなる男性が帰ってきました。
彼は、フタボンコというユニットを組んでいて活動をしていらっしゃいます。
自己紹介で、最近の活動を教えていただきました。
http://documents.ycam.jp/omoide/
彼らはアートな機会を創造するデイレクターなのでしょうか。
アートというのは最初から最後まで自分の手で、という古く硬い発想に囚われている私は眼からウロコの落ちまくりです。(涙)
自分の作品に他人の手を加えてもらう・・・、なんとなく私はあの有名なジョン・レノンとオノ・ヨーコの出会いの逸話を思い出していました。
カレンダー、良い発想です。身近な人だけが撮れる、素直な表情がきっと見られると思います。買います。


阿佐ヶ谷住宅のあした

2007-02-12 22:48:51 | Weblog

先日、阿佐ヶ谷住宅の項へいただいたコメントにお返事を書いていたら、どうしてもまた見たくなって、自転車をすっ飛ばして行ってきました。
実は前回、ここの住人の方が非営利でギャラリーを開いていらっしゃると聞いていたので寄りたかったのですが場所がわからなかったのです。
また写真を撮りたいし、ギャラリーにも行ってみたかったし。

まずは出来る限り写真を撮っておこうと回っていると、男の子が砂場でコップに砂を詰めたのを伏せて、たくさんの砂のプリンを作って遊んでいます。
(多分プリンじゃないし、その時私もプリンだとは思わなかったけど、今説明する言葉がみつからないので・・・)
その高さといい、光の当たっている感じといい、あまりに綺麗だったので、一緒にいた多分お父さんだと思われる男性に
「写真、撮っていいですか?」と聞きました。


そのうつくしげなる男性はお父さんではなく(道理で若いと思ったよ)、例のギャラリーの活動に関わる人でした。
そこに、「これ、埋めて欲しいって。」と、もう一人うつくしげなる男性がかわいい動物の人形を持ってやってきました。
密かにプリンの中に人形を入れて、踏み潰したとき人形がその中から出てきたら、子どもはどんなに驚くでしょう。
面白いこと、考えるなー。
お話を伺ってみると人形を埋めてくれるように頼んだのは今回ギャラリーで展示をしている人で、砂場で会ったお二人はその日はプリン作り(?)をとおして意図的でないアートをする(させる)というのをやっている人達でした。

一体、どんなことをやっているのか、期待に背中を蹴飛ばされ、私はギャラリーに向かいます。


さよなら 阿佐ヶ谷住宅 2

2007-02-08 14:11:22 | Weblog

東京の空は狭い。
なだらかなスカイラインなどとは無縁で、空も雲も建物と電線でギザギザ・カクカクに区切られる。
ここだって、環八の内側ですぐそばには青梅街道が走っているのだから、立派な都会なのだが、なんだかここの空はまるい。

 

住棟の間を通ってみたら、ぽっかりと広場がひらけていました。
パブリックな広場は別に設けられており、ここはこの広場を取り囲む住棟の住人が広場として、通路として使うスペースのようです。
贅沢な空間。
平日の午後など、お日様にあたりにここへ出て、ちょっと本など読んだり、ねこと遊んだり、グリンピースをむいたりとかすると、ほんわか気分になるだろうなあ。
但し、考え事をまとめるには向かない。ま、いっか!という気分になりそうです。

 

敷地の外周には塀が設けられているところもありますが、敷地内は道路から住棟まではこのような空地によってやんわりと仕切られています。
こういうあいまいなスペースがこの団地の、というかこの団地が建てられた時代のおおらかさの象徴のように思います。

日本住宅公団が産んで、住民が育てた阿佐ヶ谷住宅。
この遺産をどう引き継ぐか、たくさんの人が注目しています。


さよなら 阿佐ヶ谷住宅 1

2007-02-06 12:09:29 | Weblog

最初に阿佐ヶ谷住宅を見たのは、善福寺緑地にお花見に行く途中でした。
なんだこのステキな団地は!このテラスハウスで暮らしたら穏やかな生活が出来そうだなあと思いました。
敷地全体のサイズが実に人間的であるし、住棟の配置がまた絶妙です。
勿論日当たり良好。緑地が近いので、鳥もたくさんやって来る。
こざっぱりと清貧な感じの暮らし方に精神を導いてくれそうな感じです。

後で知ったのですが、テラスハウスの設計には前川国男事務所がからんでいました。

この阿佐ヶ谷団地は昭和33年竣工なので、今年で築49年。
いよいよ建て替えが始まるようです。
半分以上の住居が空き家となり、ドアや窓には木が打ち付けてあって侵入できないようになっています。
普通はそんな風景は寂しくて見ていられないものですが、もともとの建物の持つ温か味が、未だにのんびりとした雰囲気を醸し出し、訪れた私を和ませてくれる。

・・・・いつ工事が始まるのだろう?お花見は目前に迫っていますが・・・。